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黒澤明さんの言葉『私はまだ、映画がよくわかっていない。』

昨日noteに書いた、優しくある、謙虚である。というのは、どういうことかしら?とぼんやり考えていて。

「自分に慣れないこと」かな、と思ったりしている。

新しいことや、新しくなくても何かを深めてみたり。何かをするのは、好奇心がきっかけだと思うけど、好奇心ていう「心」だけじゃだめで。

自分が動いて、細胞に新しいことを取り込もうとする態度なんだろうなと。

何かを知れば知るほど、わかることが増えるけど、わからないことも増える。というのは、学んでいる人が必ず感じることだと思う。

*

20年前、黒澤明さんがアメリカのアカデミー賞で特別名誉賞を贈られたときのスピーチがとても素敵。

『私はまだ、映画がよくわかっていない。』

当時、黒澤さんは80歳。

すごい言葉だなぁと思ってググってみた。

1990年3月26日、夜。
アメリカはロサンゼルスで行われた、第62回アカデミー賞授賞式において、黒澤明監督に特別名誉賞が贈られた。

プレゼンターはジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグ。それぞれが現代アメリカを代表する監督であり、黒澤に強く影響を受け、尊敬していると公言する。

そんな2人に伴われて壇上に上がった黒澤は、アカデミー史上に残る名スピーチを行った。

「このような立派な賞をいただき誠に光栄です。しかし、私がそれに値するかどうか少し心配です。なぜなら、私は、まだ映画がよくわかっていない」

ここで場内からは笑いが漏れた。既に世界で認められた巨匠が謙遜して、
ユーモアを言っているのだと思われたからだ。“世界のクロサワ”が「映画がわからない」だなんて信じられない。何かの冗談ではないか。

しかし、真剣な様子で続けられた言葉を聞く内に、場内は水を打ったように静まりかえった。

「…いや、というのも、まだ、私は映画というものをはっきりとつかんでいない気がするからです。映画は素晴らしい。しかし、この素晴らしく美しいものをつかむのは大変難しい。これからも映画という素晴らしいものをつかむために全力を尽くすつもりです。それこそが、この賞に応える一番いい方法だと思うからです」 

スピーチを終えると、場内は万雷の拍手に包まれ、長い間鳴りやまなかった。

以後、このスピーチは世界の映画人の励みとなり続けている。「クロサワにだって“映画はわからない”のだから、自分ももっと頑張らなくては」と。 

*日経トレンディネット(2008年4月18日)の記事より、抜粋させていただきました。 https://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080418/1009558/


ここまできたら十分。なんていうことは、たぶん一生ないんだろうな。

細胞に新たなことを取り込み続ける。そういう飢餓感が、人を美しくさせるのかもしれないね。

読んでくれて、ありがとう。

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