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部屋に立てこもり、息を殺した。テロリストはすぐそこにいた。

06:30 (10月7日) 土曜日の朝。クファル・アザにて。

突然激しい砲撃が聞こえた。私とコブはベッドから飛び起き、急いで台所に走り、窓から外の様子を見た。異常な数のロケット弾が打ち込まれていることに唖然とする。近くで奇妙な音も聞こえた。ひょっとして、スナイパーかも?よくわからなかった。コブがコーヒーを淹れた。「コーヒー飲む?また始まったよ。」これが私たちの現状認識だった。何が起きているかなんて、全く知る由もない。
ふと窓の外を見ると、隣の家の入口に白いピックアップトラックが止まった。すると、武器を持ち、黒い服と覆面に身を包んだテロリストたちが、10人以上飛び出してきた。
彼らは二手に分かれ、5人は芝生を横切って我が家に向かってきた。別の5人は、私たちととても仲の良い隣の家に向かって走っていった。私はまだ状況が理解できず、コブに尋ねた。「何事なの?」しかし、コブも目の前で起きていることが理解できていなかった。

07:02
私は「クファル・アザ在住の女性グループ」のWhatsappにメッセージを送った。「黒い服を着て武装した男たちが、近所を走り回って銃撃しているの!」すると誰かが「イスラエルの兵士たちでしょう」と言い、別の女性は「セーフルームに入りなさい」と送ってきた。テロリストたちは我が家の目の前にいた。彼らの頭には白いヘッドバンドがあった。ハマスだ。彼らはこう叫んでいた。「イトバ・アル・ヤフード(ユダヤ人を殺せ)!アッラーフ・アクバル!!」私たちは一目散にセーフルームに走った。

チャットグループに誰かが「テロリストが侵入してきた!」と送ってきたことに対して、別の誰かが「そんな風に言って脅かさないで」と答えていた。これが、私たちが全く無知で、甘くて、無邪気に振舞っていた、最後の2分間のやりとりだった。私たちのそれまでの人生はここで破壊されることになる。
あっという間に、Whatsappグループは、キブツの至る所から助けを求めるメッセージで溢れ返った。
「テロリストが来た!」「奴らが家にいる、助けて!」「家が激しく銃撃されている!」「私の家も!」「奴らが家に押し入ってきた!助けて!!!」

08:58
キブツ集会所付近に負傷者が倒れていると報告があった。彼は緊急搬送が必要とのことだったので、私は救急隊員に「集会所付近で男性が倒れています。止血帯が必要です」と連絡した。
その間もWhatsappグループにはメッセージが殺到し続けていた。「テロリストがセーフルームを開けようとしている。助けて!」「取っ手をしっかり握って!」「今すぐ両親のところへ行ってください!」「誰かギラ・ペレドを見ませんでしたか?モシャブの家族が心配しています」彼女は無残に殺されていた。
アヴィヴの母、タマル・Kからもメッセージが届いた。「アヴィヴ・Kと彼女の家族と連絡が取れません」アヴィヴと家族全員も冷酷に殺されていた。また誰かは止血帯の作り方を説明し、「どうか両親が無事かどうか確認して下さい。」と懇願するメッセージも届いた。

長い長い時間、Whatsappグループには、助けを求める声、嘆願、居場所や方向を聞くメッセージが続いた。その中の1つのアパートには孫のオフィール、イスラエル、そしてイタイが住んでいた。若者たちが多く住む地区の近くには、息子のインバルとパートナーのアディがいた。オリアニは私たちと一緒にいて、セーフルームのベッドの下にいた。
家のすぐそばで銃声が響いた。近くで、遠くで、いたるところで。負傷者の悲鳴も聞こえた。そして一瞬の静寂が訪れる。

10:18
インバルからメッセージが来た。「今すぐ助けて。テロリストが家に入ってきた。お願い」
これがインバルとの最後のやりとり、若者地区との最後のやり取りとなった。インバルの同級生で隣の家に住むエミリーにメールをした。返事はなかった。

