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礼遇(れいぐう)

豪華な料理とか、広い温泉とか、美しく整えられた庭園とか、非日常のものを提示することが「もてなす」ということなのだろうか。

確かに、旅館の部屋でシワのないシーツが被せてある布団に入る時はとてもも心地良い。

けれども、寒い日に柄違いの毛布や掛け布団を重ねて作られていた実家の寝床にも旅館の布団と同じものを感じた。

質素に暮らしている男が食通の男をもてなすという話がある。アワビとか伊勢海老とか高級な食材は買えないが、料理を食べてもらった後に食通を感動させる。

質素な男が出した料理は、炊いたご飯としじみの味噌汁。時間をかけて米を一粒一粒選定し、しじみの味噌汁も生臭さがみじんも出ないように処理をしていた。

質素な男は大金を持っていなかったけれど、知恵と時間を持っていることを知っていた。

もてなす行為とは、自分のできることを理解し提示する親切さなのではないかと思う。

そこに無限のポテンシャルが隠されている気がする。

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