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16小品目 旅③ 阿蘇へ

昨晩は真っ暗な山道をいのちからがら宿にたどり着いたので、山の上の方だろうな、くらいでここがどういうとこか分からなかったが、朝起きて外を見ると雲海が広がっていた。どうりで寒いはずだ。霜も降りていてざくざく裸足のクロックスで踏む。

神戸の神座で食べて、高千穂で高天原の住人になる、的な。

そして、いつも朝はざわざわあれせなこれせなで、この雲の下で今頃、娘を起こして、早く早くってせっついて、保育園に行かせている自分に神として思いを馳せた。

よく、頑張ってる
でも、もっと楽しんでよい

自分を褒めて、楽しみを許可した。旅行していようがしていまいが、どんどん楽しもう。

そこで緩んだのか、そもそもその宿に泊まったのはちょっと辺境なとこにある神社に行きたかったからなのに、すっかり忘れて帰りかけてしまう。しかも途中から通行止めだったので、ベビーカーで山登り。でも宝塚清荒神に慣れているのでなんということはない。そして本命だった高千穂2個目の神社に無事参って、メジャーどころにはひとつも行かずに高千穂を後に、

したかったのだけど、帰りも絶賛通行止めで、また迷いに迷った。高速降りたところにあるジョイフルとファミマを見たときの安堵ときたら。わたしの中で、高千穂の二大スポットはもしかしたらジョイフルとファミマかもしれない。ジョイフルファミリーマーケット、喜びあふれる家族スポットである。

そして阿蘇に。

阿蘇は掛け値なしに素晴らしかった。わたしはあまり絶景、みたいなものに興味がなかったのだけど、阿蘇には完敗むしろ乾杯、降伏むしろ幸福、思わずくだらない韻を踏んじゃう。黒土の畑を見るのも気持ちよく、草原や森も爽快で、ずっと晴れ晴れした気持ちでドライブできた。昨日はずっと心細かったなぁ。そして山頂では火口を覗いたり、煙におののいたり、雪を触ったり、エンタメSFワールドだった。大げさに言うと、宇宙旅行したみたいだった。これは緑の季節には別世界だろうから、また5月が6月に来たい。そして阿蘇に泊まりたい。高千穂にはおそらく二度と行かない。

娘も大はしゃぎで雪を食べていた。やめなさい。

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