見出し画像

冬場のリードのヘタり問題について

オーボエを吹いていて、特に冬場に起きやすいリードのヘタりは死活問題です。最初は良い感じでも段々重たくなって、息が入らなくなって、音にハリがなくなって…リード変えるか…という事が多々あります。この問題について改めて自分なりに解決方法を色々考えたので、今回ご紹介します。

なお、データをとって数値的にこう示されたなどという話ではなく、あくまで僕個人の「感覚」がこうであったという事にご了承ください。

1.ヘタる原因

夏のほうが湿度があってふにゃふにゃになりやすいと思うのが直感ですが、実際は夏場より冬場のほうがヘタる速さが早いと感じます。夏と冬の違いは気温と湿度として、なぜ冬の方がヘタりやすいか考えてみます。

その話の前にいきなり脱線しますが、夏場や梅雨の時期など、湿度が高く雨が降っている時はリードが重いと感じる人が多くいると思います。この理由は色々あるのですが、主な原因は、湿度が高いとリードから水分が蒸発せず、柔らかくなる一方になるという点と、雨が降るということは気圧が低くなるため、気圧が低くなるにつれリードが膨れ、物理的に厚くなる点です(山にポテチの袋を持っていくとパンパンになるのと同じです)。

この夏場のリード重い問題は、最初から重いのが特徴です。吹いてて特に変化は少ないけど、重い。

これに対して冬場のリード重い問題は、最初は良いんですが、明らかにヘタるスピードが早い。つまり変化のある、重くなっていく問題です。冬なので楽器が冷たいため、ウォーミングアップだ!とガンガン吹いてて、まあまあ温まったから曲の練習だと思ったところで、なんかリード重いな…?音もハリが無くなった…リード変えるか…となるのが冬場のヘタり問題です。

この冬場のヘタり問題に対して、起こる原因を自分なりに考えてみたところ、主な原因として、「リードが乾いている状態で振動させるとダメージが大きい」「リードの保管中の極度の乾燥」という2点が原因としてあるなと感じました。

それぞれに対してその症状と対策を解説します。

2.リードが乾いている状態で振動させるとダメージが大きい

冬場は乾燥し、すぐリードの中の水分は蒸発していきます。リードは植物なので、小さな穴が無数にあるスポンジ状の構造ですので、そこに水が貯まり、蒸発したりを繰り返します。

一般的に楽器を吹く前にリードを水につけますが、なぜつけるかと言うと、そのままでは硬くて吹けないから水につけて柔らかくして振動しやすくして吹くためです。反対に水をつけすぎると柔らかくなりすぎて、ハリがなくなり振動しにくくなり重くなります。要するに、適度な水分がリードにとって必要ということです。

ほとんど水につけないで吹くリードを自作する方もいますが、それは特殊というと語弊がありますが、一般的には市販の完成リードは適度な水が必要です。

秋から冬にかけて、急に空気が乾燥しだして、夏場のような感覚でリードを作っていると、リードが「水分不足」の状態で使われることになります。その結果、なんか硬いなと思って気付かず削り過ぎの状態になっていたり、あるいはリードが十分に湿ってない状態で吹くと、この時リードは振動しながら、ハリを犠牲にどんどん寿命を削っていきます。硬い状態で高速振動させるわけですから、リードにとって負担が大きい状態になります。

対策として、リードを自作する方向けには「水が十分浸透している状態を想定としたバランスでリードを作る」が考えられます。
・ガウジングをやや厚くする(影響大)
・スクレープをやや短くする(影響中)
・そもそも削り過ぎない
・リード調整の際の水分管理に気を付ける
以上がその方法になるかと思います。

ガウジングを厚くするのとスクレープを短くすることを同時にやると、硬くなりすぎることがありますので、どちらかを選ぶといいと思います。また、リード調整していると思ったより蒸発が早く、いつのまにかリードが、かなり乾燥している状態で調整していることになっている…という事が多いです。そこも気を付けるべきでしょう。

自分の場合、ガウジングを夏場の54から55に変更、リーガーのメーキングマシンのスクレープを0.5mm短く設定し、スクレープを長くしたほうが良さそうなリードは、センターをいじらずにW字状に伸ばしてあげるとちょうどいい感じになっています。

完成リードを購入している方向けには、「リードに多めに水を浸透させて吹く」が対策になるかと思います。リードによって水につける時間は違うので具体的な時間は一概に言えませんが、
・夏場よりも1.5倍~2倍程度は水につける
・水をつける際、先端だけでなくワイヤー近くの深い部分まで水につける(長時間は不要)
以上が対策になるかと思います。

楽譜出したり楽器組み立てたりの準備を完全に終えて、最後にリードを水につけてから吹く人は、水につける時間が短くなりやすいかと思いますので、ご注意を。水入れにリードを入れたままにしながら、楽譜出したり楽器組み立てたりの準備をする人は冬場は特に気しなくていいと思います(ヘタり問題よりうっかり付けすぎに注意ですが)。あるいは水にチョンとつけて、そのままリードケースにしまってもろもろの準備をする方もいます。その場合、冬場は深い部分まで水をつけることを意識したほうが良いかと思います。この方法は吹く際開きが強くなっていますので、割れないように気を付けて開きを潰してください。

3.リードの保管中の極度の乾燥

たくさんのリードをお持ちの方は大変うらやましい限り…じゃなくて、夏と比べて冬は、ローテーションで使っても、なんか長持ちしてる気がしない…と感じるかと思います。吹いてないリードも実は少しずつ劣化していっており、特に冬場はその進みが早いです。

リードのローテーションは月3本購入の、今月購入分と先月購入分の6本ローテが個人的には学生、社会人のアマチュア問わずおすすめです。節約する場合は、月に3本購入と2本購入を交互にするか、月2本で4本ローテになりますが、4本ローテだと、割れとか急な寿命でダメになった時すぐ買い足すリスクが付いて回ります。

ローテーションで使うとリードは3日~5日ほど吹かなくなるわけですが、場合によっては一週間吹かないリードなんかもでてくると思います。
私の感覚的に、冬場一週間吹かずにいた乾燥しきったリードを水につけて(仮に多めに水につけたとしても)吹こうとすると、相当リードに負担がかかると感じます。

一週間以上吹かないリードがたくさんあるようなローテーションをしている方(社会人アマチュアには多いかと思います)は、非常に面倒かと思いますが、3日~4日に一度、手持ちのリードを全て水につけてあげると長持ちするかと思います。
(ここの日数はあくまで個人的な匙加減ですので、各自調整してみてください)

ただ、乾燥において、水分を含む状態から乾燥を繰り返すほどダメージが大きいという話もありますので、上記の方法が正しいとも限りません。一方、極度の乾燥を防ぐ以下の方法は有効です。気密性があったり、中には吸水スポンジがあるリードケースや湿度計も備わっているリードケースを使用することが乾燥防止に繋がります。なかなか高くて買えない…という方は、ジップロックなどチャック付きのバッグにリードケースを入れて保管することをおすすめします。(気密性のある方法での保存は、カビにご注意ください)

少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。





よろしければサポートをお願い致します。今後の活動費に使わせていただきます。