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罪なき人々を虐殺した凶悪な敵との戦いが始まった

目を覆うようなおぞましい光景、民間人の大量虐殺、人々が生きたまま焼かれた民家や軍司令部…我々はこれほど大規模な悲劇をいまだかつて見たことがなかった。国防軍は第一線で戦い、ガザ国境地区の司令部だけでも、30人の死傷者と150人の負傷者が出た。

午前8時、レイムにあるNOVA音楽祭の会場に到着した私が目にしたものは、とてもじゃないけど言い表せない。現実とはにわかに信じがたい光景であり、狂気の極みだった。『自然の祭典』が、『虐殺の祭典』となっていた。私たちはテロリストとの戦闘や、情報収集で精一杯で、遺体を弔うことはできなかった。『助けてくれ』と泣き叫ぶ人々の声が聞こえたが、私の隊には4〜6人しかいなかったのだ。

私はパーティー会場から、クファル・アッザ・キブツへと急いだ。道中すでに戦闘中の部隊に遭遇しても、そこを通り過ぎた。誰とも会話を交わすことなく、南方軍司令部(ガザ国境地区と司令部との調整を行う将校)との連絡を取ったのみだ。

明確な状況判断を、誰も持っていなかった。ガザ国境地区の司令部内でも、実際に戦闘が行われていた。途中、ギヴァティ軍の司令官を見かけ、彼も同行させた。当初、私は自分たちの部隊を "ズヴィカ・フォース"(ヨム・キプール戦争でシリア軍と戦ったズヴィカ・グリーンゴールド率いる即席の8人戦車部隊にちなんで)と呼んでいた。何十人ものテロリストに対し、私と3〜4人の隊員だけで、あらゆる局面に立ち向かったからだ。


国防軍の隊員たちは村から村へと急ぎ向かった。クファル・アッザ・キブツの入り口で我が情報将校が撃たれたとき、ようやく私はこのテロの深刻さを痛感した。どこに部隊を動員すべきかを把握するため、私はガザ包囲網(ガザ地区と国境を接する町)の南部へと急ぎ、事態を食い止めるために戦闘地域を担当した。

空軍との協力もすばらしかった。飛行部隊の司令官自身たちが操縦していたのだ。膨大な量の弾薬、対戦車ミサイル、機関銃、手榴弾を持ったテロリストが何百人もいた。ナハール・オズでは、私たちは人質を連れていったテロリストを追いかけ、テロリストに向かって発砲した。どの遭遇戦でも、15~20人のテロリストが大量の武器を持っていた。最初、状況を把握しきれず、事態は複雑だったので、戦況をはっきり掴むことが出来なかった。

すぐに予備兵全員を招集し、数時間以内に自宅から直接戦闘に参加させた。部隊は今、私たちが攻撃する段階に備え、どんな事態が勃発してもいいように準備している。1日中戸棚に隠れていたテロリストを発見した。地面に穴を掘って隠れていた(テロリストの)グループがいたとしても驚かない。私たちは、この地域を1センチ残らず安全にするために多大な努力をしている。今のところ、侵入の疑いがあるトンネルは見つかっていないし、町や村へのトンネルの脅威も阻止している。

驚きに明け暮れている暇もない。国防軍の仕事は戦いに出ることであり、必要ならば殺されることもある。しかし、民間人の仕事は民間人でいることだ。戦うことではなく、ましてや殺されることでも決してない。国を守るという責務において、自分たちがとった行動が適切であったかどうかと言う、非常に厳しい質問をのちに、自問自答しなければならないだろう。敵に急所を突かれたが、軍事境界線を掌握し、今は段階的に本格的な攻撃に入っている。だからといって、起きてしまった甚大な被害がなくなるわけではない。戦いは続いているし、すべてが順調にいってるわけではないが、良い結果が出ている。軍の責任を追求したり、難しい質問をするのは後にしてほしい。今集中すべきことは、強く立ち続け、賢明な判断をしていくことである。私たちが戦っているのは、音楽祭で罪のない人々を虐殺し、女性や子供たちを家ごと焼いて殺した凶悪な敵だということを忘れてはならない。

ダン・G

ダン・ゴールドファス
イスラエル准将で、火編隊を指揮する。以前は歩兵軍団ナハール旅団第931オニキス大隊、第98空挺師団、ガザール・ナハール、シェイエット13の司令官を務めていた。

Wikipedia


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