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消費税の正体(1)

消費税とは何なのか。
公認会計士、税理士、そして米国ワシントン州公認会計士である森井じゅんさんの発言をまとめます。

消費税という言葉自体がプロパガンダとして作用してきました。
あくまでも消費にかかる税である、というメッセージが込められています。

消費税について考えるとき、例えば「Aさんは100円のリンゴを買いました。そこに8%乗って108円で売れます。」といった算数の教科書的なストーリーがあります。それがあまりにわかりやすいがために、そこに引っ張られてしまいます。
本当は、価格とはどうやって形成されるのかといった実態の経済があります。
実際の経済を考え、どうやって世の中が回っているのかを考えるとき、教科書通りではありません。
シンプルな教科書の上ではとても正しく見えることが、実際の経済に落とし込んでみると全然違ったということはよくある事象です。
しかし消費税に関してはあまりにプロパガンダが進み、消費税という名前、レシート、経理方法、そういったものによってみんなに擦り込まれ、なかなかそこから出た議論や、実態の議論が全くできてきませんでした。
そこが恐ろしい点であり、今後何とかしていかなければいけない点だと思います。

なぜこんなに日本は苦しいのか、どうしてみんな生活が苦しいのか、ひとことで言うなら経済政策が間違ってきたから、これに尽きます。
消費税が何をしたか、ふたつ挙げると雇用破壊と経済基盤の破壊です。

1989年にサラリーマンが起こした消費税に関する訴訟があります。以下のような内容でした。
買い物をしたときに事業者に消費税を払っているのは一時的に預けているだけである。事業者は預かった消費税をのちに税務署や国庫に納めなければならない。しかし買い物をしたのは免税事業者だった。私が支払った消費税はそこで止まっており国庫に納入されていない。ネコババが起きているのは許されないのではないか、このような状態を認めてしまう消費税という仕組みはおかしい、という主張でした。
これに対し判決は、払ったお金は消費税分であろうがそれ以外であろうが対価の一部である、というものでした。

例えば源泉徴収は、雇用主である事業者が源泉徴収という形で税金を徴収し、それを税務署に納めています。所得税などが該当します。
こういう場合、事業者は源泉徴収をしなければなりません。預からなければならない、そして預かったものを税務署に納めなければならない、という源泉徴収の義務があります。

では消費税だと事業者は徴収義務があるのでしょうか。
もし事業者が預かる義務があって、それを納める義務があるのであれば、上記のケースはネコババになります。
消費税において徴収義務があるのかどうかが裁判のポイントでした。そして判決で徴収義務は否定されました。
110円のボールペンがあったとき、私がそのボールペンを手に入れるためには110円を払うしかないわけです。
110円の中にはさまざまなコスト要因が含まれており、消費税もその一部に過ぎない、対価の一部であるとはそういう意味になります。
法的には、消費税として払っているものではないということです。
110円のボールペンを売り上げたとき、10円の消費税が含まれています。
事業者は売り上げた中から10円を積み重ねていって消費税として税務署に納めていると私たちは思っています。
しかし消費税の申告書などを作成するとわかりますが実際は全然違います。消費税は積み上げで計算するものではそもそもありません。

消費税の正体(2)に続きます。

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