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優秀なライターの共通点「編集者視点」とは?sentence「読書会」#小原イベントレポ

ライティングコミュニティ・sentenceが主催する、読書の学びや感想をシェアしあう「読書会」に参加してきました。

現役の編集者・ライターをはじめ、10人以上が集まり「ライターとしてスキルアップするには?」「編集者視点って何?」「企画と情報の違いって?」等々、本の内容から派生した議論が白熱。扱った書籍は『オウンドメディアのつくりかた』です。

オウンドメディアとは企業が自社で所有するWEBサイトのこと。ブランディングや自社サービスの認知拡大、採用などの目的を達成するために運営されます。同書はオウンドメディアを開設するまでのフローを網羅性高く紹介しており、ライターや編集者など、常日頃メディアと接点を持つメンバーにとって改めて理解を深めるきっかけになりました。

読書会では各々が注目したポイントを挙げ、メンバー同士で議論。オウンドメディア運営に関する共通の悩みから、書くことに関心を持つ人にとって避けられない「企画出し」にまで話題は及びます。

そもそも、オウンドメディアは効果的なソリューションなのか?

ディスカッションに入る以前に、フリーランス編集者・ライターでありKAI-YOUの社外取締役を務めるメンバーの長谷川賢人さんから「オウンドメディアを立ち上げる理由ってなんだっけ?」との一声。というのも、本書はタイトル通り「オウンドメディアのつくりかた」を解説した一冊ですが、そもそもオウンドメディアを立ち上げる背景には触れられていません。

メディアを運営するにあたり、立ち上げることよりも運営を続けていく方が大変です。そのことを覚えておかないと、メディアは効果をなさないソリューションになってしまいます。まずはそのことを理解しておこうと、共通の認識を持った上で議論は始まりました。

ライターの腕が問われる「企画出し」

以前、sentenceスクール(現・sentenceゼミ)を経て編集者へとキャリアチェンジされた、もりやみほさんが「企画出しをする機会はあるものの、経験がなく正解が分からない」と発言すると、全員が共感。どうやら、ライターにとって「企画出し」は共通の課題のようです。

メディアを立ち上げたあと、その後適切な運用をしていくためには優れたコンテンツ、つまり企画が必要になります。側が作れたとしても、中身がなければ、オウンドメディアは目的を達成する手段になりえません。

文章の書き方は独学で会得できても、企画の出し方を自分のものにするのは困難。というのも、企画出しに、これといったフォーマットは存在せず、企画の良し悪しは属人的になってしまうからです。

そもそも企画とは「情報をどのような視点で切り取るのか」が大切なのですが、視点は人によって違います。また、そもそも企画と情報の違いを知っていない方も多い。

キュレーションメディアの勃興以降よく見かける「〜にある美味しいラーメン屋さん10選」は情報に過ぎず、企画としては成立していません。「〜にあるラーメン屋さん」という情報を、どう切り取るのかという編集者視点こそが大切なのですが、その視点が間違っているのか、正しいのかを判断すにはどうしたらいいのだろう…としばらく議論しました。

「いい企画」の具体例にあげられたのが、「日本の伝統工芸を元気にする!」をビジョンに掲げ、麻織物の生産販売や業界特化型のコンサルティングを展開する中川政七商店のオウンドメディア「さんち」の記事。

若き天才ともてはやされる17歳の将棋のプロ棋士を描いた映画『3月のライオン』に登場する「将棋駒」にフォーカスを当てた記事です。同作で使用される将棋の駒は、非常に価値の高い伝統工芸品。しかし、ただ「この将棋駒がすごい!」とPRしたところで、その記事に興味を持つのは「将棋が好きな人」だけです。要するにPR効果は高くないので、「日本の伝統工芸を元気にする!」ことは難しい。

しかし『3月のライオン』という視点で「将棋駒」を切り取ることで、将棋に興味がない人や、伝統工芸に無関心な人の注目を集めることができます。この記事は、将棋駒が社会との接点を作る「企画」として成立しているのです。

スキルアップのために、自分なりの価値基準をつくる

企画出しの精度を上げることができれば、書くだけではなく、より上流の仕事ができるようになります。記事が発注されるまでのフローを担えるからです。

どうやって企画の精度を上げるか参加者で話し合った結果、まずはベンチマークとなる編集者やメディアを設定することが有用なのではないかとの結論に至りました。

「面白い!」と思われる記事には、理由がある。「なぜこの記事はシェアされるのか?」「なぜこの企画は面白いのか?」と、気になった記事や担当したライター・編集者、メディアを解析することで特徴をつかめます。

記事を書くだけではなく、読むことで得た知見を蓄積し、それをしっかり言語化することがスキルアップにつながるのではないでしょうか。



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