高分子甘味料

甘い食べ物やハイカロリーな食べ物はとても魅力的ですね。でも、最近はおやつ1個買うにも裏っかわのカロリー表示をチェックし、しばしそのラベルを見つめた後に、そっと手に取ったおやつを棚に戻す・・・そんなことをしている人も多いのではないでしょうか。

実際問題として近年は肥満をはじめとする生活習慣病が大きな問題となっており、その原因の一つに高カロリーな食品の大量摂取があることは事実です。そのため、多くの低カロリー甘味料が登場しています。その選択肢の一つとして注目を集めているのが高分子甘味料です。

砂糖のような甘味料は分子が小さいため、そのまま体内に吸収されてしまいますが、高分子甘味料は口の中では甘みを感じるものの、胃や小腸で分解されてしまいますし、分解されなかったものは分子が巨大なので体内に吸収されにくいという特徴があります。

高分子甘味料の一例は「ソーマチン」というタンパク質で、西アフリカ原産の熱帯植物由来のタンパク質です。普通の砂糖の分子量(大きさ)が342であるのに対して、これは約22,000もある巨大な分子です。計算上はソーマチンを1グラム食べたときに感じる甘みは、砂糖を3キログラム食べたときの甘みに匹敵します。すでに天然由来の甘味料として、食品、医薬品に利用されています。

高分子甘味料はアミノ酸が数百個も結合している分子ですが、高分子甘味料のおもしろいところはアミノ酸を一部を変更することによって甘みを調整できるところです。最近の研究では京都大学の研究者らがアミノ酸を1個変更することによって天然ソーマチンよりもさらに甘い改変ソーマチンを作り出すことに成功しています。

なお、砂糖と高分子甘味料は味を感じるメカニズムが異なっていると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?