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元RWS王者シャドウがKOでONE初勝利、麻火がセクサンを破る~One Friday Night 58

ONE CHAMPIONSHIPは4月5日に毎週金曜の定期イベント” One Friday Night 58 "をルンピニースタジアムで開催、スーパーボンノンオー・ハマなどスター選手が出場する豪華な顔ぶれとタイ正月(ソンクラーン)前ということもあり、会場は超満員となったようだ。

「いつでもFriday nightの興行に使えますよ」と関係者から頂いた招待券を持っていた著者は、生観戦のつもり会場に赴いたが、窓口ではなんと「今日は特別イベントで招待券は使えません」と説明される。前売り段階でチケットが売り切れとなっていて当日券もなく、「タイ正月後のイベントは、また招待券使えるので来てくださいね」と窓口前に立った係員の女性に笑顔で伝えられる。

困った著者は会場前でダフ屋に声を掛けられる。しかし、ダフ屋が扱っているのは、タイ人用の500バーツチケットの転売のみで、外国人が入場できるチケットはないとのこと。(もちろんダフ屋は違法行為、トラブルもあり、控えるべき)

仕方なく生観戦は諦めて、テレビで観戦することとした。このイベントは生観戦レポートを予定してたのだが、叶わなかった。テレビ観戦レポートで著者の目当てだったシャドウの試合などについて紹介したい。

メインはスーパーボン対グレゴリアン、セミはノンオー対クラーブダム

この” One Friday Night 58 "には、元RWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)のウェルター級の’2022年リーグ覇者、シャドウ・シンハ・マウィンが出場した。

現在、RWSとONEとは同時に出場はできず、ONEのリングに上がるならば、しばらくはRWSには出場しない、「移籍」に近い形になる。シャドウは今年、RWSを離脱してONEに参戦、初戦となった2月のOne Friday Night 55 ではロシアのマムカ・ウスビヤンにまさかの判定負けを喫した。今回のOne Friday Nightは、彼にとって出直しとなる重要な一戦となった。

シャドウはタイ北部のターク県出身の23歳、12歳でムエタイを始め、ファイトマネーで母や弟を助けたエピソードはタイのMATICHON紙など、一般紙などでも紹介されている。2022年のRWSウェルター級制覇後は、リーグ戦優勝賞金300万バーツで母に家をプレゼントした。

昨年は階級を上げて、2023年のRWSスーパーウェルター級リーグに出場したが、準決勝で現ラジャダムヌン王者のヨーウィチャ・ポー・ブーンシットに判定負け。その後RWSで2連勝としていたが、新たな活躍の舞台をONEに求めた。

RWSでのヨーウィチャ戦も激戦、ジャッジ3者が29-28でヨーウィチャを支持、
惜しい敗戦だった。
ラジャダムヌンスタジアムの入口ホールには、シャドウの大きな写真が掲げられている(左のモノクロ写真はかつてラジャ3階級制覇を成し遂げたウィラポン)

シャドウはこの日、第5試合に出場してONEデビューとなる、スウェーデンのエリック・ヘアーとONEフェザー級(70.3kg)三回戦を戦った。当初全11試合で予定されていたこのイベント、第6試合からがプレミアム枠としての扱い。

負けられないプレッシャーの中で入場のシャドウ

RWSではメイン枠だったシャドウ、本来ならばイベントのセミや、セミセミあたりで扱っても良いのではと思うが、前戦がまさかの敗北だったので前座的な5戦目の周津城も仕方がない面もある。

そのシャドウの出直しの試合だが、初回から好戦的なエリックにローキック、ミドルの激しい打ち合い、そしてラウンド終了間際には右ヒジでエリックからダウンを奪った。

シャドウ対エリック

2回はダメージがまだ残りながら前に出るエリック、詰めようとするシャドウに左フックがカウンターとなって命中し、シャドウが尻もちをつくダウン。立ち上がったシャドウは猛攻を仕掛ける。1分半、シャドウの左フックが顔面を捕らえエリックがふらつくもダウンは取られない。2分過ぎにシャドウの左ローキックが勢い余って、エリックの股間に命中。試合は中断したものの、休憩を挟んで再開、2分40秒、シャドウの右フックでエリックはダウン。しかし、エリックは立ち上がり、なんとか2回終了ゴングまで生き延びた。

エリックはダウンの度に立ち上がってきた。

3回開始時に、エリックが観客に手を挙げて「俺はまだやれる」とPRする。まだまだ試合を捨てていない。エリックが逆転を狙いバックハンドブローなどを繰り出して会場を盛り上げるが、シャドウの右ハイキック二連発を脇の下に喰らいエリックは崩れ落ちた。

エリックのダウンシーン

このダウン応酬のKO劇に、通常のKOボーナス35万バーツではなく、ONE側はダブルボーナス70万バーツをシャドウに提供した。RWSの優勝賞金の300万バーツと比べると、ノンタイトル戦1試合で70万バーツは、なかなかの額のように思える。それだけシャドウに期待が掛かっているということかもしれない。

勝ったシャドウは、これで76勝13敗、ONEはまだ2戦(1勝1敗)

ヒーローインタビューでは「今日はボーナスのことは考えず、まず勝つこと、勝利を母に捧げることに集中した。(ダブルボーナスを提供してもらい)ボス・チャトリ、ありがとう!」と話したシャドウの今後のONEでの活躍を期待したい。

この日の第8試合には、ONE参戦後8連勝を誇るセクサン・オー・クアンムアンが登場し、ONE初参戦となる日本の麻火祐太郎を一蹴するかと思われたが、2回に麻火がセクサンからダウンを奪い、まさかの判定勝利、金星を挙げた。

201勝74敗と試合数も凄まじい。まさに伝説の男、セクサン。
2回にセクサンがまさかのダウン

ここ最近、日本勢の不甲斐なさが目立っており、2週前のOne Friday Night 56においては、出場の日本人4人がKO負けという事態。この日も第3試合で出場した新城紘平が、カナダ・イギリスの隻腕のジェイク・ピーコックに良いところなく判定負けしていた。そんな中で、セクサンを相手に高いパフォーマンスを魅せた麻火の、再度のONE登場を期待したい。

セクサンに勝ち切った麻火

※試合はOne Championship のタイのチャンネル7とYoutube放送での観戦。 photo from One Championship site.

↓↓One Friday Night 58


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