事業の行き詰まり、閉塞感を回避する5つのアプローチ「AVOID」

下記の記事の逆のことを書いてます。

勢いよくはじめたスタートアップ事業。苦節が報われビジネスが形になってきたころ、宿命のよう停滞期というものがやってきます。
人員は拡充したのに収益が低迷するとか、サービスの新規ユーザー数が伸びないとか、当初の勢いはどこへいったのか、ということになります。そういった、サービスや事業の行き詰まり、閉塞感を回避するアプローチとして、僕がこれまで行脚したプロジェクトにおいて、持ち直したプロジェクトがやっていたこと、沈んでしまったプロジェクトがやっていなかったことをまとめてみました。

Actualisation / 現実化

収益の低迷を埋め合わせるために、年次の目標はどんどん高くなり、月次の目標は未達を重ね続ける。施策が思いつかないので怪しげなコンサルタントが出入りするようになったり、企画がだんだん一か八かになってくる。
「広げすぎて大きくなりすぎた風呂敷を誰がどうやってたたむの?」
社内に不穏な空気が立ちこめます。
逆風のなかでポジティブな空気をつくるために、「まあ今はそういう天候なんだな」と思うためには、有限実行を増やす必要があります。目標を現実的な数値に下方修正し達成可能な目標を一人一人が着実に達成する。小さい有限実行をたくさん達成することでチームにポジティブな空気を作る。チームに対しての実現可能な約束を実現していく。構想をコストのかからないものから具現化していく。
とかく経営者や創業者はビジョンが広がりがちなので、一旦みんなで足元を見るという機会が必要です。

施策例
・月次の売上目標の再設定(指標化の項目にリンク)
・タスクのスケジュールの再設定

Visualisation / 可視化

そもそも経営ビジョン、経営理念、キャッチコピーから始まり、ビジネスモデルやサービスの顧客導線など、メンバーは同じイメージを共有できているのか?
同じ言葉で説明しても解釈によっては様々な差分を生じます。
・ビジネスモデルのフロー図
・カスタマージャーニーマップ
・ブランディングにおける競合とのポジショニングマップ
・内部の組織図
など、わかりやすい図やグラフでイメージとして理解する。この「わかりやすい」が案外難しいのですが、「みんなでなんとなく理解しているからいいでしょ」という怠慢が、ものすごい作業ロスを生んでいる事があります。
小規模なチームであればなおのこと、自分の作業が全体図のどこに当たるものなのか、を全員がイメージできている状況が必要です。
「あれ?この作業はここのセクションで一任できるのでは?」という業務改善のアイデアも生まれやすくなります。

施策例
・会社の収益モデルの図案化(指標化の項目にリンク)
・業務フローの図案化

Optimization / 最適化

「最初からこのやり方でやっているからそのやり方を続けている」といった慣習にどこまでメスを入れられるか、というのがリーダーの手腕と言えるでしょう。プロジェクトに使用しているツールはそれでいいのか?そのツールを運用するルールは必要ないか?コストマネジメントはできていて時間と費用の無駄は生んでいないか?様々な惰性を疑ってください。
「これは会社の文化だから」という言い回しがあります。「これは会社の文化だから(疑わないでこの慣習に倣って)」という意味なんでしょうが、法律だってアップデートしなければ制度疲労を起こすように、文化だって悪しき面を切除し、いい作用を取り込んでアップデートしていかないとあかんでしょ。

施策例
・PCのショートカットを全社員に身につける
・業務ツールの統合
・定型のあるタスクのテンプレート化

作業効率の最適化は個々人の業務パフォーマンスを最大化させます。

Indication / 指標化

年次の売り上げ目標が決まっていれば月次も週次も日次であっても目標が立ちます。WEBサービスであれば。CV数、CVR、PV、滞在時間、離脱率、直帰率といった数値がページ毎に指標化できます。
新しい施策については予測値を立てながら効果計測。事業のどこにボトルネックがあるかを分析します。
人事管理においても指標は役立ちます。いい営業とは、いいマーケッターとは、いいデザイナーとは、いい経営者とは?作業品質基準を職域ごとに定義し、それに繋がるように個々人のOKRを設定します。定期的な1 on 1で到達度の確認を行う。

施策例
・個々人のOKR設定(現実化の項目にリンク)
・業務における数値計測(可視化の項目にリンク)

Documentation / 資料化

低迷や苦節をどう乗り越えてきたか、その記録は財産です。
会議の議事録をとったり、ブランドであればそのブランドの背景に何があるか、その施策をとるために至るまでのストーリー、もちろん市場のリサーチなど、アーカイブをなるべく残して全体化する。(もしくは全体化しやすいようにする)「可視化」の項目にリンクします。
このアーカイブは再度組織に閉塞が訪れた際に再活用されるかもしれません。

施策例
・社内wikiの作成
・議事録の作成

社内wikiの運用などは、セクション間の人事異動があっても、その資料に目を通すだけで概要がつかめるようになるといった効能があります。
知見を資料化することで、属人的な作業を減らすこともできるはずです。

AVOID(回避)

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以上が事業のダウナー化回避の5つの施策方針です。これらの単語のイニシャルで「AVOID(回避)」
一見、システマチックだけど、Aの「現実化」とか、人間味があって空疎(void)じゃなくなってるんじゃないか(という言葉遊び)。
これらのアプローチに沿って施策をとることで、属人的、感覚的な仕事を脱却し、最適化された仕組みとしてビジネスを叩き直す事ができるのではないでしょうか。 ご参考までに。

#ビジネス #スタートアップ #エンジニア #ベンチャー

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