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松屋とアパホテルとユニクロと私

「お願いがあるのよ 納期が迫った私 大事に思うのならば ちゃんと聞いてほしい」

と、師匠から一報をいただいた。

「松屋とアパホテルとユニクロと私 愛する小原のため ホテル代出してあげるから 一緒に原稿書いてね」

とのことだった。師匠が、平松愛理にみえた。平松愛理は、わりと顔が好みの方だ。気づいたら「やります」と言っていたーー。

アパホテルと私

上記したことはサラッと流していただいて構わない。つい先日まで、僕は師匠とアシスタントの丸山あきらと、休む暇もなく原稿を書き続けた。納期が一週間後に迫った大型案件を抱え、アパホテルに飛び込んだ。

3月の弟子入り以来、毎日背伸びをし続けたわけだが、年末に「これまでの仕事なんてたいしてキツくなかった」と言えるほどの案件が舞い込んできたのだ。

僕は時間と体力、そして半年間で培ったライティングスキルを差し出し、師匠はアパホテルというソリューションを僕に提示した。このときの僕は、まさか、一週間以上をアパホテルで過ごすことになるとは思っていなかった。

アパホテル初日、原稿に着手して初めて、想像以上にスケジュールが絶望的だと知る。「一発目に気が緩んだら、このプロジェクトは残念な結果に散るのではないか?」そう考え、誰に頼まれたわけでもなく朝の8時まで原稿を書き続けた。

そこから2時間ほど睡眠をとったのだが、アパホテルのベッドは睡眠効率がエグい。普段パイプベットで寝ているからか、2時間あればわりと体力を回復することができた。血で血を洗う、アパホテルウィークの幕開けである。

松屋とアパホテルと私

基本的に、食事は常日頃からお世話になっている松屋で済ませた。とんでもないスピードで食事が出てくる上に、サラダと味噌汁がついていて、体に優しい。しかも、安いし旨い。券売機制なので、眠気を誘う糖質を避けることもできる。そして、どこにでもある。

A:どこに住んでるの?
B:知らないと思うけど、〜〜駅ってとこ。
A:あ、知ってるよ。駅前に松屋あるとこでしょ?
B:そうそう!なんで知ってるの?

そんな会話が成り立つほど、松屋はどこにでもある。「みんなの食卓でありたい」ーー。とことん、ビジョナリーな企業だ。

悪いが、何も「痛快」ではない。「胸がすくほど気持がいい」わけがない。「小気味よく愉快」なわけがない。この所業から僕を救ってくれるのは、松屋しかない。

夜遅くまで作業した眠気の残る朝に、リョーさんのMacから流れる大音量の「エレクトロニカル・パレード」で起きた絶望的な朝に、松屋の味噌汁が染みた。

お昼と夜は牛皿の大盛りを食べたのだが、お米を省くと、牛丼を食べていると忘れがちな「熟成チルド牛肉の美味さ」を改めて感じた。

松屋は、欲しいものがなんでも揃う時代に生まれた“乾けない世代”の私たちに、「当たり前」のありがたさを教えてくれる。

松屋とアパホテルとユニクロと私

アパホテルウィークの最中に、柿次郎さんが主催する #パラレル親方 イベントがあった。まさか、数日間の汗水を溜め込んだ衣服で参加できるわけがない。

……目に入ったのは「ユニクロ」の看板だった。吸い寄せられるように足を運ぶと、そこには靴下やパンツがたくさん並んでいた。しかも、鬼のように安い。体が限界まで臭う僕にとって、夢の国のようだった。その瞬間に、脳内で「エレクトロニカル・パレード」が再生された。

「ディズニーランドだ…!」

靴下とパンツ、下着とパーカーを購入した。全部合わせて5,000円程度だったと思う。ユニクロのホームページには「自社に要望される顧客サービスを考え抜き、最高の顧客サービスを実現させる」と書かれている。

……購入した服に、「sponsored by UNIQLO」「sponsored by 松屋」とでっかくロゴを貼り付けたくなった。「この案件は、ユニクロと松屋の協賛で動いている」と自己解釈したら、弱音を吐いている場合じゃないと、自分を鼓舞することができた。

手を抜くこともしない、諦めることもしない。僕の“決意”は“覚悟”に変わった。

「心の筋肉戦士」丸山が参戦

アパホテルウィーク4日目、ついに体力が限界に達し始める。そして、「実際問題間に合わない」という事案が発生。

「もし私が先立てば オレも死ぬと云ってね 私はその言葉を胸に 天国へと旅立つわ あなたの右の眉 みとどけたあと」

……あかん、あかん!!死ぬ前に、アシスタントの丸山あきらに連絡した。

小原:丸山くん、コミットできる?
丸山:小原さん、コミットできます。

Google docsがなければ、どうなっていたことだろう。果たして、無事に納品できていたかわからない。

「sponsored by Google」……ついに、世界のGoogleがこの案件に協賛した。

そして翌日、丸山はバーチャル世界からリアルワールドに飛び出し、アパホテルにやってきた。おそらく、#パラレル親方 で参加者の猛烈な熱意に感化されたのだろう。ついに、マジモンのマッチョイズムを発揮してきた。

彼の勇気に後押しされ、僕のやる気も右肩上がりになった。

「sponsored by AKIRA MARUYAMA」

……書けば書くほど、脳内からドーパミンが溢れた。昨日より今日、今日より明日…と書けるようになってきた。間違いない、僕は、根っからのM気質だ。

アパホテルの終わりに

ぶっちゃけ、超絶キツかった。キツかったが、終わってみればなんのその。アパ→松屋→ユニクロの「AMUサイクル」を回し続けたら、とりあえず、無事に初稿を納品できた。PDCAサイクルより全然良い。リョーさん、丸山くん、マジでありがとう。

結局あれだ、機会に飛び込み、機会で暴れることが最短で成長する要因だ。執筆中は何も考えずに筆を取り続けたが、終わった後にいろいろ考えることも多い。

弟子入りしてから続けてきた背伸びが、一旦終わった気がする。ちょっとだけ高いところに登れたんじゃないか。そして今日から、もうちょい背伸びする。背伸びは地に足が付いているから、ギリギリのところで踏ん張れる。

駆け足で振り返ってしまったので、もっと詳しく話が聞きたいという人は、後日公開される丸山くんのnoteをチェックしてみてください。

そしてこのnoteを読んでくれた皆さんに、一つ、メッセージを送ります。


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