イタイは泣き叫び、オフィールは助けを懇願していたが、私は無力だった。コブが家の中をチェックしていると、MAG機関銃を持ったテロリストが家に向かって歩いてきた。カーテンは閉めきられ、ドアには鍵がかかっていた。
静かに。
喋ってはいけない。
息をしてはいけない。
ついに、奴らが来た。
テロリストたちが家に向かって発砲した。四方八方から響く銃声。窓ガラスは砕け散った。息子からの連絡も絶えた。

ドゥブデバン部隊がキブツに到着した。私は「よし、これで終わる。遂に終わる」と思った。しかし、そう簡単ではなかった。このホロコースト、この大虐殺、いまだに理解し難いこの悲劇は、まだ終わってはいなかったのだ。
精鋭部隊が次々とキブツに到着した。マグラン部隊、ドゥヴデヴァン部隊、落下傘部隊、コマンドー部隊、ギヴアティ部隊。
負傷者や、緊急の救助を懇願する人々はやまないどころか、どんどん増えていった。

時間が経過する中、私の頭の中はこれだけだった。「インバルとアディは逝ってしまった泣き止んでさえくれれば。私たちももう少しの辛抱だ。どうか殺されませんように。私が死んだら、誰が生きている家族の面倒を見る?コビが死んだら、誰が私を守ってくれる?そして、オリアンが殺されませんように。あまりの悲しみで私も死んでしまうから。そんな暗い夜が絶対に来ませんように。もう終わりにして。イスラエル軍は強いから大丈夫。」

19:08
テロリストが再びやってきて、家が包囲された。激しい銃撃とアラビア語の叫び声が響いた。オリアンはベッドの下にいて、私は怯えていた。私の英雄であるコビは、完全に閉じこもるために、セーフルームの外側のドアの取っ手を取り外そうとしたが、うまくいかなかった。命運が尽きたと思った。

23:00
神に感謝。イスラエル、オフィール、イタイが救出された。私は希望を持ち続けた。

00:30
テロリストが我が家の屋上に上がってきた。私は、Whatsappグループに連絡した。「彼らが屋上にいる。緊急事態。家に侵入しようとしている。屋上から中に入ろうとしている!」すると、あらゆる方向の壁や屋根が叩かれた。数分後、ギブアティの部隊がやってきた。銃撃戦が繰り広げられたのち、遂にドアがノックされた。コビが言った「軍隊だろうか?」私たちはセーフルームのドア越しに耳をすました。兵士たちか?それともテロリストが中に入ろうとしているのだろうか?

彼らは窓を割って、ガラスを粉々にした。そしてこう言った。「イスラエル国防軍だ!イスラエル国防軍だ!」コビはささやいた。「ドアを開けるぞ」「だめよ!」私は言った。「彼らはテロリストだわ。絶対に開けてはだめ」そしてコビは決断し、18時間閉ざされていたドアをついに開けた。立っていたのは兵士たちだった。そして、自分の目を疑うような光景が広がっていた。2分で貴重品をまとめ、私たちはハマーに乗り込んだ。兵士たちは四方八方から守ってくれた。ゲートをくぐり、アロニット(食料品店)に着いた。 多くの仲間がそこにいた。

胸が苦しく、泣き崩れた。誰かが私を抱きしめ、兵士が水を飲ませてくれた。私はもう立っておられず、歩道に座り込んだ。この恐ろしい悪夢はまだ終わらなかった。最愛の友人たちが無残に殺され、行方不明になっているという恐ろしいニュースが次々と飛び込んできたのだ。私たちは奇跡を祈った。「どうすればこの惨状から立ち上がることができるだろう?ここからどう進めば良いのだろう?私のインバルは?アディは?もし彼らが怪我をしていて、誰とも連絡がとれないとしたら?もし誘拐されていたら?」
私はインバルに「愛している。頑張れ」とメッセージを送った。青いチェックマークはつかなかった。チェックマークはなかった。

日曜日 12:30
知らない番号から着信。アディからだった。「ナオミさん、私たちは救出されました。無事です」私は崩れ落ちた。彼ら夫婦は30時間もの苦しみを経験したのだ。彼らの信じられないような奇跡の物語については、まだ書ききれていない。

私たちを支え、助けてくれたみなさんに感謝しています。電話にも出れず、返事もできず、ごめんなさい。私はまだ息をするだけでやっとの思いです。

ナオミ・H




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