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10月の記録

金木犀が咲いている。10月だ。
故郷は10月になると、町中の家にある金木犀が一斉に咲いて、どこでもいい香りがした。
私の家にも、隣の祖母の家にもあったけれど、1番印象深いのは斜め向かいの幼なじみの家のそれで、終わりかけに小さな花が何かの奇跡のように降って地面に絨毯を作っていた。
最近はいろんな商品を見るようになったけれど、あの子の家の木の下で嗅いだ匂いに勝るものはない。

10月は、三連休を利用して私の家族に彼を会わせた。
両親と妹のうち、母にしか合わせたことはなく、不安だった。
しばらく海外に言っていた父はどんな風に彼に接するか分からなかったけれど、始終話していたから、まぁ良かったんじゃないかと思う。
人見知りをする妹と、彼は目が合わなかったと言うけれど、だいぶ頑張ってくれていたと思う。
妹の成人式の前撮りがあって、彼を1人にしてしまう時間もあった。
それも楽しんでくれて良かった。

別に結婚に否定的な訳ではないのだけれど、現在同棲して事実婚状態でいるので、「責任」という形でいつかはしようと思いながらいたら、彼は来年かなぁというので案外そのときが近くて驚いた。
彼は次男で、もう長男の方は苗字を貫いてご結婚されているから、苗字合わせようか?と言う。
私は長女で妹はまだ結婚しないから分からないとしても、実家を離れているし自分の苗字に愛着はない。
なんというか、百均のハンコ売り場で買えない苗字なのである。珍しくはない、と、思う。少なくとも地元ではクラスに二人いたし。でも、間違いが多いのも事実だ。
それに彼の名前と組み合わせると、何だか音を繰り返しているみたいで語呂も良くない。
子どもができた時この苗字を継いで貰ったとして、テストで書くのに時間がかかるし、習字では書きにくいだろうし、体操着の刺繍で間違われるリスクだってある。

それに引き換え彼の苗字は、小学校1年生で習う漢字だし、私の名前と組み合わせてもそこまでおかしくない。
難儀なことだな、と思う。

何より嫌なのは苗字変更の手続きである。
婚姻届は不備なく書いて受理されれば終わりなのに、名前の変更は結構果てしない気がする。
職場、銀行、クレジットカード、病院各種契約。
夫婦の苗字が一緒のことが、子どもが居たとしても、それほど重要なのか。
クレジットカードの手続きの際、キーワードを忘れた際の秘密の質問に、「母親の旧姓は?」という選択肢があった。
なるほど、好きな都市なんかよりはずっと自分自身で間違えようのない質問なのかも知れない。
問題は、選択肢に「父親の旧姓は?」がない事である。私たちのジェンダーはきっともっと潜在的に決められてしまっている部分がある。

それから、noteのコンテストに2件、別でライターのコンペに1件応募した。
さらに小説をどの賞に応募するか決めて梗概を書いた。
日が全く登らないうちに起きたくない。
着々とできることを増やしていきたい。

いろんなことを諦めずに、生きていきたいと思う。


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