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銃撃戦の中、車の下に隠れ、死んだふりをした

2023年10月7日、全く新しい人生が始まった。

イスラエルの歴史における暗黒の日、そしてスコットの祝日のあの土曜日の朝、私はNOVA音楽祭に行くべきか、頭を悩ませていた。すでに出費が多い月だったので、節制しなければならなかったのだ。しかし、もうチケットをキャンセルできないと気づいたので、朝早くに出発することに決めた。私はあまり夜が得意ではない。日の出から日没までの間、楽しもうと思っていた。

「チケットの払い戻しはできない」という連絡が来たのがパーティーの直前だったので、アレックスにこうメッセージを送った。「パーティーに来る?それとも私一人で行こうかな?」アレックスがパーティーに参加すると決めてくれたことが、まず一つ目の奇跡だった!
私たちは朝の4時半に待ち合わせ、予定通り6時半に会場に到着した。ちょうど日の出の時間だった。

車を停めて外に出た時すでに、空で爆発が起こり、アイアンドームの迎撃が絶え間なく行われていることに気づいていた。私はあまり怖さを感じず、頭の中ではただパーティーが続くことを祈っていた。踊れずに帰るなんて!
しかし、音楽は止まり、「全員、非常口から退出してください !」という大音量のアナウンスが流れた。パーティーは終わってしまった…

私たちは、アレックスのボーイフレンド(マタン)とはぐれてしまった。彼はちょうど私たちに会いに出てきてくれたところだった。出口での渋滞を避けるため、私たちは急いで車に戻った。入り口にいたパトカーを追い越し、高速道路に向かって左折した。今にして思えば、あの時すれ違った車にもテロリストは隠れていて、ただ撃ってくるタイミングがなかったのだろう。目の前で走っている車の列が乱れていることに気づいたが、何が起こっているのか全く理解できなかった。

「シャニ、停めて。地面に伏せよう」アレックスがそう言ったので、 私は車を停め、降りた。車体の後方に隠れて身を伏せようとしたその時、テロリストたちが背後にいて、実弾の武器を持って道路を走っていることに気づいた。私はアレックスに叫んだ。「車に乗って!!!」

車に乗り込みながら、頭の中は錯綜していた。「どうしたらいいの?直進する?隠れる?だめよ、銃弾を浴びせられる!」
左を向くと、奇跡的に柵のない畑が見えた!私は左折して畑に入り、アクセルを思い切り踏み込んだ。そして、テロリストたちは銃を乱射し始めた…

アレックスは言った。「シャニ、止まらないで!止まらないで!!」突然、ブーンという音がして、肩に激痛が走った。「あぁ!撃たれた!」「シャニ、止まっちゃだめ!!」アレックスは叫んだ。別の畑への小道にたどり着くまで、私は運転を続けた。小道と畑の間には、身を隠せそうな茂みがいくつかあった。

ショック状態の中、車を降り、アレックスにマットを敷くように頼んだ。マットに倒れ込んだ私は、痛みで死にそうになりながらも、叫ぶことは怖くてできなかった。テロリストに見つかるかもしれなかった。周囲では銃撃戦が続き、毎回違う方向から、頭上を砲弾と銃声が飛び交った。

すでに朝の7時半だった。まだ電波は届いていたので、妹に電話し、テロリストに撃たれたので助けてほしいと伝えた。なんとか彼女に居場所を送ることができた。
「シャニが撃たれた」アレックスはマタンに電話をかけ、居場所を送ろうとした。私はその間、MDAや警察に通報を試みた。テロの規模を私たちは全く理解していなかったのだ。
MDAの最初の指示はこうだった。止血帯を結び、バッテリーを節約し、できるだけ落ち着いて救助を待つこと。一方アレックスは、マタンに私たちの居場所を伝え、私の状況を警察に繰り返し報告しようとしていた。

血まみれのシャニの顔

電話の最中、マタンの叫び声が聞こえた。「ここでも銃撃戦が起きている!奴らはテロリストだ!」マタンとの会話を通して、私たちは何か本当に深刻なことが起きているのだと気づいた。再びMDAと警察に電話したが、返答は同じようなものだった。「あなたたちのいる場所はテロリストの射程圏内であり、軍隊は入れない」と。一体どうすればいい?水も食料もない。私たちは冷静になろうと努め、助けが来ることを神に祈った。

しばらくして上空を飛ぶドローンに気づいたが、イスラエル国防軍のものかどうかわからなかった。数分後、テロリストたちが私たちに向かって発砲を始めた。彼らは私たちを殺したことを確認しようとしていた。アレックスと私は抱き合い、「シェマ・イスラエル(伝統的に最後の言葉とされる祈り)」と「シール・ハムロット(ヘブライ語の祈り)」を唱えた。その間も銃撃は続いていた。

私は「車の下に横になって、死んだふりをしよう」と言った。実際にこの作戦は役に立ち、銃撃は止まった。しかし、周囲の銃撃戦は絶え間なく続いていた。砲弾とアイアンドームの迎撃が繰り返され、焦げた臭いが漂っていた。電波も届かなくなり、尿意も限界だった。私が「どうしよう。尾てい骨の感覚がなくて動けないの」というと、アレックスは「とにかくおしっこをした方がいい」と言った。他に選択肢はなかった。少し力を入れると、ドーンという血しぶきが私の首の傷口から胸に落ちた。何とも言えない恐怖を感じた。

再びMDAに電話をかけると、緊急の電話しか受け付けていないという。「もしもし、出血多量で死にそうな友人を助けに来てくれる人はいませんか?」すると、信じられない答えが返ってきた。「誰も向かえない。いま、戦争状態にあり、軍隊も出動し、多くの負傷者とテロリストがいたるところに溢れかえっているのだ」と。
アレックスが警官に電話をかけていたその時、私は地平線上に、それほど遠くないところを歩いている人影に気づいた。「誰か来る!」と叫ぶと、アレックスが警官に状況を報告した。すると警官は私たちの心を揺さぶる一言を放った。「いいか、聞くんだ。君たちには二つの選択肢がある。助けを待ちながらその場にとどまり続けるか、チャンスを伺って命を守るかだ。車に乗って、逃げろ!」

それから私たちがしたことはこうだ。アレックスは、まるで殺人現場のような車の下から私が這い出すのを手伝ってくれた。皮膚や筋肉の破片がそこらじゅうに散らばっていた。でも、選択の余地はなかった。その時がまさに脱出するチャンスだった。周囲の銃撃戦も少なくなっていたし、最善を祈るしかなかった。 ハイウェイに出ると、軍のパトカーと集中治療車と出くわした。アレックスは 「助けて!撃たれた人がいます!」と叫んだ。彼らは近づいてきた。アレックスと私は大声で叫んだ!助かったんだ!

肩から出血し、体中が血まみれのシャニ

あの地獄から生き延びたなんて信じられない。私たちは恐怖に屈することなく戦った。アレックス、私たちは再び生きるチャンスを与えられたね。
友人の何人かはまだ行方不明のままで、彼らの家族は心配し、疑問を抱えたままでいる。こんな状況はとても信じられない!

傷ついた人々が一刻も早く回復しますように。殺された人々が慰められますように。そして、行方不明の人々が無事に見つかりますように。心から祈っている。悲しく、胸は痛み、これが現実に起きたとは、とても受け入れることができない。

シャニ・H


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