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都合の悪い事実も、強い文章の材料になる

先日の文章ワークショップで「自分の主張を書いている時に『でも例外もあるよね』『こういうことばかりではないし・・』と反対意見が浮かんできて、そのまま筆が止まってしまうことがある」というお声を頂きました。

例えば、あなたがチョコ菓子・きのこの山よりたけのこの里派だったとします。

たけのこの里の良さをブログに書いているうちに「でもきのこの山だって美味しいし・・」「意外ときのこの山の、チョコがついてないとこも好きなんだよな・・」と迷っていたら、最初のたけのこの里への想いが揺らいでだんだん書けなくなる。こういうことはよくあると思います。

アンサーとしては「浮かんできた反対意見は、入れた方が強い文章になる」というものが挙げられます。
だいたい自分の想い浮かんだ主張というのは反対意見や例外があるものです。

でも文章では予想される反論を排除するのではなく、逆に入れてしまった方が全体として読み応えのある文章になります。

米粉と豆乳を使ったグルテンフリーのマフィン屋さん。できるだけ砂糖も使わずに作った、自然な美味しさが特徴です。

「卵や牛乳が入ってなくておいしいの?それにこういう自然の食品って高いし日持ちしなくない?」というお声もあると思います。

そこでこのマフィン屋さんでは、甘みの強い果物とその日におろした新鮮な米粉と豆乳をふんだんにつかい、風味豊かな味をつくっています。また一社で大量に製造して問屋に卸さないためお値段も手ごろ。密封パックのため1週間は日持ちします。

この文章の予想される反論とは「卵や牛乳が入ってなくておいしいの?それにこういう自然の食品って高いし日持ちしなくない?」←ここの部分です。

文章を読んでいる人が「それってどうなんだろう」「美味しくないケースもあるよね」と思っているタイミングでその声に応えるように自分の主張を混ぜていれると「そうそう、そこが気になってたのよ」と読者の共感が生みやすくなります。

またすべての主張には例外というものがあります。先ほどのたけのこの里かきのこの山か論争においては「そもそもチョコ菓子があまり好きではない」という人もいるでしょう。そうした声もいれておくとよりよいです。つまり何かをプレゼンする時は

自分の主張
例「たけのこの里は美味しい」

予想される反対意見
例「確かにきのこの山も根強い人気がある」

それに対する自分の意見や対応策
例「たけのこの里の方がどっしりしたクッキー素材なので、食べ応えがある」

例外について
例「そもそもチョコ菓子があまり好きではないという人もいるだろう」

もう一度自分の主張
例「しかしそれでも自分はたけのこの里に強い愛着がある」

という順番で書くとスムーズかと思います。
(例文の内容は若干論理が破綻してますが例文ということでご容赦ください)

このやり方はあらゆるコミュニケーションで使えます。
友人とランチする時のレストランを挙げるとき、ビジネスで企画を提案するとき、おすすめの本をSNSでプレゼンするとき。

相手の不安や疑問を先回りして答えることで「この人は私のことをよくわかってくれている」という安心感や「広い視点で物事をみているなあ」という信頼感につながります。

自分の主張にとって都合の悪い意見や事実は、そっとスルーして書くという方法もありますが、思い切ってそれらも巻き込んでしまうと全体として強い文章になります。
「こんなこと書いてもいいのかなと」と迷った箇所は、ぜひ思い切って入れてみるとメリハリのついた文章になっておすすめです。


・・うん、まあ、きのこの山も好きなんですけどね。






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