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テロリストは荒野一帯を隈なく探していた。私たちが見つかるのは時間の問題だった。

この投稿は、私の英雄であるレオン大佐に捧げる。

NOVA音楽祭で私たちはその瞬間を満喫し、幸せで、満ち足りていた。一生忘れられない夜を過ごそうと考えていた。この夜が、これから話す理由で忘れられないものになるなんて、想像もしていなかった。

フェスティバルの外で。リオルと彼女の友人たち。

ミサイルが私たちに向かって飛んできたのは、私たちが踊っているときだった。私はパニックになり、人々はみな花火を見るかのように空を見上げながら地面に身を伏せた。
警察から車に戻るように指示があるまで、私たちはそのままでいた。 上空にロケット弾やミサイルが轟く大混乱の中で、私たちは全員で笑顔の写真を撮った。テロリストによる破壊と大虐殺がこの後に起こるなんて知る由もなく。

車に乗り込み、会場を出ようとする車の渋滞に巻き込まれたとき、突然、誰かの叫び声が聞こえた。
「テロリストだ!車から降りろ!!!」
銃声が背後からどんどん近づいてきて、私たちはどこに向かって走っているのかもわからないまま、一目散に走り始めた。
ある女の子が足を撃たれた。私は彼女を振り返ることもできず、ただ走り続けた。つまずいたり転んだりしないようにひたすら自分の2本の足に集中した。その間も四方八方から銃声が聞こえていた。
キブツ・ベエリに向かって走り始めた矢先、突然誰かが「テロリストがベエリに潜入したぞ!」と叫ぶのが聞こえた。

野原を逃げるパーティー参加者たち

私たちの後ろのベエリの荒野では、テロリストたちが私たちを追いかけて来る。この時点で、2時間も走り続けていた。やがて開けた場所に出ると、そこには30人ほどの人々がいた。でも誰も自分たちがどこに向かって走っているのかさえ、理解していなかった。
2人のテロリストが銃を乱射して近づいてきたことに気づくと同時に、イスラエル人のグループが私たちに「一緒に隠れよう」と呼びかけられた。しかし、もし私に彼らの声が聞こえ、彼らの姿が見えるなら、それはテロリストも同じだろうと思ったので、私は他のみんなとは正反対の方向に走り始めた。絶え間ない銃声と悲鳴が聞こえてきたとき、私の判断が正しかったとわかった。

荒野を走っているといつの間にか、一人っきりになっていることに気が付いたが、突然、同じように逃げている3人の女の子たちを見つけた。一人にならないために、一緒にいさせてほしいと頼んだ。あらゆる方向から銃声が聞こえてくる中、私たちはとにかく走ったが、もうどちらの方向に逃げたらいいのかもわからない。そこで、私たちは茂みのそばの草の上に横になり、葉っぱで体を覆い、誰にも見つからないように祈ることに決めた。

警察に電話をかけると、救助に来てくれると約束してくれたので、居場所を送ったが、救助に来るのは、軍隊がテロリストを排除した後だと言われた。心の中で悲痛の叫びを抑えながら、「あなたが来てくれなければ、私たちは死んでしまう!」とささやき声で彼に泣きついた。彼は謝りながら電話を切った。
私たちは取り残され、誰も守ってくれないのだと悟った。SNSにストーリーをアップロードすることにした。誰かの目に留まり、助けに来てくれることを願って。そして私の携帯の電源も切れた。


SNSにリオルがアップロードした写真。この直後に電源が切れた。

神に祈った。すぐそばでテロリストたちの声が聞こえた時は、息を殺し、一切音を立てたりしないようにした。彼らの嬉しそうな声や『アラー・アクバル』と唱える声、そして隠れていたところを見つけられてしまったイスラエル人の悲鳴も聞こえた。テロリストたちはこの辺り全体を隈なく探していたので、私たちが見つかるのは時間の問題だと思った。彼らは私たちのすぐ隣にいたのだ。

銃声と爆発音が鳴り止まない荒野に身をひそめること、6時間。テロリストの声がずっとそばで聞こえていて、愛する恋人ラミ・Dに電話するチャンスもなかった。でも、彼は自力で人々を助けようと行動し始めていた。
ラミは私たちのところへ向かおうとしたが、居場所を突き止めることができずにいた。テロリストが潜むこの危険な地域に近づくこともできなかったし、私たちの携帯は電源が切れて連絡も取れなかったのだ。
すると、別の車からクラクションが聞こえてきた。草の上を這いながらその車をのぞき込むと、彼(私の庇護者、私の天使)の姿が見えた。レオン大佐が、「車に乗れ!!」と呼んでいたのだ。

レオン大佐は戦闘のさ中を運転しながら、彼の奥さんに電話をかけてくれと私たちに頼んだ。大佐は、人々を助けるために行くことを許してくれた奥さんに感謝の気持ちを伝えて欲しいこと、今まさに、人々を救助しているところだから心配しないように、伝えて欲しいと私たちに頼んだ。その言葉を私は決して忘れないだろう。そしてこの大混乱の中、大佐が家を空けることに同意してくれた奥さんに感謝が尽きない。

レオン大佐、そして大佐の家族全員に感謝している。私が今日生きているのも、家族が共にいられるのも、大佐のおかげだ。大佐のおかげで、多くの家族や友人たちが、彼らの愛する人を元気な姿で取り戻すことができたのだ。

レオン・バー大佐は、負傷者や死者を避難させている最中にテロリストに殺害された。 私たちの国が未曾有の事態にある時、レオン大佐、あなたは英雄でした。あなたがこの世から奪われたことに、胸が締め付けられる思いです。残るのは感謝の言葉しかない。私はあなたに命を救われた。あなたの家族に心から哀悼の意を表したい。あなたの名は英雄として、人々のうちに永遠に覚えられるだろう。

レオン・バー大佐
茂みに隠れるリオルと3人の少女たち

リオル・O



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