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リッテワダが連続KOで、ウェルター級トーナメント優勝、MVPを獲得〜2023年10月7日のRWS

10月7日にラジャダムヌンスタジアムにて、ウェルター級、スーパーウェルター級の2階級のRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)トーナメント決勝戦が各5回戦で行われた。

9月30日に決勝が行われた3階級と合わせて、5階級でのトーナメント開催となった今年だが、5人の優勝者から、MVPに選ばれたのは、ウェルター級のリッテワダ・ペットインディーアカデミーだった。

優勝賞金300万バーツを獲得のリッテワダ

 リッテワダは、この日、元ルンピニー、元ラジャダムヌン王者であるハーキュリス・ウォー・チャクラワットを3回に沈めたが、トーナメント準決勝と続いての衝撃KOでMVP獲得は申し分ないだろう。※準決勝は2023年9月2日に行われた。以下のリンク ↓ ↓


アマチュアボクサー時代のリッテワダ

リッテワダはスリン県出身の27歳、180センチの長身をほこるサウスポー。元ボクサーの警察官の父に二人の兄弟と一緒に子供の頃から指導を受け、地元のリングでキャリアをスタートした。元ルンピニースタジアムスーパーライト級王者、WMC世界スーパーライト級王者などの実績を誇る。

10万バーツファイターとして活躍していたが、アマチュアボクシング協会からの誘いもあり、2019年にはムエタイのキャリアを中断してアマボクシングにチャレンジした。タイ代表チームに入り、 2019年インターナショナルボクシングトーナメントに出場し優勝を果たした。アセアン諸国の国際大会、シーゲームにも出場した。

タイ代表チームで2年の間で国に奉仕した後は、大手プロモーションのペットインディーアカデミーに入り、ムエタイに復帰した。セーマペッチ・フェアテックスとの2連戦をOne Championship のリングで戦った後に、昨年12月よりRWSに参戦している。

通算戦績は85勝16敗5分と試合経験も100戦を超えるが、ボクシングのスキルを活かし、攻撃的なスラッガーとして、ム,エタイにしては異様に高いKO率を誇っている。

183センチと大柄のハーキュリス

この日の対戦相手のハーキュリスはタイ南部のナコンシータマラート県出身で、8歳でムエタイを始め、現在は21歳。元ラジャダムヌン認定ミニフライ級王者、元ルンピニー認定ミニフライ級王者と、ムエタイの二大聖地の王座を制覇したことがある。

現在はルンピニー、ラジャでタイトルを獲ったミニフライ級から、20キロ近く重い、ウェルター級(66.6キロ)にまで増量している。ハーキュリスは今年2月にはONE LUMPENEEのリングで、日本の真吾YAMATOに判定勝ちを収めていた。

かつて、日本でルンピニースタジアム王座を賭けて吉成名高と戦ったこともあるハーキュリス(名高には判定負けで王座を失う)

試合は、リッテワダが、ハーキュリスの得意な接近戦に持ち込ませない。右ストレート、右の前蹴りをリードとして、得意な中間距離を維持し、ワンツースリーのコンビネーションパンチや、左ローキックや右ハイキックを打ち込む。

リッテワダの前蹴り~ハーキュリスの得意な展開にさせない

各ラウンド終了後に採点は公開され、1回、2回とも3人のジャッジがリッテワダがポイントを振り分け、ハーキュリスはなんとか状況を打開したいところだが、なかなか得意な展開に持ち込めない様子だ。準決勝では、ヨードクンポンを相手に再三、距離を詰めての首相撲からのヒザ攻撃で試合を決めたがリッテワダはなかなかそうさせない。2回はリッテワダが、ワンツーからの右アッパーでハーキュリスの顎を跳ね上げ、アマボクシングタイ代表らしいところも見せつけた。

第3ラウンド開始すぐ、リッテワダの左ヒジがハーキュラスのこめかみに命中、そのまま首相撲からハーキュリスを投げ捨て、ロープ際に横転させる。ハーキュリスはロープにしがみつき、必死に立ち上がったが、レフェリーはストップを宣告した。

リッテワダのヒジがハーキュリスを襲う
力なく投げられるハーキュリス
必死に立とうとするハーキュリス
レフェリーはストップを勧告
大の字で喜びを示すリッテワダ、ペットインディーのシアタン社長も嬉しそう

衝撃的なKOに会場は沸き返った。連続KO勝ちのリッテワダはこれで、優勝賞金300万バーツとKO賞20万バーツを獲得、MVPの副賞としては130万バーツ相当のDUCATIのバイク、PANIGATE V4 S が贈られた。

リッテワダは試合後のコメントは以下の通り。RWS優勝をもっての引退もほのめかしているが、1か月の休養後は、また心境が代わるかもしれない。

私のムエタイ、ボクシングのキャリアは20年間の旅を続けてきましたが、その中でも今年は最も頑張った年と言えます。毎日、汗を流して練習し、自分自身との戦いを続けてきました。身体が痛くて、それでも無理して練習することもあります。

家族や愛する人たちのサポートが私に力を与えてくれました。そして私は今日、やり遂げました。

これから1か月は身体を休めたいと思いますが、そのままグローブを吊るしてしまうかもしれません。全てのムエタイファンに感謝したいです。

メインイベントで行われた、ヨーウィチャ・ヨーウィチャジムタナンチャイ・シットソーンピーノーンの一戦は5ラウンドの激戦をタナンチャイが制してスーパーウェルター級トーナメントで優勝した。

ヨーウィチャが有利かと思われたが、、

9月の準決勝で、それまで41戦無敗のダニエル・ロドリゲスに勝利したヨーウィチャとルンピニーで二階級を制し、One Championshipでは、ムエタイフェザー級王者して活躍したペットモラゴット・ペットインディアカデミーに勝利したタナンチャイ。

ロドリゲスとペットモラゴットの決勝が予想されていた中で、ダークホースの二人が生き残った印象。4度目の対戦で、ようやくロドリゲス越えを果たしたヨーウィチャが有利かと思われたが、試合の結果はタナンチャイが判定勝ち。2023年のスーパーウェルター級優勝者となった。

ノンストップの激戦を制したのはタナンチャイ

スーパーウェルター級の4人のバトルは、どの組合せも面白く、著者が生観戦した準決勝の模様も踏まえて、”スーパーウェルター級トーナメント”を総括し、別途紹介したい。

※10月7日の各試合はRWSサイトでの観戦、写真はRWSとYoutubeより。photo from RWS (youtube, instagram, facebook and etc.) 

↓ ↓ リッテワダ対ハーキュリス

↓ ↓ ヨーウィチャ対タナンチャイ


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