見出し画像

テロリストに殺される前に、脱水症状で死ぬかと思いました

この証言は極めて重要だ。証言するのは、早ければ早いほど良い。私たちが体験したこと、どうやって生き延びたのかについて、どんな些細な情報でも世界に求められている。この苦しみを乗り越えるためにも、この大惨事を体験した人たちはみな語るべきだ。

温室で休むガリットと友人

土曜日の朝、すべてが始まった。その瞬間まで、すべては完璧だった。本当に!みんな、とても楽しい時を過ごし、踊り、笑いあい、その瞬間の人生を満喫していた。
6時15分頃、最初のロケット弾が打ち込まれ始めた。「聞こえた?アイアンドームだね。」と、ノームが言った。アイアンドームね、慣れっこだ、と思った。その2分後、音楽は止まった。エデンがやってきて、「なんで座り込んでいるの?甘すぎるよ!」と怒鳴った。「レッドアラートだよ!さっさと立ち上がって!」私たちは渋々立ち上がり、出口に向かって歩き出した。地面に伏せ、ミサイル迎撃を見上げながら、早く終わればいいのにな、と祈った。まもなく起ころうとしている事態の深刻さを知る由もなく。

NOVAでのガリットと友人たち

数分後、パーティー会場にいた警察官たちが、参加者全員を会場から移動させ、散らばるように言った。私たち? まだ事の重大さがわかっていなかった!「オーケー、ただのロケットでしょ?大丈夫よ、すぐ終わる」と話していた。少しばかりの緊張感はありながらも、落ち着いてテントを張ってある場所に戻り、荷物をまとめ始めた。すぐには出発せず、待つことにしたのは本当に正解だった。あの時会場をすぐに出発した多くの人々は、今はもういない。

荷物をまとめ終わり、駐車場へ向かい歩いて行ったが、10分ほど車を見つけられなかった。駐車場はとても大きく、みんなイラついて走り回っていた。ようやく車が見つかり、荷物を車に詰め込み出発した。
出口での渋滞はすさまじかった。北に向かうための交差点に辿り着くと、その方面から戻ってくる車がたくさんいて、北に曲がるのではなく、反対方向の南に向かえと言っていた。私たちは左折したが、あまりの車の多さにほとんど進まなかった。その直後、1台の車が最高速度でやってきて、私たちの数メートル先に止まった。その車から降りてきた人たちが、怪我人が出ている、彼女はテロリストに足を撃たれたと叫んでいた。

この時点で私たちはようやく、一体何が起こっているのか理解し始めたと思う。銃声が聞こえ始め、私たちの前にも数人の警察官がいたが、彼らも恐怖で怯えつつ、周りの人々のために冷静でいようと努めているのがわかった。警察官たちでさえどうすればいいのか、どこに行けばいいのかも分からず、誰もが無力だった。警察官たちは私たちに、車から降りて、野原の方に逃げるように言った。

でも、(野原から道路に)戻ってきた人たちは、「撃たれた!」と叫んでいた。どこに逃げればいいの?ここに留まるより走って逃げた方がいいのか?どこに隠れようか?どうすればいいのか全くわからない。後ろから銃声が聞こえる度に、その銃声から逃げるように走り始めた。4時間走り続けた!あきらめずに走り続ける力を与えてくれた神様に感謝!途中で起こしてくれたすべての奇跡に感謝します。誰も助けてくれないと、ずっと命がけで祈り叫んでいた。あの時、私たちは悔しさと無力感にさいなまれながら、疑問に思い始めた: ヘリコプターはどこ?軍隊はどこ?警察はどこ?必要な助けはどこにあるの?いったいどうなってるの?私たちは、国全体が深刻な戦争に突入して、大変な状況になっていることを知らなかったのだ。

約4時間後、温室に到着した。私たちは脱水症状を起こしていた。一瞬、テロリストの手にかかって死ぬ前に、脱水症状で死んでしまうのではないかと思ったほどだ。人々が次々と温室に到着し始めた時、温室の中に水道を見つけたので水を飲んだ。こんなに恐怖に怯える人々を見たのは初めてだった。突然、警察官が現れたが、彼も状況を把握しておらず、何も指示することも出来なかった。そこから1時間ほど過ごした後、最初のピックアップトラックが到着し、20人ほどが乗り込んだ。彼らは、7キロほど離れたところにパティシュという村があることを教えてくれた。「そこなら安全だから、そこに向かって歩き始めた方がいい。」と彼らは言った。後ろから銃声が聞こえる中、私たちは歩き始めた。約1時間後、民間人が車で迎えに来てくれた。それからは、すべてが少しずつ落ち着き始める。やっと少し安全を取り戻せた。私たちは奇跡的に助かった!

虐殺された人たち、誘拐されたり行方不明になっている人たちが体験していることは想像すらできない。愛する人を失った家族、そしてまだ彼らを探している人たちのことを思うと心が痛む。これからは、もっと良いニュースが届き、良き日々を送ることが出来ますように。みんな、心配してくれてありがとう。皆さんを愛しています。私が今ここで、あの大虐殺の体験を証言できることを神に感謝します。私たちは皆、心に癒えない傷を負ってしまった。でもきっと必ず時間が癒してくれると思います。

ガリット・K

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?