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名前を呼ぶ。

朝ドラ『まんぷく』を見ていて思うことがある。

大事な場面で、萬平さん(長谷川博己)や福ちゃん(安藤サクラ)が、社員全員の名前を呼ぶ。15人全員の名前を読んで、語りかける。そういうシーンが今までに何度かあった。

名前を呼ばれたときの、一人ひとりの顔が画面にうつる。名前を呼ばれると、姿勢が少し伸びたり、下を向いていた目線が上がったり、表情が変わる。

*

いつも思っていることがある。「名前を呼ぶ」と、人との距離感が変わる。

ような気がする。

*

ということを私が思い始めたのは、16年前からドリカムのライブへ行くようになってから。私は中学生の頃からドリカムさんが好きだったけど、23歳でライブを初めて見たときに衝撃を受けて、あらためてファンになった。チケットがとれる限り、毎ツアー1回か2回はライブに行っている。

今まさにやっているツアーは、昨日と今日の横浜アリーナ公演の抽選に外れまくって、行けていないのだけど…。ざんねん。

ドリカムのライブでは、全曲終了後にメンバー紹介をする。そしていちばん最後、吉田美和さんの名前だけは、会場にいるお客さんが「せーの!」で彼女の名前を叫ぶ。それは、いつどんなライブも全て。

東京ドームも、さいたまスーパーアリーナも、国立競技場も、味の素スタジアムも。お客さんが叫んだ彼女の名前が会場に響き渡る。そして、名前を呼ばれた吉田美和さんは、いつも泣いている。

10年前のドリカムのアルバムに、こんな歌詞の曲がある。

いちばん伝えたい たったひとりは
今でもあなたなの

会えない時もずっと

わたしの名前を 叫ぶ声が聞こえる
あなたの その声が この世界を歌にする

あなたの その声が この世界を歌わせる

この曲をオープニングで歌った、10年前の20周年ライブでは、歌いながら泣きながら登場していた。

*

「名前を呼ぶ」ということには、強いエネルギーや魂が宿るのかもしれない。ドリカムのライブを見ていて、いつもそんなことを思っていた。

いつからか私は、できるだけ人の名前を呼ぶことを意識するようになった。

直接会ったときだけでなく、電話でもメールでも。それは、知らない相手でも。たとえば何か問い合せの電話をして、対応してくれた人が名前を名乗ったら、会話の中で、できるだけその人の名前を言うようにしている。

いつも思う。名前を呼ぶと、相手の緊張や警戒がほぐれる。空気が変わる。

「名前を呼ぶ」ということは、私たちが思っている以上に大切なことのような気がしているし、想像を遥かに超えて、素敵な効果があるような気がしています。

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