獣医試験対策シリーズ1 皮膚の病理学(作成中)

試験勉強お疲れ様です。春から獣医4年になる者です。
病理学は、覚える前に頭の中でイメージ・情報整理をする必要があり暗記するのも一苦労の科目ですよね。
私も大の苦手だった病理学ですが、わかりにくい皮膚疾患についてざっくり解説するのでこれを読んでから教科書で複雑で詳細な機序を頭に叩き込んでみてください。適当に思いついた皮膚からのんびり始めますが順次増やす予定です!

角化亢進
角化亢進とは、角質が増えて角質層が分厚くなりすぎる状態。正角化と不全角化がある。正角化は、核がないノーマルな角質が異常な増え方をしたもの。不全角化は、角質細胞内に核を残したまま異常な増え方をするもの。正角化は増え方だけ異常で、不全角化は増える細胞自体も異常なイメージ。また、正角化では角質が均一に綺麗に肥厚するが、不全角化では円盤状に(真ん中が膨らんで)肥厚する。

乳房炎で大事なものは病態別に分けて5つある。

  • 限局性乳房炎:肉眼的に特に変わった異常はないが、組織学的に見ると一部に限った小さい病巣を作る。これが集まって大きくなることで灰白色に硬くなる。(肝臓様と表現する。)硬くて灰色っぽいから白色の正常部分と区別できる。原因菌はStreptococcus agalactiae

  • 壊死性乳房炎:肉眼的に乳房全体が強く腫れ上がる。血様・水様の分泌物と線維素(フィブリンと一緒)の析出がある激しい乳房炎!乳腺上皮が壊死して、内腔にフィブリンと血液が入る。リンパ管と血管にフィブリンや血栓が見られて間質は壊死する。Escherichia coliが多く分離される。

  • 夏期乳房炎:化膿性の乳房炎の一つ。未経産牛や乾乳期(搾乳おやすみ期間)の牛に起こる。大きな乳管、乳槽に膿を含み、壁は結合組織が増えて分厚くなる。小さな乳管は中に好中球を入れる。Arcanobacterium pyogenesが分離される

  • 肉芽腫性乳房炎:その名の通り、可能性肉芽腫が乳房に起こる。放線菌だけでなく、Staphylococcus aureusによるものが多い。

天疱瘡は4つに分けられる!

  • 尋常性天疱瘡:デスモグレイン3に対する自己抗体によるもの。基底層のすぐ上で表皮が剥がれ、水疱中には棘融解細胞と好中球が認められる。肉眼的には水疱、びらんや潰瘍、痂皮が見られる。水疱底は一層の基底細胞、水疱の上は正常の有棘細胞がある。

  • 水疱性類天疱瘡:自己免疫性の表皮下水疱症である。口腔粘膜などにできる。犬でヘミデスモゾームの膜貫通タンパクのBPAG2に対する自己抗体。肉眼的には鼻や眼、耳介などの粘膜に水疱、びらん、痂皮が見られる。組織学的には、水疱は表皮より下で深めのところにできる。

  • 落葉状天疱瘡:犬に一番よくできる天疱瘡。デスモグレイン1に対する自己抗体による。犬では膿疱を作る。好発部位は頭部(鼻背部、眼瞼周囲、耳介など)、体幹、足底肉球である。肉眼的には頭部で発赤、脱毛や痂皮、体幹で毛包とは違う場所にできる膿疱、足底にびらん、角化亢進。組織学的には、角質内あるいは角質下の膿疱内に多数の好中球と棘融解細胞を含む。水疱じゃなくて膿疱なのと、浅い表面部分で皮膚が壊れちゃうイメージ

  • 紅斑性天疱瘡:病変は頭部に特に出来て、粘膜にはない。肉眼的には頭部で発赤、脱毛、痂皮、膿疱が見られる。組織学的には角質下、表皮の膿疱内に多数の好中球、棘融解細胞が見られる。頭限定バージョンって感じ



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