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超新星クンスクレックがハイキックで激勝!チャンピオン対決をKOで決める~ 2024年5月11日のRWS

ラジャダムヌンスタジアム認定バンタム級王者のクンスクレック・ブーンデクシアンは、5月11日のRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)で、同スーパーバンタム級王者のペットサヤーム・チョー・パリーヤーを挑戦者に迎えて初防衛戦を行い、3ラウンドにハイキックでペットサヤームをKOして勝利を収めた。この試合は”RWSスーパーファイト”として位置づけられ、特別に賞金も設けられた。

5月11日のRWSはチャンピオン同士のスーパーファイトが実現

RWSは4月から5月にかけて、スーパーファイトとして注目が集まる3試合をマッチメイクした。クマンドーイ対クンスクレックのバンタム級タイトルマッチ、チャイラー対ヨーティンのフェザー級タイトルマッチ、そしてクンスクレック対ペットサヤームのバンタム級タイトルマッチの3試合である。
※バンタム級=118ポンド(53.53キロ)、スーパーバンタム級=122ポンド(55.33キロ))、フェザー級=126ポンド(57.15キロ)

クンスックレックは、4月6日のスーパーファイトでクマンドーイ・ペットインディーアカデミーを判定で下し、新チャンピオンとなったばかり。クマンドーイ戦ではファイトマネーとは別に勝者ボーナス50万バーツ+好ファイトボーナス25万バーツの75万バーツを手にしていた。スーパーファイトの3試合中2試合が、クンスクレック絡みというのもRWS側の期待が見て取れる。

クンスクレックは、クマンドーイ戦の記事でも紹介したとおり、双子ファイターでコンケーン県の出身。ラジャでのタイトル獲得の前にはオムノーイスタジアム王者、タイ王者にも輝いている。

一方のペットサヤームはスリン県出身、ラジャのス-パーバンタム級は2月17日のRWSでウティゴン・スワンナムターンキーリーと王座決定戦を戦い、4回TKOで勝利して獲得した。防衛戦を行わずに1階級下げたバンタム級王座への挑戦を決めた。

81勝8敗2分のクンスクレックは40連勝中、67勝14敗のペットサヤームは12連勝中だった。

ペットサイアムはラジャダムヌンスタジアム認定ライトフライ級王者であったため、クンスクレックに勝てば、ライトフライ、スーパーバンタムに続く3階級制覇となる。この試合まで12連勝を記録しているが、40連勝中のクンスクレックを止められないのでは、という意見も多かった。RWSがラジャ各階級の王者や、RWSリーグ戦覇者にどちらが勝つか予想を聞いたところ、10人中7人がクンスクレック、3人がペットサヤーム勝利を予想した。クンスクレック、ペットサヤームの2人は共に18歳であるが、80戦以上のキャリアがあり、驚異の10代対決とも言える。

当日のラジャダムヌンスタジアムは、外国人観光客も多いが、第1試合から8割以上の観客の入り。3回戦が6試合、バンタム級タイトルマッチのスーパーファイトが5回戦で1試合の合計7試合が行われた。

1試合目のライトヘビー級(170ポンド=77.11キロ)3回戦では、スロバキアのジュラジュとタイのジャイスーがダウン応酬の迫力の1戦、2試合目のライト級(135ポンド=61.23キロ)3回戦では、タイのペットセリーが初回に右フック一撃でイランのババクをKOし、イベントの序盤から会場を盛り上げた。

初戦からダウン応酬の熱戦、スロバキアのジュラジュが2-1の判定勝ち

19時45分開始のイベントも、メインのスーパーファイトが始まる頃には22時を回る時間となっていたが、試合前のワイクルーも見ていて楽しく、試合の合間の休憩時間にはリングアナウンサーやラウンドガールによるTシャツ投げなどの仕掛けがあり、観客を飽きさせない工夫も見られる。

