企業内弁護士が考える法律事務所選びのポイント

普段、考えていることをとにかくアウトプットしようと決めてから3日目になりました。所属している会社でマネジメントに携わるようになってから、本当に書く機会が減ったと実感しています。

さて、今回は企業内弁護士が法律事務所を弁護士の方々を見ているポイントについて書いてみようと思います。

弁護士と企業内弁護士

法律事務所にいた頃は、同僚の弁護士と「あの顧問先の担当者さんとはちょっとやりにくいな」とか、「あの担当者は社内調整が素晴らしいね」などと話をしていたこともありました。とはいうものの、こちらはお金を支払っていただく立場ですし、特にアソシエイト弁護士は所属する事務所内でも顧問先から常に評価される対象ですから、話したところで何も変わりません。

他方で、企業内弁護士として活動を始めると、法律事務所の弁護士を評価する、というとおこがましいですが、弁護士の仕事ぶりをみて案件を依頼しようかを検討する機会が多くなります。

大会社では複数の顧問弁護士と契約しており、案件ごとに弁護士を起用していることが多いようです。私もそうですが、法律事務所の専門や案件ごとに弁護士を起用することになります。

弁護士としての経験年数

弁護士として活動している年数は注目します。同じ弁護士として経験の浅い弁護士のみを選任するのはやや躊躇してしまうところがあるのも事実です。

最近の法律事務所はホームページに弁護士登録した日を掲載していますので、そこから判明する場合が多いでしょう。

裁判所の司法研修所では、毎年、司法試験を合格した後の修習生募集が掲載されています。https://www.courts.go.jp/saikosai/sihokensyujo/saiyo_senkou/index.html

この記事を書いている時点は75期の司法修習生ですから、70期台の弁護士は弁護士経験5年未満と推測できます。ただ、経験年数が短いから弁護士として優秀でないというわけではなく、一部には凄まじいパフォーマンスを発揮している超人クラスの弁護士がいます。そのような方に出会えるととてもラッキーなのかもしれません。

反対に経験年数が10年を超えてくると、パートナー弁護士として法律事務所の経営に携わっていることが多いでしょう。そうすると必然的に依頼した案件を事務所内のアソシエイトに振ることが多くなります。そうするとアソシエイト経験年数なども参考にしなければなりません。

ちなみに、私個人の経験則ですが、法律事務所内でパートナー弁護士とアソシエイト弁護士の修習期(経験年数)が15年〜20年くらい離れている場合、案件処理はほぼアソシエイト弁護士の力量にかかってきますので、アソシエイト弁護士の経歴や仕事ぶりをよく観察しましょう。

パートナー弁護士は仕事をとってくることがメインで、相談案件の処理に対しては全体を俯瞰する傾向が色濃く出ます。相談したい案件の細かい部分まで正確に把握しているパートナー弁護士は少ないのが印象です(特定分野を専門としている法律事務所であれば別ですが、企業法務全般を扱っているとアピールしている法律事務所だとその傾向がなおさら強いように感じます。)。

個人の方で弁護士を探しているときは、弁護士登録5年から20年くらいまでの方を目安にすると良いかと思います。

問い合わせに対してリアクションが早い弁護士

企業の動きは法律事務所の弁護士が考えている以上に早いです。これは企業に入ってみなければわかりません。

たとえば、弁護士宛にメールを送って、その日のうちに何かしらの返信がなければ、リアクションが遅い弁護士という烙印を押されるといっても、言い過ぎではないかもしれません。実際に、いくつかの法律事務所と契約している企業では、ほとんどの弁護士の方のリアクションは、とても早いです。

そのため、こちらの問い合わせに対してリアクションが早いのは当然の前提になっていて、初めて依頼する法律事務所でもリアクションが鈍いとそれだけ評価が悪くなるような気がします。

質問に対する回答が正確で早いとベストなのかもしれませんが、少なくとも企業側からの問い合わせに対して、早めに受領した旨の連絡を入れると良いかもしれません。

個人の方で、弁護士を探している、現に依頼している方は弁護士はリアクションが遅いのが普通、と思ってはいけません。案件をたくさん抱えて忙しいからリアクションが遅いとは思わないようにしましょう。優秀で忙しい弁護士ほどリアクションは早いです。

まとめ

・弁護士の経験年数をちゃんとみておく
・こちらの問い合わせに対する反応が早いかどうか

おそらく弁護士を選ぶ際の最低限のポイントだと思います。案件の分野の専門性があるか、仕事が緻密かどうかなどその他にも選ぶポイントありますが、それはまたどこかの機会で。




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