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リッテワダが衝撃KO、日仏ハーフのジュリアンが登場~2023年9月2日のラジャダムヌン(RWS)

毎週土曜にムエタイの聖地ラジャダムヌンスタジアムで行われている、ラジャダムヌンワールドシリーズ(RWS)だが、現在、主要階級で今年度のトーナメントが開催されて盛り上がりを見せている。9月2日のRWSでは男子ウェルター級準決勝のニ試合が行われた。

当日のプログラム、ウェルター級準決勝以外は国際色豊かなカード

ウェルター級(66.6キロ)準決勝のニ試合目は、9月2日のRWSの実質的なメインと言えるカードだった。赤コーナーに登場したのは、ルンピニースタジアムのジュニアウェルター級(63.5キロ)の元チャンピオン、リッテワダ(リテワダ)・ペットインディーアカデミーで、キャリア80戦のセーンポン・ソー・ソーンマイと対戦した。

リテワダ・ペットインディーアカデミーは、スリン出身の27歳、180センチ、昨年はOne Championship で2試合を行ったが、昨年12月からはRWSを主戦場とし、今年に入り、この日まで4連勝を収めていた。

リテワダはこの日まで84勝16敗5分

近年は10勝のうち、7KOと、ムエタイにしては異様に高いKO率を示している。通算戦績は84勝16敗5分と試合経験も100戦を超える。

この日の対戦相手のセーンポン・ソー・ソーンマイはウボンラチャタニー出身、元タイウェルター級チャンピオンと紹介されていた。

セーンポンはこの日まで56勝24敗

試合は開始1分に、右ストレートをセーンポンの顔面に当てたリテワダが追撃し、左ヒジをセーンポンの顎に決めた。リテワダの横から来る(右側の死角から来る)左ヒジをまともに喰らったセーンポンは、なぎ倒されるように横倒しになり、試合終了。その瞬間、観客席から怒涛のような声援や悲鳴が上がった。

リテワダのヒジでセーンポンは失神
担架で運ばれるセーンポン

衝撃のKO勝ちを収め、10月7日に予定される決勝への進出を決めたリテワダは、RWSのリングでもノックアウトを量産し、まさに”倒し屋”とも言える存在となっている。

この日行われた準決勝のもうひと試合は、ハーキュリス・ウォー・チャクラワット対ヨードクンポン・ヨードクンポン・ファイトクラブで、こちらも準決勝に相応しい熱戦だった。

ハーキュリス対ヨードクンポン

ハーキュリスは南部のナコンシータマラート出身で、8歳でムエタイを始め、現在は21歳。元ラジャダムヌン認定ミニフライ級王者、元ルンピニー認定ミニフライ級王者で、ムエタイの二大聖地の王座を制覇したことがある。

2019年8月には来日して、名高エイワスポーツ(吉成名高)を相手にラジャダムヌンミニフライ級(47.7キロ)のタイトル防衛戦を行うも、判定負けでタイトルを失った。

この日まで54勝19敗のハーキュレス

名高戦の敗北から4年が経ち、ハーキュリスの身体も相当大きくなり、現在は身長が183センチ、ルンピニー、ラジャでタイトルを獲ったミニフライ級からなんと、20キロ近く重い、ウェルター級(66.6キロ)にまで増量している。まるで、フライ級からウェルター級まで複数階級で闘った、プロボクシングのマニー・パッキャオのようだ。

ハーキュリスは今年に入ってからは、この日まで負けなしの3連勝中で、2月にはONE LUMPENEEのリングに立ち、日本の真吾YAMATOと対戦し、判定勝ちを収めている。

ハーキュリスの対戦相手のヨードクンポン・ヨードクンポン・ファイトクラブは、サムットサコーン出身の28歳で、175センチと、ハーキュリスよりも身長は低いが、ウェルター級での経験は長い。

2018年にはトップキングワールドシリーズで70 kgのチャンピオンとなっている。 6月25日のRWSでリテワダに判定負けしたものの、7月30日の前戦は同じくRWSで、ウクライナのセルゲイ・クルヤバを相手に判定勝ちを収めて、今回のウェルター級トーナメント準決勝への出場を決めた。

ヨードクンポンはこの日まで86勝39敗5分

ハーキュリスは首相撲からの迫力のあるヒジ、ヒザ攻撃が持ち味で、しつこくヨードクンポンを攻めたいところだが、ヨードクンポンも引かずに応戦した。初回はヨードクンポンのフックなどパンチが有効で、ジャッジ3人全員がヨードクンポンの10-9を付けていた。

2回からはハーキュリスの首相撲からのヒザが有効で、距離が近くなるとハーキュリスが良くなる。2回はジャッジ3人全員がハーキュリスの10-9を付けた。

3回はヨードクンポンがスマッシュのような左アッパーをきめるが、ヨードクンポンの得意な中間距離ではなかなか戦えない。遠い距離と超近距離はハーキュリス。2分過ぎにはハーキュリスの右ヒジでヨードクンポンが後退した。

この試合の判定は、ジャッジ3名がいずれもハーキュリスを支持し、ウェルター決勝はリテワダ対ハーキュリスで行われることとなった。リング上で、ハーキュリスはリテワダと対面し、決勝での健闘を誓った。

10月7日に決勝を戦う2人

一週間後(9月9日)に同じくRWSが行う、ブアカーオ対城戸戦はメディアで繰り返しPRされているが、この日の9月2日の興行は、宣伝もされず、少し地味な印象があった。しかしながら客席は外国人観光客を中心に大入りだった。

RWSはリングアナウンサーは英語で選手紹介、判定の読み上げを行う。この日の興行では、ウェルター級トーナメント以外は、タイ人対外国人、外国人同士の組み合わせが多く、外国人の観客も楽しく観戦することができると感じた。この日もウェルター級トーナメント以外の試合も見どころも多かった。

発表されていたプログラム以外にも、プレミアムファイトとして何試合かが行われ、日仏のハーフのジュリアン・エリートファイトクラブも出場した。ジュリアンは大きな日の丸の旗を背中にリングに入場した。

この日まで25勝4敗1分のジュリアン

ワイクルーでは、ドラゴンボールを意識したような舞いを披露し、対戦相手を挑発して、試合開始前から会場を盛り上げた。27歳のジュリアン、試合は惜しくもウタイタニ―出身のタニ―・ジュニアに判定負けだったが積極的な攻めで、試合でも会場を沸かせた。

ワイクルーでは、この日一番の注目を集めたジュリアン
判定を待つジュリアンとタニー

RWSのトーナメント決勝は、男子スーパーライト級、ライト級、女子バンタム級は9月30日に、リテワダ対ハーキュリスのウェルター級は、スーパーウェルター級と合わせて、10月7日のRWS興行で行われる。

各階級のトーナメント優勝者の賞金は300万バーツ(約1200万円)で、日本からはDAZNで視聴が可能である。

※ラジャダムヌンスタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のものとRWSのYoutubeから。

↓ ↓ リテワダ対セーンポン

↓ ↓ ハーキュリス対ヨードクンポン


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