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良い日

旧グッゲンハイム邸という所でゆうらん船のライブを観た。この会場は、昔の洋館を利用して、コンサートをはじめとしたイベント会場に使われているそうだ。神戸垂水区の塩屋という駅だった。この塩屋がまたとても素晴らしい場所だった。海沿いで眺めは良いわ、街並みがローカル特有のおいしい所を寄せ集めたみたいな景観で、どこを切り取っても絵になるそんな街だった。




そんな街にある旧グッゲンハイム邸は、住宅街に紛れた洋館だ。敷地内に一歩足を踏み入れただけで、素晴らしい場所ということを感じ取れた。塩屋という街をひっくるめて、ここだけ時の流れがゆっくりしていた。これまでの経験で、時がゆっくり流れていると感じるような場所には幾つか出会ってきたが、今回の場所はダントツでゆっくりだった。例えるなら、スマブラのアイテムで、敵の動きを遅くするタイマーにかかった時の時間の流れ方。

辺りを見渡すと、ただのサブカル好きではなく、「各々の人生がサブカル無しでは語ることができない、その道を小さい頃から歩んできた」と思わせるような人たちがこの場に客として来ていることが伺えた。同時に、自分が彼らの領域に到達していないことに悔しさも感じた。(他人と比べている時点で、一生彼らのようにはなれないよ)

定刻になり、ライブが洋館の1室で始まる。ライブハウスで見かける、ビッグサイズのスピーカーは無く、ミニサイズのエレボイスピーカーとステージ上の生音を混ぜる形の前音だった。こういう自然な場所の空気感を活かした音で、なかなか良い。

時間の流れがゆっくりに感じるとはいえ、現実の時刻は演奏とともにあっという間に過ぎていく。"てら(band set)"のライブが終えたところで、お腹が空き後輩たちと塩谷駅前にあるカレー屋へいくことに。後輩の1人から美味しいと聞いていたので、行けて嬉しかった。田仲とうふカレーを頼んだ。初めて食べるふわふわ食感のカレーに釘付けになり、自然と口数も減った。

カレーを食べて戻ると、MIZの出番がほとんど終わってしまっていた。ごめんなさいという気持ちを持ちつつ、目当てのゆうらん船を近くで見るために、前の方へと近づく。ライブが始まった。

約4ヶ月ぶりに観るゆうらん船は、素晴らしかった。
個人的な指標として、好きなバンドと大好きなバンドの違いは、バンドメンバー1人1人を認識して好きな気持ちが持てるかということである。このライブで、ゆうらん船は自分の中で大好きなバンドの1つであることに気付いた。今回、目が行きがちなフロントマンイタル、ベース本村だけでなく、堅実でクールなドラムを叩く砂井さんや、耳に残る裏メロを弾く永井さん、音に厚みと幅持たすキーボードの伊藤さん、5人全員に目がいった。とにかく素晴らしいライブで、もっと観ていたいと思った。

とても良い夜だった。良い場所で良い音楽を聴く。やっぱり自分の好きなことは、これだなと思った。

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