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WOMAN Life Style & Career Interview|小池舞さん<後編>

女性の自分らしい生き方を応援するための、ライフスタイルとキャリアをテーマにしたインタビューブログ。
今回は、音で人を幸せにしたいという夢を叶えた舞さんにお話しを伺っています。音業界最大手の技術職で採用が決まり、入社後も自分がやりたいことを社内にコツコツと情報発信し、念願の研究チーム立上げにも成功しました。
第1子育休復帰後、周囲からは変わらず評価され、管理職候補として期待されていましたが、舞さん自身は両立生活に体も心も追い詰められて、心臓発作を起こしてしまいました。第二子妊娠で逃げるように産休をとることに。
第2子育休中に今までのやり方やこだわりが自分自身を追い詰めていたことに気付き、新しいスキルや知識を身につけ、今では充実した両立生活を送られています。
舞さんがどのように自分らしい生き方を見つけていったのか、ぜひご覧ください。チーム立上げまでの話を前編で、暗黒の両立生活から現在までの話を後編で紹介しています。ぜひ、<前編>からご覧ください。

舞さんの紹介

Qパートナーとの出会いエピソード
研究室の後輩、音楽に超無関心。
Q妊娠・出産・育児のエピソード
悪阻の時に聞いた音楽は、気持ち悪くなるのでいまだに聞けない。音のパワーすごし!
Q家事や育児の工夫やパートナーとの分担方法
夫が多忙すぎて、完全ワンオペ。お手伝いさんを活用中!
Qオススメの本
自分の小さな箱から脱出する方法(とくに箱に入りがちな技術職にオススメ!)

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「今まで以上に輝く私」を目指して復帰

ーーどんな理想のワーママ像があったんですか?

やりたい研究テーマに没頭できる環境になったのだから、育休復帰後も変わらず働くつもりでした。でも、職場の中で育休復帰をする女性は私が初めてだったんです。職場には「子どもができたら仕事の負荷を減らして、家庭を優先するもの」という雰囲気があり、同僚からも「復帰後は短い時間で働けていいね」という言葉もありました。

後輩たちのためにも私がこの職場のワーママのロールモデルにならないと!と背負ってしまったんだと思います。そして「諦めない!今まで以上に輝く私!!」という理想のワーママ像を作り、目指しました。

限界が来てしまい心臓発作

ーーどんな両立生活だったんですか?

研究職特有かもしれないんですが、自分の成果であるか、自分のオリジナリティがあるかというこだわりを強く持っていました。働き方も自分でやりきるやり方がいいと思っていました。人に頼ることは、申し訳ないし、技術者としても情けないような気がしていました。

仕事に手を抜くこともありませんでしたが、仕事以外にも課外活動をリーダーとして参画したり、大学の非常勤講師を引き受けたり、海外出張に行ったり、周囲が期待していることは率先して全部やりました。

そして、成果も出ていました。当初4名で立ち上がった研究チームが20名のチームになるまで拡大し、周囲からもリーダーや今後の管理職候補として期待をしてもらっていました。

ーー順調に見える両立生活ですが、その時の舞さんはどんな状況だったんですか?

どんどん自信を失っていました。表向きはやれているように見えていたかもしれないんですが、そもそも無理のあるロールモデルを目指していたんです。頑張っているけれど、すべて自転車操業で空回りしている状態で、穴の開いたバケツのように、技術も働き方も自分の中に蓄積していかない状態でした。

身体も疲労が蓄積していくし、心のバランスも欠いて、職場に通勤することも辛くなっていきました。職場に同じような経験をした人がいないため、相談をすることもできませんでした。相談しても「大丈夫だよ。今まで通りで、できてるよ。」と言われてしまいました。

そして、身体が限界に達し、心臓発作を起こしてしまいました。今思えば不思議なんですが、心臓発作を起こすくらいに限界に達しているのに、その時の私は何も変えることができなかったんです。働き方を変えたくても変えられない、そんな状況でした。

