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相模大野|イタリアンガーデンのジュークボックス

こんにちは。CONOMACHI STORIES編集部です。

定期的に小田急沿線の「この街」スポットを紹介していくレポート。

今回は相模大野駅の老舗レストラン「イタリアンガーデン」様にお邪魔して、店主の杉本さんからお店の歴史やおすすめメニューについて詳しくお聞きしました。

ITALIAN GARDEN(イタリアン ガーデン):
1961年創業。約60年にわたり相模大野で愛されてきた老舗イタリアン。相模大野駅北口からパークサイド通り-夏の小路へと抜けた場所の「PIZZA」の看板が目印。移転前は国道16号の陸橋近くにお店を構えていた。 公式サイト:http://www.italiangarden.jp/

▷「イタリアンガーデン」とジュークボックス

編集部がお伺いしたのはお昼前。現在は、コロナウイルスの影響でランチ営業をいったん中止しているそうで、ゆったりとした時間が流れています。

店内にお邪魔してまず驚いたのが、照明の暗さ。外界とは切り離された特別な空間に迷い込んでしまったような気分になります。

(編集部)すごく大人な雰囲気のお店ですね。いつもこのくらい照明を落としているのですか?

(杉本さん)実はもっと落としているんです(笑)。お食事の際は、お手元にキャンドルを置かせていただいています。少し暗めにすることで、隠れ家的な空間になればな、と。


杉本さんのご案内で、こだわりのワインやウイスキーの瓶が並ぶ厨房を眺めつつ、お店の奥まで。
そこで編集部一同は思わず息を飲んでしまいました。

カウンターの先、爛々と輝きながら出迎えてくれたのは、綺麗に磨かれたジュークボックス。中には年代物のレコードがいくつもセットされています。


(杉本さん)かけてみますか?

編集部が静かに頷くと、ベンチャーズの『ダイアモンド・ヘッド』が店内に流れ始めました。


(杉本さん)このジュークボックスは、2014年の移転の際に、わざわざ新しく輸入したものなんです。以前の店舗から持ってこれる調度品はすべて持ってきたんですが、ジュークボックスがどうしても難しくて。でも、私のなかでは、「イタリアンガーデンと言えばジュークボックス」というイメージがあったものですから、これだけは外せなかったんです。


杉本さんによると、インテリアとしてジュークボックスを置いているお店はたまにあるけれど、レコード型のものは稀で、そこがこだわりだそう。


(編集部)ジュークボックスに何か思い入れが?

(杉本さん)そうですね。当時、私はまだ幼かったのでおぼろげなのですが、記憶のなかの「イタリアンガーデン」ではいつもジュークボックスから激しい音楽が流れていたんです。その頃、お店はまだ16号線の陸橋あたりにあって、私の父が店長として切り盛りしていました。

(杉本さん)米軍の方たちがお客さんで多くて、ジュークボックスで好きな音楽を流しながら、食事を楽しんだり、みんなで踊ったりしてた。さながら『トップガン』の世界ですよね(笑)。

(編集部)お父様から継いだお店なんですね。

(杉本さん)はい。実は、私は3代目なんです。父が2代目で、初代は外国人の方だったと聞いています。その関係もあって、米軍の方がお客さんに多かったわけですね。そこで父は学生をしながらアルバイトをして修行を積み、いつの間にかお店を任されちゃった(笑)。


▷「イタリアンガーデン」のピザが四角い理由

「イタリアンガーデン」は、もともと米軍関係者がメインのお客様だった。

杉本さんのお話を伺ってから店内を見回してみると、たしかに、イタリアンというよりもアメリカの酒場のような情緒が溢れていることに気付きます。


(編集部)移転のきっかけはなんだったんですか?

(杉本さん)一度大きい台風があって。建物もかなり古くなっていたものですから、いよいよこれは潮時だろうということで、どこか別の良い場所を探していたんです。そうしたら首尾よくこちらの土地が売りに出ていて移転することになりました。

(編集部)1代目、2代目と営業されてきた場所から、杉本さんの代で移転されるということで決心が必要だったのだろうなと想像します……。

(杉本さん)そうですね。だからこそ、前の店舗から小物をたくさん持ってきたり、ジュークボックスを輸入したり、出来るだけ雰囲気が変わらないように意識しました。でも、お店は変わってしまいますが、メニューに関しては初代から変わらないものもあって、そういうことが一番大事だろう、と。

(編集部)素敵ですね。おすすめは何ですか?

(杉本さん)まず一つ目はフライドチキンですね。これは初代からの人気メニューです。豆知識なんですが、お皿にパセリが載っているものは、昔ながらのメニューであることが多いです(笑)。

(編集部)そんな見分け方が! 他におすすめは?

(杉本さん)あとは、ピザでしょうか。写真がこちらなのですが……。


そう言って杉本さんがお見せしてくれたメニューを見て、編集部一同はまたまた驚いてしまいました。

(編集部)四角い!

(杉本さん)そうなんです。当店のピザは四角いんです。昔からそうなんですよ。

(編集部)何故なんですか?

(杉本さん)米軍さん由来のカタチなんです。これは諸説あるのですが、なんでも、米海軍の艦船にはスペースの関係から、パンを焼くための四角いプレートしかなく、円形にすると余白がもったいないということで、四角いピザを焼くようになったそうです。その文化の影響で、初代から四角いピザをお出ししているんですよね。

(編集部)米軍の方々が集う憩いのお店だったことが、このエピソードからもよくわかりますね。

(杉本さん)そうですね。移転してからは、小田急センチュリーにご宿泊の外国人の方や、地元の常連客の皆さまがよくお越しになります。大変ありがたいことにいつも大盛況いただいております。


「イタリアンガーデン」に脈々と受け継がれているアメリカの記憶についてお聞きしているうちに、いつの間にかジュークボックスから流れていた音楽も終わっていました。


(編集部)今日は貴重なお時間を頂戴しましてありがとうございました。

(杉本さん)いえいえ。今度はもっと遅い時間にでもいらしてください(笑)。


素敵な笑顔で見送ってくださる杉本店長に何度もお礼を申し上げながら退店です。

このまま相模大野の昔話に花を咲かせながらビールでもいただこうか、という誘惑を必死の想いで断ち切り、編集部一同はいそいそと会社に帰るのでした……。

杉本さま、「イタリアンガーデン」スタッフの皆さま、ありがとうございました!

今度はお客さんとしてお伺いさせていただければ幸いです。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。