脳の基本構造は5億年以上前に完成していた

理化学研究所、兵庫医科大学らの共同研究グループは、顎(あご)を持たない脊椎動物「円口類」の脳の発生過程を観察し、この種の動物ではこれまで見つかっておらず、人間の脳の構造にも通じる脳の2領域と小脳として機能する領域を新たに発見しました。円口類とそれ以外の生物(顎口類)は非常に古くに進化的な枝分かれをして現在に至っています。円口類において哺乳類と似た脳の構造が確認されたということは、脳の各領域のほとんどが、生物類が分岐する5億年以上前という脊椎動物の進化過程の極めて早い段階にすでに成立していたことが推測されます。

小脳の起源が非常に古いことがわかりましたので、今後は脳の構造の中で最も新しいとされる大脳新皮質の起源が注目を集めるものと思われます。大脳新皮質はほ乳類で特に発達した領域ですが、は虫類や鳥類でも類似した領域が見つかっています。この大脳新皮質の起源はどのような進化的変遷を経て、ヒトの「知性」がどのように生まれたのか、非常に興味のあるテーマです。

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