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第5節 横浜F・マリノスvsサガン鳥栖 2019.03.29(完全マリノス視点)

スタメンはこちら。

そろそろ奇数トップのチームと当たりたい。

◼️鳥栖の守備とマリノスの3バック化

マリノスは、同じ2トップでも(前プレに来ないので)特に3バック化の必要がなかったガンバ戦や仙台戦、極力アンカーをCB間に降ろさないでビルドアップに挑んだ川崎戦や大分戦とは打って変わって、あっさり喜田をCB間に降ろした。だがそれも束の間、

喜田を降ろさず松原を残す形の3バックに変化。以降、この形がマリノスのビルドアップの基本形となる。このビルドアップにおける松原の重要性は後ほど。サガン鳥栖の守備のイメージは、多分上の図のような感じ。畠中と松原がドリブルで2トップ脇に侵入し、2列目が釣られざるを得ない状況は作り出せた。喜田が降りずにアンカー位置に留まったことも、鳥栖2トップのピン留めに少なからず寄与したかもしれない。

◼️ボールを運べないときの選手配置

前半8分、(上記の図とは選手配置が異なるが)この状況でもエジガルに縦パスを平気で通してくる畠中はとりあえず隅に置いておく。問題は「①天野がワイドに降りて受け→②ワイドのマルコスへ、という人とボールの動きが、相手の配置を動かせているのか」という点である。結論としては、①はワイドに降りる天野に誰も付いてこない(2列目は畠中がボールを保持した時点でスライド済)、②は動いていないマルコスJrにボールを当てても相手SBは動かない。つまり相手の配置をほとんど動かせていない。にも拘わらず、この配置このルートでのビルドアップが非常に多い。

◼️ボールを運べるときの選手配置

その1

ウイングが降りて受け、相手SBが付いてくることによって作るギャップ。高野がいた頃のマリノス(遠い目)は、このギャップをダイアゴナルランで上手く活用できていた。しかし最近のマルコスは、降りて受ける頻度がかなり少ない。「天野がワイドに降りて受けるから」というのもあるのだろうが、それだけだとあまりに一辺倒な攻め手になる。交代で入った遠藤渓太は「降りて受け」、大分戦に続き鳥栖戦でも試合終盤の突破口となっていた。

マルコスが出来ないわけではない。高野がいた頃(遠い目)はSBやWBを釣り出せていたし、仙台戦のPKはまさにWBを釣り出して作ったギャップ(裏のスペース)にワンツーで抜け出した結果である。幅を取るべきかインサイドに入るべきかという塩梅も含め、マルコスの中で今、何か迷いが生じているのかもしれない。忘れてはいけないのは、彼もまた新加入選手だということだ。

その2

インサイドハーフに縦パスが入れば、相手CBが釣れる。ハーフスペースに生じるこのギャップは攻め手からすると非常に使いやすく、決定機になりやすい(守備時のマリノスのアンカー脇が泣き所なのもこれ)。この縦パス、マリノスには畠中がいるから簡単そうにも見えるが、実はなかなか難易度が高い。というのも、これほどまでに縦パスをズバズバ入れられるCBは日本では稀有な存在なのだ。Jリーグで1番のネックである「最終ラインからのパスの出し手」の問題は完全に解決しているのだから、天野はライン間で受けられるポジショニングと前を向く準備に専念して欲しい。前半35分30秒のシーンや、イニエスタやダビドシルバのように。

もちろん天野がワイドに受けに降りてもいい。それも相手に突きつけることのできる選択肢の一つになる。ただその場合はマルコスがインサイドに入るなど、何らかの連動した動きは必要だと思われる。

◼️松原健の重要性

「松原を右に残した3バックによるビルドアップ」で、松原健は猛威を振るう。広瀬陸斗のセンセーショナルな登場で忘れかけていたが(ごめんなさい)、松原健とはそういう男であった。そして間違いなくパワーアップしていた。松原と広瀬、この2人は同じ右サイドバックを主戦場としながらも、全く性質の異なる選手である。

もしもマリノスの黒澤社長がジャニー喜多川だったら「You、CB(HV)になっちゃいなよ!」と声をかけていることだろう。めちゃくちゃ縦パスを通す。畠中か!とツッコミを入れたくなるくらい通す。これはただ言ってみたいだけなのだが、松原が母なるパスなら畠中はパパなるパスである。

◼️やっちゃえ、NISSAN。

大分や鳥栖のような、簡単にギャップを作れそうにない守り方をしてくる相手には撤退的にこれでいいじゃない。畠中/松原が運ぶドリブルで常に選択肢を突きつけつつ縦パスをグッサグサ突き刺して、最終ラインにギャップ作っちゃえばいいじゃない(ちなみに畠中のせいで忘れがちだが、戸田和幸さんも言及した通りチアゴも縦パスを刺せるタイプのCB)。2トップが畠中/松原に寄ってくるようなら、アンカー使っちゃうよと。広瀬は数的優位作りマン。2ボランチのように振る舞うも良し、崩しの局面に顔を出すも良し、ズッ友と戯れるも良し。普段の偽SB(2CB-DH+2SB)に簡単に戻せることも強み。相手の出方によって、試合中に使い分けちゃえばいいじゃない。

◼️サガン鳥栖戦を終えて

開幕から言い続けている決定力以外は、全く悲観していない。むしろかなりのポテンシャルを感じた試合内容だった。まあ、ポテンシャルは感じさせるだけでは無価値で、発揮してこそなのだけれど。


To Be Continued
(浦和戦へつづく)

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