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税金の役割

現代貨幣理論(MMT)によると、日本政府が日本円建ての負債の返済不能、つまり財政破綻に陥る可能性はゼロであるといいます。
それなら税金を取る必要ないのではないかという考えが浮かびます。日本は無税国家になれます。

しかしその発想は、税金=財源であるという認識に基づいています。
財源としての税金の役割は微々たるものであると考えられています。税金の役割とはなんなのでしょうか。

税金には主に3つの役割があります。

① 景気の安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)
好景気の時期には徴税を増やし、可処分所得を減らすことで景気を鎮静化させる。逆に、不景気の時期には徴税を減らし、可処分所得を増やすことで景気を回復させる。

② 所得再分配による格差縮小
高所得者層から税金を徴収し、低所得者層あるいは国民向けの公共サービスに支出することで、格差を是正し国内を安定化させる。

③ 財源あるいは通貨(日本円)の強制
政府が財源という名目で日本円での税金の支払いを求め、さらに公共サービスや公共投資の支出を日本円で行うため、日本国内では日本円以外の流通が制限される。

通貨の強制とは、日本円という通貨に根源的な価値を与えることです。
日本円でいろんな物やサービスを買うことができますが、仮にそれらがなくなってしまっても日本円には納税という最終的な使い道があります。
税金によって円というお金に価値を与えることができます。

増税すると円の価値は上がります。円の価値が上がるということはデフレが起きます。減税は逆にインフレを起こします。
政府は増税と減税を使い分けてお金の価値をコントロールし、緩やかなインフレを目指すのが理想的です。

日本経済は90年代半ばからデフレ下にあります。
にもかかわらず政府は消費税をはじめ増税を繰り返しています。

財務省のホームページには税の三原則が記載されています。
・公平の原則
経済力が同等の人に等しい負担を求める水平的公平と、経済力のある人により大きな負担を求める垂直的公平があります。
近年では世代間の公平が一層重要となっています。
・中立の原則
税制が個人や企業の経済活動における選択を歪めないようにしないといけません。
・簡素の原則
税制の仕組みをできるだけ簡素にし、理解しやすいものにする必要があります。

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