逃げるようにとった産休・育休でやっと気づいたこと

ーーこのタイミングの産休は本当に奇跡のようです。

今でも2人目の息子には、あの時お腹の中に来てくれてありがとうと伝えています。2人目の妊娠で産休に入っていなかったら、どうなっていたか想像もできません。

産休に入った当初は逃げるような感覚がありました。育休中もこのまま復帰しても、どうしたらよいのか分からずに悩む日々でした。そんな時、会社の同僚から「育休スクラ」の話を聞き、藁をもつかむ想いで受講をしました。

ーー育休スクラを受講してどんな変化がありました

今まで、自分で作り上げてきた理想のワーママ像しかなかったんですが、同期の仲間と交流するうち、様々なロールモデルがあることに気付かされました。正解は1つではないし、たくさんの選択肢があることを知ることができました。そして、自分だけで成果を出すだけではなく、チームで成果を出すことという新しい考え方も得ました。この2つの考え方がなかったために、自分で自分を追い詰めて言っていたのだと気づくことができました。霧の中に光が差したような感覚を覚えています。

純粋に同期メンバーとのコミュニティが楽しいんです。育休スクラの講座を受講した後、レポートを書くんですが、同期のレポートから新しい視点や考え方を得られたり、学びが深まることがよくありました。コミュニティの力で自分自身の思い込みやこだわりを手放すことができたのではないかと思います。

別次元の両立生活を再スタート

ーー育休から復職され、今はどんな時にやりがいを感じていますか?

1回目の両立生活とは違う世界の両立生活をスタートしています。無理のあるロールモデルを目標に置くのはやめました。そして、自分の成果ではなくチームの成果に着目することができていて、仕事のやり方が大きく変わりました。以前と同じようにリーダーの役割を期待されていますが、背負い込むこともなく、若い世代の技術者たちのパフォーマンスが上げられるようにしていくことに力を入れています。

「自分」ではなく「チーム」の成果が出ることがやりがいに感じるところが大きな変化です。ただ、昔の自分のこだわりや思い込みに囚われてしまうときもあるんです。そんな時は育休スクラの同期メンバーに壁打ちしたり、修了生コミュニティ「夜スクラ」で話したりして、アップデートを繰り返しています。

ーー今後はどんなキャリアを歩まれたいですか?

「工学×心理学」の技術がなくてはならない技術として定着することを目指したいです。これから技術が進化し、生き方も多様化する中で、音の関わり方も新しくかわっていくと思っています。もっと多くの方に音で幸せになってもらえるような仕事をしていきたいと思っています。

まとめ|インタビューを振り返って

インタビューでは成功体験や両立生活の大変さについてオープンに語っていただいた舞さん、本当にありがとうございました。

舞さんのお話しで印象深かったのは、自分がやりたいことを実現するための力がです。今やるべきことを着実に成果を出し信頼を積み重ね、種まきをしつつ、小さなチャンスを逃さない。「工学×心理学」の技術でもっと多くの人を音で幸せにするという信念をずっと持ち続けていることが源泉なのかなと感じました。

そして、仕事への熱意があるからこそ、高い理想を掲げて自分を追い込んでしまった両立生活。その時の舞さんの苦しさや心情は想像することしかできませんが、本当に心が痛みます。第二子妊娠の産休で強制的に仕事から離れられる期間ができ、本当によかった。女性特有のライフイベントがこういった形でキャリアにも影響することがあるのだと、考えさせられました。

この記事をご覧いただいたみなさまも、どんな感想や気づきがあったか、せひ気軽にコメント欄から教えてください。

舞さんが理想のワーママ像から解き放たれたきっかけの『育休スクラ』が気になる方はこちらをご覧ください。

インタビュアー自己紹介

池上朋子
育休スクラをはじめ女性のキャリアを応援するサービスのマネージャーをしています。2018年に結婚を機に浜松に移住し、NOKIOOに入社しました。2019年4月産休取得、2020年1月半育休半復帰、2020年5月フルタイムで復帰してます。1歳の息子を育てながら、子育てと仕事の両立生活を楽しんでいます。とにかく息子がかわいい。
Twitter|https://twitter.com/tomoko_ikegami