ピエール瀧を巡る薬物ネットワークあるいは住吉会"麻薬グルーヴ”の行方

2019年3月12日、ピエール瀧はコカイン使用の容疑で逮捕された。その後、出演作品や電気グルーヴの音楽配信が続々と中止になり、日本の異様な道徳観が顕在化した。ピエール瀧の逮捕を東京スポーツが的中させたことと、他にも大物芸能人が逮捕されるという伝聞も重なり、ピエール瀧とコカインを巡る物語は日本で巨大な勢力を持った。更にピエール瀧が20代より麻薬を常習していたことも発覚し、それでいてなお、ピエール瀧は常識人と思われていたところから、ピエール瀧のシャブ道における練達の姿を我々は目の当たりにすることになった。

ピエール瀧に薬物を運んだとされる翻訳業の女性(田坂真樹)も逮捕され、その夫も電気グルーヴと関係するDJ TASAKAであったことも取り上げられ、更に石野卓球はドイツに国外逃亡とも取れる行動をとった。石野卓球がドイツで麻薬に手を出しており女性との性交渉も持ったことも密かに告発されていた。

2019年4月4日に、ピエール瀧は400万円の保釈金で釈放、2019年4月12日に田坂真樹は300万円の保釈金で釈放された。カルロス・ゴーンが逮捕から108日目に10億円の保釈金で釈放されたが、4度目の逮捕を受けたことを踏まえると安価に済んだのだな、と思った。

だが、我々が驚くべきなのはピエール瀧が捕まったことより、その後の迅速な警察による住吉会の麻薬ネットワークの摘発だ。恐らく、ピエール瀧と田坂真樹は早期の釈放と引き換えに、日本の関東〜中部を中心とする麻薬ネットワークについて正確な情報をリークしたのだと思われる。

2019年4月12日、ピエール瀧逮捕から1ヶ月後の金曜日までに、日本の警察が行なった摘発をつぶさに見れば、1つの組織が壊滅する様子が手に取るようにわかる。

端的に言えば、住吉会が主催する麻薬ネットワークが存在したようであり、販売方法はUber eatsやメルカリを連想する素人を使ったものである。販売エリアは、東京から京都まで及んでいる。(関西や九州、四国には別の組織、例えば山口組系のものでもあるのかもしれない)
埼玉県に大麻栽培工場を持ち、都内のマンションを倉庫がわりに使い、郵便販売や、出張販売も行なっており、六本木にはナイジェリア人を使った薬局を持つ。青森などの地方空港経由で海外の麻薬を仕入れていた可能性がある。

恐らくだが、今後は、関東〜中部にかけての麻薬販売組織の壊滅により、麻薬の取引価格は高騰したことによる金銭トラブルや殺人事件、麻薬利権の派遣をめぐる暴力団同士の抗争、国家による大麻合法化などの計画が着々と進むだろう。その渦中で、ピエール瀧は「自殺」させられるかもしれない。(まるで茶道において自死した千利休のようだ・・)石野卓球は依然として音楽業界の利権として、また、麻薬組織を嗅ぎ分ける警察の犬として活動を続けることになるだろう。

1)2019年4月11日、京都にてコカイン所持のラッパー逮捕(産経新聞)
京都市のラッパーに、住吉会系組員(東京都目黒区)がホテルの一室でコカインを販売。

2)2019年4月12日、東京都 豊島区で住吉会系暴力団員、逮捕(TBS)
住吉会系暴力団員が、愛知県の客に郵便で麻薬を送付しており逮捕。
ピエール瀧がコカインの調達を静岡で行なっていたという説もあり、興味深い。

3)2019年4月12日、東京都 目黒区のマンションが麻薬倉庫に(産経新聞)
氏名不詳者(!?)と共謀し、目黒区内のマンションにコカイン含む各種麻薬を倉庫のように保管しており逮捕(逮捕はなぜか神奈川県警)

4)2019年4月12日、埼玉県 大麻栽培工場が摘発(日テレ)
埼玉県日高市の民家で乾燥大麻およそ190グラム、栽培中の大麻草77本のほか、照明器具など大麻を栽培する道具が発見。テレビ朝日によれば、去年12月、埼玉県狭山市の路上に乾燥大麻約60グラムと覚醒剤約18グラムが放置される事件があり、逮捕された指定暴力団住吉会系組員の菅谷典史容疑者(30)の関係先として捜索された。警察は、栽培した大麻を暴力団が密売していたとみている。

5)2019年4月12日、六本木、ナイジェリア人の薬物バー摘発(TBS)
ナイジェリア人が麻薬をバーで販売。麻薬の販売拠点か。

6)青森空港で韓国人夫婦が薬物運搬で逮捕(東奥日報)
恐らく、これはタイミングの問題だけでピエール瀧とは関係ないだろうが、暴力団と馴染みの深い韓国人や、荷物を南アフリカで受け取ったことや、大麻合法化されているオランダ人も青森に来ていたことなど興味深い。地方空港は麻薬運搬の穴場なのか?

