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名曲はずっとそこに在る:迷いを消してくれた曲たち

それなりに苦労して入った大企業をたった2年半で辞めると決めた24歳のころ。

今思えば大したことではないけれど、当時の私にとっては、大きな、大きな、本当に大きな決断だった。

いわゆる「約束された未来」を手放したような、そんな感覚だった。

それでも、私は何か、自分で何かを選んで手にして、前に進んでいたかった。
その当時、私はずっと同じ場所に居続けているような気がしていた。

それでも本当にこの決断は正しかったのか?
辞めることを決めてから退職日まで会社に通っている期間、毎日その思いが頭をもたげていた。

その頃繰り返し繰り返し聞いていたのが、細美さんの曲でした。

ELLEGARDEN:Salamander 
ELLEGARDEN:ジターバグ
the HIATUS:Silver Birch


この3曲を永遠に聴き続けていたような気がする。

ど直球で飾り気のない言葉が、24歳の心に刺さりまくった。

***

Just let it slide, wasting time. Just keep it going and going

たった一つのことが今を迷わせてるんだ 数え切れないほど無くして また拾い集めればいいさ

We're still around the corner We're on the edge of nowhere We're aiming to uncover all the stars

***

どれも細美さんがご自身に対してそれを言い聞かせているような気がして、

私も一緒に、私だって。
そうだよ、無駄だよ。進むんだ、間違ったっていいんだ。
前に、前に。
いつか切なくなることがあったとしても、今はただ前に。

そう思っていたのを覚えています。

これだけいっておきながら、ファンです!!と名乗れるほどでもないので細美さんや各バンドについて詳しいわけではないのですが、

なんか勝手に親近感を持つほどに、細美さんご本人の思いと、その思いを糧に誰かの背中を押そうとされている気概を、曲から感じていました。


これらは、「一歩を踏み出させてくれた曲」ではありません。

私はその時、半ば勢いで一歩を踏み出すことを決めて、もう一歩目は踏み出した後でした。
ただ、本当にこれ大丈夫なのかな、と及び腰になっていました。
でももう、出してしまった足は引っ込められない。ふり挙げた拳を下ろせないように。でもきっと間違ってないとは思っていた。
だから、ただ後ひと押しが、「間違ってないよ大丈夫だよ」ということだけが欲しかった。もっと自信を持った足取りで前に進むための、何かが欲しかった。

この3曲は、そんな私の背中を、グッ、と強く押してくれた曲です。

曲を通して、細美さんが、バンドのみなさんが、「ほら、大丈夫だから行ってこい!」と見ず知らずの私の背中をぐいぐいと押してくれました。

10年ほど経った今、この曲を聞くと、特にジターバグは、若っかいなあ!と思います。昔と同じ気持ちでは聞けない自分がいるのが正直なところです。

でも、いつも思うのですが曲でも絵でも漫画でも小説でも、その作品は変わらずにずーっとそこにある。
だから、同じものを見て聞いて、違うことを感じたら、自分が変わった証拠なんだなとじんと感じます。
実はあの曲って大した曲じゃなかったとか、絶対そうゆうことではないと思う。

名曲はずーっとそこに在る。

また5年、10年後にこれらの曲を聞くのが楽しみです。

そのときの私はもしかしたら、またこの曲にグッと背中を押されるかもしれない。
もしかしたら優しくそっと肩に手を置かれるかもしれない。

名曲はずっと待っていてくれる。

いつか会いにいくので、それまで待っていてください。



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