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丸いテーブルで話すと、話が丸くおさまる理由

交通費も出ない、賞与もない。新卒で就職した初めての会社は、とにかくケチな会社だった。中でも一番ストレスだったのは、仕事で必要な備品を買ってくれないことだった。

おしぼりタオルは薄くなって向こうが透けて見えても「まだ使える」と突っぱねられ、マッサージ用のオイルが古くなってお客さんから「皮膚がかぶれた」とクレームが入っても「今ある在庫を使い切らない限り購入はできない」と却下された。

当時やる気にあふれた新入社員だった私は何度も上司に訴えたのだが、そのたびに「タオルやオイルを買うことで、売上が必ず上がると言い切れる?小澤さん責任とれる?」と詰められると、何も言えなくなってしまった。

今となれば上司は単に私の主張(備品購入)を売上の話とすり替えていただけとわかる。しかし当時は「なぜ店内の環境をよくすることが売上につながるのか?」という問いに、論理的に答えることができなかった。

そこから10年の時が流れ先日、NLPの講座に出ていた時のこと。

この講座では先生の話を一方的に聞くスタイルではなく、みんなが円になって座って、誰でも話すことができるようなスタイルのクラスになっているのだが、ときおり先生が「円の形がきれいな丸の形になるように調整してみて下さい」と皆に呼び掛けていた。

これは先生が几帳面という話ではなく、授業や会議といった何人かで話し合う場・物事を進める場では、なるたけきれいな丸に集まった方がうまくいくという脳科学に基づいた知見らしい。
だから誰かと話し合うとき四角いテーブルよりも丸いテーブルで話したり、出来るだけ円になった方が話し合いも丸く収まることが多いそうだ。

歴史的に見ても縄文時代は戦争がなかったがその要因として、住居が丸い形だったからという説がある。基本的に丸い形の遺跡からは殺人の道具や殺された人の骨は発掘されないとのこと。

こうやってみていくと、無意識は非常に多くの情報を受け取っている。意識が1とすると無意識は2万倍の情報を受け取ると言われている。

例えるなら、いくら偉い先生からいい話を聞いても、その部屋が暗くジメジメしてしていたら話の内容より「あの部屋、すごい暗くてジメジメしてたな」という印象が一番強く残ってしまうのと同じかもしれない。

最初の話に戻ると、マッサージ屋さんが売上を上げるのに大事なのは技術や接客といった要因が大きい。しかしお店の雰囲気からお客さんが受け取るものは、技術や接客よりもっと大きいはずだ。

技術や接客は目に見え、お店の雰囲気というのは目に見えない。だから売上には必ずしもすぐ直結はしないかもしれないが、お店の備品をそろえ環境をよくしておくことは長い目で見れば決して無意味なことではないのだ。

現代社会に生きているとどうも効率化や生産的なことばかり追ってしまうけれど、もう少し焦点を遠くにして、より大きな目で物事を見ることを忘れないようにしたい。



入門編、5月28日(火)はまだお席あります。

平日クラスはあとお一人大丈夫です。