以下は、上記記事の本文を再録した。

1)2019年4月11日、京都にてコカイン所持のラッパー逮捕(産経新聞)
販売する目的でコカインを購入したなどとして、京都府警は11日、麻薬取締法違反(営利目的譲り受けなど)の疑いで、京都市下京区の音楽家、西田宣孝容疑者(40)ら男4人を逮捕したと発表した。西田容疑者は「ラ・ボーノ・カポ」を名乗り、ラッパーとして関西のクラブなどで活動していた。
また、西田容疑者らにコカインを販売したとして、同法違反(営利目的譲り渡し)の疑いで、指定暴力団住吉会系組員、岸野成利容疑者(35)=東京都目黒区=も逮捕した。
西田容疑者らの逮捕容疑は昨年4月、京都市中京区内にあるホテルの一室で、コカインの粉末約500グラム(末端価格約1千万円)を岸野容疑者から購入したとしている。
府警はいずれも認否を明らかにしていない。
西田容疑者ら購入した4人はすでに麻薬取締法違反罪で起訴されている。西田容疑者と岸野容疑者は知人関係で、西田容疑者と他の男3人も音楽を通じた知り合いだったという。府警は4人が譲り受けたコカインの販売ルートなどを捜査している。
2)2019年4月12日、東京都 豊島区で住吉会系暴力団員、逮捕(TBS)
覚醒剤や大麻を70人以上に販売して少なくとも1200万円を売り上げたとみられる住吉会系暴力団幹部の男ら2人が警視庁に逮捕されました。逮捕されたのは、東京・豊島区に住む、住吉会系暴力団幹部の佐藤達也容疑者(50)ら男2人で、おととし9月、中野区のコンビニエンスストアから愛知県安城市に住む50代の男に覚醒剤およそ50グラムを宅配便で郵送した疑いが持たれています。佐藤容疑者は、これまでに知人の紹介やインターネットの掲示板で知り合った70人以上に覚醒剤や大麻を販売して、およそ1200万円を売り上げていたとみられますが、取り調べに対し「よく覚えていない」などと容疑を否認しています。警視庁は、売上金が暴力団の資金源になっていた可能性もあるとみて調べています。
3)2019年4月12日、東京都 目黒区のマンションが麻薬倉庫に(産経新聞)
大麻を所持したとして、神奈川県警薬物銃器対策課は12日、大麻取締法違反容疑で、住所不詳、無職の小島雅史容疑者(34)と東京都世田谷区松原の清掃業、知公伸紘容疑者(33)を逮捕したと発表した。いずれも容疑を否認している。小島容疑者の逮捕容疑は11日午後3時半ごろ、東京都目黒区のマンションの一室で、ポリ袋入りの大麻約12グラムを所持し、氏名不詳者と共謀のうえ、営利目的で同日午後6時50分ごろ、同マンションの一室で、大麻約1300グラム(末端価格約650万円)などを所持したとしている。両容疑者の逮捕容疑は氏名不詳者と共謀のうえ、昨年10月23日ごろ、同葛飾区のマンションの一室で、大麻約1・4グラムを所持したとしている。同課によると、小島容疑者は都内のマンションを倉庫代わりにして大麻を密売していたとみられている。目黒区のマンションの室内からはコカインや合成麻薬「MDMA」とみられる粉末や錠剤もみつかっており、同課は背後関係を含めて捜査を進めている。
4)2019年4月12日、埼玉県 大麻栽培工場が摘発(日テレ)
埼玉県日高市の民家で大麻を販売目的で所持していたとして、34歳の男が逮捕された。大麻取締法違反の疑いで逮捕されたのは、川越市の自称会社員・小峰優容疑者。警察によると、小峰容疑者は日高市の民家で乾燥大麻1袋を販売目的で所持していた疑いがもたれている。警察がこの民家を捜索したところ、乾燥大麻およそ190グラム、栽培中の大麻草77本のほか、照明器具など大麻を栽培する道具が発見されたという。警察は、ここが大麻の栽培工場で、小峰容疑者が大麻を栽培していたとみて捜査を進めている。
5)2019年4月12日、六本木、ナイジェリア人の薬物バー摘発(TBS)
東京・六本木で違法薬物の販売拠点とみられるバーが摘発され、ナイジェリア国籍の男4人が警視庁に逮捕されました。逮捕されたのは港区六本木にあるバー「パワーハウス」の店員、アマエチ ラッキー レジナルド容疑者(33)らナイジェリア国籍の男4人です。4人は店内で「麻布パケ」と呼ばれるイラスト入りのパッケージに入った覚醒剤およそ1.7グラム、末端価格10万円相当を所持した疑いが持たれていて、他にもコカイン18万円相当などが見つかったということです。4人はいずれも容疑を否認していますが、警視庁は店が違法薬物の販売拠点になっていたとみて調べています。
6)青森空港でオランダ国籍の韓国人夫婦が薬物運搬で逮捕(東奥日報)
青森空港に韓国から入国する際、覚醒剤約3キロ(末端価格約1億8千万円相当)を密輸したとして、青森署と県警組織犯罪対策課は覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)、関税法違反(禁制品輸入未遂)の疑いで韓国籍の夫婦を逮捕し、12日発表した。県警によると2人は「かばんの中身が何か知らなかった」「南アフリカで知人に頼まれて預かった」などと容疑を否認している。今回の押収量は、3月に発覚したオランダ国籍の男女=覚せい剤取締法違反罪などで起訴済み=のケースを約14グラム上回り、県内過去最多。逮捕されたのは住所不定、無職の男性(65)と、妻(64)の両容疑者。逮捕容疑は3月24日、韓国・仁川国際空港で、覚醒剤を入れたかばんを持って青森空港行きの旅客機に乗り、同空港に降り立った疑い。また、関税法で輸入禁制品の覚醒剤を輸入しようとしたが、未遂に終わった疑い。県警によると、函館税関青森税関支署の税関検査で職員が覚醒剤を発見。24日午後6時40分、2人を現行犯逮捕し、県警に身柄を引き渡した。2人はバッグを一つずつ持ち、覚醒剤が入ったポリ袋をガムテープでぐるぐる巻きにするなどしていた。同支署と県警は10日、容疑者2人を関税法違反(禁制品輸入未遂)の疑いで青森地検に告発した。

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