外国人観光客が多いが、会場は大入り

スーパーファイトは、オーソドックスのクンスクレックに対して、ペットサヤームはサウスポー、第1ラウンドは序盤は前蹴り、ローキック、ミドルキックでお互い探り合い。中盤からはミドルキックの激しい交換、ペットサヤームは、バランスも良く、スウェーで攻撃をかわし左ミドルがクンスクレックのボディに着弾する場面もあった。クンスクレックのミドルの打ち終わりに、必ずミドルを返すペットサヤーム、このラウンドジャッジ2者は10-9でペットサヤーム、1者は10-9でクンスクレック。

スーパーファイト、第1ラウンドの様子

3階席からは赤コーナー側にクンスクレック、青コーナー側にペットサヤームの応援団が熱い声援をおくる。まだまだ試合の展開は分からず、会場に緊張感が張り詰める。後でテレビ放送を確認すると、テレビ解説者が、ここで「5年間無敗を守ったペットサヤーム、ここで連勝は止まるのか」と興奮して喋っていた。

第2ラウンドは、クンスクレックが前に出て圧力を強める。もみ合い、首相撲の展開も増えてきたが、もみ合いから、左ヒジなども繰り出すクンスクレック、離れてはペットサヤームのミドルをキャッチしてからミドルを叩きこむ。左フックなどのパンチ攻撃も有効で、この回はジャッジ3者が揃って10-9でクンスクレック。

2ラウンド終了時には、一者がクンスクレック、二者がドロー。まだまだ勝負は分からなかった。

第3ラウンドは、開始ゴング直後からはペットサヤームが積極的で、ミドルの打ち合いに。ペットサヤームはクンスクレックの左ミドルをキャッチして、左ミドルを叩きこもうとするがかわされる。そしてペットサヤームの左ミドルをキャッチしたクンスクレックは、ジャンプするかのように右ハイキックを繰り出して、ペットサヤームの首(首と左頭部の付け根辺りか)にきれいに着弾させ、ペットサヤームがダウンする。誰もがこの一撃で挑戦者が立てないことを理解し、怒涛のような歓声が会場に響き渡る。レフェリーがダウンしたペットサヤームを抱えて、試合は終了した。

第3ラウンドの攻防、KOの瞬間までは白熱した攻防が繰り広げられた
ハイキックでペットサヤームがダウン。ダメージは大きく、試合は即ストップ。

クンスクレックはラジャバンタム級王座の初防衛を果たすと共に、100万バーツ(約420万円)のボーナスをファイトマネーとは別に獲得した。内訳は勝利者賞50万バーツ、KO賞50万バーツである。

ペットサヤームをKOして、応援団に向かって雄たけびをあげるクンスクレック

3月のクマンドーイ戦と2試合続けて、スーパーファイトで高いパフォーマンスを魅せたクンスクレックはこれで41連勝。クンスクレックを止めるのは、30連勝中のラジャスーパーフライ級王者、吉成名高ではないか、という声もタイのファンの中でちらほら出ている。

また、この日の第4試合では、ルークサイゴンディンジムのルークサイゴンディン16人兄弟姉妹から、15番目のザイタニアが登場し、カオカノック・ウォー・チャラウットと女子109ポンド(49.4キロ)3回戦を戦った。1年ぶりのRWS登場となった17歳のザイタニアは、前蹴り、バックエルボー、パンチなど終始攻めてカオカノックを圧倒し、判定勝ち。

ルークサイゴンディンジムからは、RWSにドゥアンダオノーイ、アイダ、ガオプラチャンが参戦しているが、この日はセコンド、コーナー裏に兄弟が集まって声援を送っていた。ザイダニアにとって、義理の兄であるロッタン・ジットムアンノン(ザイダニアの姉のアイダと結婚)も応援に駆けつけていた。

カオカノックに判定勝ちのザイダニア
ファンに写真撮影を求められる試合後のザイダニア

ザイダニアの姉のガオプラチャンは昨年の女子バンタム級リーグ戦の決勝で現ラジャ女子バンタム級王者のソムラッサミー・マーノップムエタイジムに判定負けで優勝を逃した。今年、女子フライ級でリーグ戦が行われるならば、ザイタニアがリーグ戦に参加するかもしれない。

※ラジャダムヌンスタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のもの、RWSのYoutube、Instagram から。

↓ ↓ クンスクレック対ペットサヤーム戦ハイライト

↓ ↓ 5月11日のRWS全試合


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