2020年11月15日(日)、第9回となる東京タワー階段競走が開催されました。今大会では歴代記録の更新が期待され、更には歴代優勝者や他大会上位陣の出場もあり過去最高レベルの大会になりました。
今投稿では僕のレース展開の詳細と、ライバル選手との関係に触れていきます！
レース展望はこちら

オレ流！前半からガンガン攻める

まず結果から申し上げますと、2分07秒09で準優勝でした🥈昨年優勝したタイムを1.40秒更新するナイスなタイムです。
優勝は世界ランク3位、大会記録保持者でもある渡辺良治選手の1分59秒98でした。この記録は本当に凄い記録で、僕もこの1年ターゲットにしてきたタイムでもありますが、イメージがつかなかったというか...「無理だな」と諦めていた記録でもあります。
心の中では"勝ちたい"と考えるものの、まずは自分のパフォーマンスを最優先することと、自分らしいレースをすることを心に決め、レースに臨みました。

自分らしさとは？
僕の最大の持ち味はスピード。一度脚が動かなくなるとレース中には二度と回復しないのがバーティカルランニング。そんなスポーツでスピードを最大限に発揮して前半からガンガン攻めるスタイルはナンセンスというか、馬鹿にされてもおかしくないんです。
それでもスピード以外の武器は持っていないので、だったらその武器を最初から発揮して観客から「おーーーーー！！！！」って言われたい、"魅せる"という意味でも大事にしているスタイルなのです。

10秒差スタート

8時30分、いよいよスタートです。1番手の渡辺良治選手から1人ずつ10秒おきにスタートしていきます。
上位選手のスタートシーン

▼作戦
スタート直後から２段飛ばしでフルスロットル。50段から1段飛ばしに切り替え手すりはターンのみ使用。175段で36秒、275段は57秒で通過し339段から手すりを両手で握るダブルアームに切り替え粘る。

スタートはまさに"順調"そのものでした。何度も練習した最初のターンも見事に決まり、あれよあれよと175段に到達。時計をチラッと見ると「ぎょえーー！34秒！」
ここにきてこれまでの最速タイムを叩き出します。勢いそのままに275段は55秒！ここでも最速タイム。これまでの練習では全力で登りここで力尽きるのがお決まりでしたが、身体はまだ行けそうな感じ。

すると突如上から聞こえてくる足音。そう、渡辺選手のカツンカツンと登る足音が聞こえてきたのです。
よっしゃーーーーーーーーー！！！
オレの方が速いぜウリャーーー！！！

後から聞いたら渡辺選手は275段を58秒通過だったそう。10秒差でスタートして3秒詰めて7秒差。東京タワーでの7秒は丁度１フロア差なので真上にいたことは確かです。

350段からの独り旅

レースは中盤戦。渡辺選手の足音を聞きながらダブルアームに切り替えました。こうなったら粘り勝負。きついけど身体が動く感じはあったので、とにかく脚を上へ上へと運びました。
しかし気づけば足音も聞こえなくなり、渡辺選手の強さを痛感。レース中に「は...？」となるのは何度経験したことか。
急にいなくなるんですよ。昨日まで彼女と仲良く付き合ってたのに今日になって突き放されるあの感じ。決して僕も遅いわけではありませんが、渡辺選手の後半の速さは尋常じゃないです。

写真はおそらく400段付近

この辺は一心不乱に登っていたのであまり記憶がありません。覚えているのは手すりの冷たさと、渡辺選手が握ったであろう汗によってできた湿り気です。

467段からの地獄

残り2フロア、たった64段なのにゴールが遠かった。これまでバシバシ動いていた身体も言うことを聞かなくなりました。
すると動画撮影をお願いしていたスカイランナーの鈴木龍弥くんが登場。外界からの音が遮断されて何を言ってるか分かりませんでしたが、やっぱり応援は嬉しいです。※後から動画で確認したら何も喋ってませんでした
ラストシーンはYouTubeであげる予定

レース展開やタイムは納得するものでしたが、唯一心残りなのはラスト2フロアのターンが激遅だったことです。あと1歩短くしていれば2〜3秒ぐらい変わってますからね。でもやっぱり記憶もぶっ飛ぶぐらい追い込んでたらターンもくそもないような気がします。無理なもんは無理です。

気づいたらゴール。フィニッシュエリアには地獄絵図が広がっていたことでしょう。やっと終わった...これでご飯食べられる...

続々とフィニッシュする選手たち。あーでもないこーでもないと喋りながら階段を降りる。でも一番気になるのはタイム。速く知りたい...
とべらべら喋っていたら急に雄叫びが聞こえる。そう、渡辺良治選手が念願の2分切りを達成して泣きじゃくっていたんです。死ぬほど努力してした姿を間近で見てきたからこそ、勝負では負けてもこの瞬間だけはホッコリ、嬉しかったな。

大会史上最高レベル

人類史上初の東京タワー2分切り、上位選手の自己ベスト更新、初参戦で好タイムなど、とんでもないレベルとなりました。

1位 渡辺良治 1分59秒98 歴代1位
2位 小山孝明 2分07秒09 歴代2位
3位 矢島昭輝 2分10秒13 歴代3位 ※初参戦
4位 遠藤直弥 2分17秒12 歴代6位
5位 上杉博一 2分18秒30 歴代7位 ※歴代4位記録保持者

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上位5名は日本初のバーティカルランニングチームであるTower Running Tokyoのメンバーです。日々切磋琢磨・試行錯誤してタイムを削り出し、勝負のときは良いライバル関係、時にはカフェでまったりするような大切な仲間です。
今回、僕のレース対策としてメンタルトレーニングを導入しました。そのメンタルトレーナーが名言を残しています

ライバル関係とは、潰し合いではない。理想のライバル関係は螺旋階段上のイタチごっこだ。お互いがお互いを追っ掛けていたら気付いたらとてつもなく高いところに来ている。潰し合いでは高さは出せない。

今回はコロナ禍での開催。有力選手が多数欠場していました。この激闘をSNSで知った選手たちは更に力をつけて次回参戦することでしょう。高いレベルで勝負できることを楽しみに、僕も2分切りを目指して頑張ります^ ^