5年ごとに自分を振り返るといいってことに最近気がついてきた.

落合陽一のマガジンへようこそ,今日は久しぶりに振り返って考えたことを書こうと思ったので,そこそこ短文のNoteだと思う.マガジンの方には8月中に長く書いてまとめようかと思ってるけれど,メモがわりに.

さて,落合陽一は毎日いろんなアウトプットを出しているので何してる人かわからない人もたくさんいるかもしれないんだけど,今日は研究開発とかそれに纏わるエコシステムの話.

2009年の7月、落合陽一は何をしていたかというと学部3年生で,多分未踏の準備をしていた.その後の8月のブースト会議のあたりのtweetが残ってる.10年して何も変わってない.

だいたいそこから一年して,相変わらずコードを書いたり半田付けしたりしながら未踏のスパクリになって国際会議のSIGGRAPHに発表しにきていた.当時は学部の4年生だった.

2009年から5年後の2014年の7月、落合陽一は何をしていたかというと相変わらずコードを書いたり半田付けしたりしながらマイクロソフトリサーチにインターンに来ていて,国際会議のSIGGRAPHに発表しにきていた.当時は博士の2年生だった.

この当時の課題意識は下にまとまってるんだけど,いくつか抜き出すと

むしろ,僕も税金で育ててもらった人間なので,そういう制度改革でこの国の研究環境をもっと良くしていきたいと思うんです.つまり,この国の研究ポストを世界に対してオープンにしていけばもっと変わると思うんだけどな.努力しつづけない人はついていけなくなるかも知れないけど,新陳代謝がよければ産業界も人材を受け入れるだろうし,全然いいと思う.
日本のITがアメリカに永久に勝てない理由.それはシーズを作れる人材を育てる,囲い込む,積極的に外部から呼び込むそういう環境作りが甘いからです(決して日本の学生やシーズそれ自体がが劣っているわけはありません)このままだと,お金があって,影響力があって,尊敬も集められる海外のポジションに日本から人が出て行ったっきり戻ってこなくなってしまいます.(当たり前ですが)その前に,具体的対策をなんとかしないと,そして,具体的対策がなくとも,優秀な博士学生は,神風特攻の気分で,お金や研究環境よりも日本をとる人が増えてほしいと思います.と,今日は先週友達とご飯を食べながら考えたことをまとめてみました.最近よくこういう話こっちで盛り上がっています.みなさまお付き合い頂きありがとうございました.
追記: ぼくは日本のアカデミアを頑張ります.

今見ても何も変わってない環境に焦りつつ,なるほどこの人は博士2年のときに頑張ると決めたらしい,ということがわかる.俺の他に神風特攻したやつは何人いたんだろうか.自分の才能にとっていい環境を選ぶより,自分をすり減らして捨て石にしつつダメな環境を良くする努力をして次の世代に賭けるという考え方だ.神風特攻はサステーナブルじゃないからあかんよな,と今の僕ならツッコミを入れるだろう.

2019年の7月、落合陽一は何をしていたかというと相変わらずコードを書いたり半田付けしたりして生きていた.そして研究者としては国際会議のSIGGRAPHに発表しにきていた.今は筑波大の准教授でピクシーダストテクノロジーズのCEOだった.確かに国立大から給与の原資をもらわず自分の会社から出向する形態に移行していたし,国プロをやりつつ雇用を生み出して産学官の産業を育てないと,と思っていた.


ここから先は個人の感想をつらつら書く.

ムーンショットのミッションとしては我々の社会課題,少子高齢化に伴う,個別の能力の減退や労働力減少に対する具体的な能力開発など,意味はあるとは思う.法改正を伴わないと実現できないようなやつをやる,さらに研究者の働き方を抜本的に変えるのにはいい舞台なんじゃないか,とは思う.

0、1の話じゃないとするなら見通しはいいんじゃねーか.おそらく.というのが初見の感想だ.これから批評の目にさらされることで最終的な目標設定に関する意味を持つと思う.ここは国際的な研究者がたくさん巻き込まれるはずだからその辺の粒度は心配していない,賢い人はたくさんいる.

ビジョナリーの仕事は意義の設定だと思う.大穴の設定よりは意義.だからムーンショットの意義をしっかりかく.今更選択と集中することの意義はなんだ? そりゃ選択と集中しないほうが0,1のイノベーションが起こることは百も承知で,なんか政府がムーンショットするらしく呼ばれたので,自分の時間を使いつつ少しでもいい方向に貢献しようと思ってやっている.

ミッションが決まってる,そのやり方は固定らしい.ではミッションを立てる理由は? そこに投資する理由は? と考えたときに,ムーンショットはcrestでもeratoでもa-stepでもないし,nedoの事業でもなければimpactでもないことを思い出す.
おそらくこの価値は投資領域を決めることで,そこに産学官の連携エコシステムを構築すること,判定可能な何かを達成すること.しかもこれは国内のリソースに限らない招聘をしたりすることにも意義があるのではないか? とは思う.トップ研究者を集めてくる呼び水にはなりそうだ.しかも他の研究助成の領域とは異なる.だってムーンショットなんだから,目標が達成することが重要.その価値観は今までの日本の科学技術予算にはあまりない考え方かもしれない.ここでは論文が出ることだけが正義ではないし,目標を達成することの方が重要なんだと僕は少なくとも理解した.ただやりきる人が必要.その人材は国内のみならず,海外まで含めて探すべきだろう.

この考え方ですげえやつがたくさん集まってくるなら,自力で立て直せないエコシステムに外力を注入するいつものパターンかもしれない.個人的には,その動きは悪くはないとは思う.ただ基礎研究と0、1を作る予算には同額以上回してくれ.(それは行われるらしいけど)

僕は僕で研究所作ったりしながらエコシステム作りを頑張っていくので,5年後振り返るときに,この考え方が正しかったかどうかをまた考える日がくるんだと思う.多分,ひたすらすり減らして頑張った先に何かサステーナブルな次世代を育てられるとは信じているのだけれど.

31歳の僕は今こう思っている.健忘録的なメモ.

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落合陽一

メディアアーティストで光や音や物性や計算機メディアの研究をしているような感覚的物書きで博士持ちのスナップシューターです.多様性社会を目指す波動使いの准教授.プロフ写真は©︎TAKAY

落合陽一

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コメント3件

「捨て石はサステーナブルじゃないからあかんよ。」よかった、ついにこの日が来た!!これさえ聞けたらもういい。とか言いつつ。苦言を呈しアドバイスを惜しまないくらいには国を見捨てないしご自分はエコシステム作りを頑張るらしいので安心してふらふらとお茶しに行きそうになります、いかん、取るに足りぬ自分も目標にむけ多少は頑張ろう。
自らのツイッターやブログの発信情報を自らの振り返りの情報源として活用するという着眼点とそこに生まれる価値は落合さんならではです。フェアな生き様が際立っているから清潔感があり、情報源の質量が充実しているから信頼感があります。自分という情報を生かし切っている、生かし切る覚悟が違うのを目の当たりにして、なんだか息をするのを忘れてしまいました。
「この指止まれ!」トップ研究者の呼び水になれば素晴らしい。でも問題は、ムーンショットは1人の技術でクリア出来ない事。誰にコントロールさせるか。蜘蛛の糸はすぐに切れてしまいます。そこも公募すべきと考えています。
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