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床の弾痕、ドアの血痕...これが息子夫婦についての最後の情報だ

2023年10月7日はイスラエル人にとって忘れられない日だ。我が家では「セブン・ブーム」と呼んでいるが、私たちの場合、子供の遊びのことでは決してない。

我が家の「セブン・ブーム」は10月7日の朝、レッドアラートのサイレンとともに始まり、私たちはセーフルームに駆け込んだ。ロケットの爆発音に加え、銃の乱射音も聞こえた。私たちは地元の自治体に通報し、親戚に電話をかけて全員の無事を確認した。息子のヤゲヴは、「自分と妻は安全な部屋にいる」と言った。しかし「安全」という言葉はすぐに覆されることになる。

地域の治安部隊の指揮官たちは、すぐに応援を要請し始めた。テロリストが家に侵入しようとしているという報告が各地から殺到していた。私たちの近所にもテロリストが侵入していることがすぐにわかった。助けを求める声が高まるにつれ、私たちは今までに経験したことのない事態に直面していることに愕然とした。

再びヤゲヴと話した。「家のすぐ裏手にテロリストがいる」と、息子は言った。そのときすでに私は、彼の近所がテロリストに狙われていること、またテロリストたちがすでに1組の親子を殺害していることを知っていた。時が経つにつれ、犠牲者の数はどんどん増えていった。ヤゲヴとリモンの家の前の家では、生後10日の赤ん坊を連れた家族が住んでいたが、放火され、煙がヤゲヴたちのセーフルームにも漏れ始めていた。余計なストレスを与えないように、そのことはヤゲヴに言わなかった。私は全身全霊で解決策を探し、助けを求め、避難させようとした。しかし、何もできなかった…

10月7日の午前9時頃、ヤゲヴとの連絡が途絶えた。携帯電話が壊れただけであることを祈った。午後になって、軍の音が聞こえ始めたとき、夫のオレンと私は、軍が家々を一軒ずつ捜索しているのだと分かった。被害の甚大さは想像の範疇を超えていた。

私たちは遂に、キブツの集会所にたどり着いた。はじめに国防軍の兵士たちは、近隣を捜索し今は安全だと説明した。それでも私たちは安心できなかった。オレンは兵士と一緒に車でヤゲヴの家に向かった。
ヤゲヴもリモンもいなかった。犬もいなかった。医療部隊が合流し捜索すると、家には争った形跡があり、床には銃弾、ドアには血痕があった。それが、息子夫婦の最後の情報だった。

リモン(36)と ヤゲヴ(34) -ハマスによって人質にとられた

携帯電話のバッテリーはいつでも充電できるが、心の穴は埋められない。それだけはわかっている。それでも、私たちは希望を失っていません。私たちは楽観的だ。一緒に、ヤゲヴとリモンを無事に連れ戻そう。一緒に、みんなを連れ戻そう。

エスター・B(ヤゲヴの母)

誘拐された息子と義理の娘のポスターを持つ、エスター・B

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