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タイ最凶ボクサーに突撃・前編~元アジア王者コントゥアラーイ

サワディーカップ

タイ在住ボクシング、格闘技ファン代表のオダサイです。

今回、タイのボクシングを語るには避けては通れない、伝説のボクサーにインタビューを申し込み、快諾してもらいました。

その伝説のボクサーは「コントゥアラーイ・JMボクシングジム」と言います。コントゥアラーイとは、タイ語で”身体に模様がある人、まだらの人”~全身タトゥーの人という意味です。

「ラーイ」という言葉には悪行の意味も含まれ、”極悪人”という意味も掛けていると思います。

伝説のボクサーは、頭にも入れた、全身のタトゥーが有無を言わせない、とてつもない強いインパクトを放っています。

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ウェルター級時代のコントゥアラーイ(チャランポン)


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コントゥアラーイ選手は、プロボクシングのメジャーシーンでは、ウェルター~ライトヘビーという重い階級で活動していたこともあって、世界上位には届きませんでした。

しかしながら、41歳の今も現役を続け、これまで21勝8敗の戦績を残しています。

ABF(アジアボクシング連盟)のウェルター級チャンピオン、WBCアジアライトヘビー級チャンピオンの座に就いたこともあり、プロボクシングと並行してムエタイのリングにも上がり、そちらでは約100戦の実績を誇ります。

ここまで見てもボクシングでは2冠王で堂々たる実績ですが、コントゥアラーイ選手がタイで「伝説」とされているのは、別の意味があります。

彼はかつて、禁止薬物の密売に手を染め、さらに人を殺めて逮捕され、長く刑務所に収監されていました。言い渡された刑期は無期懲役とも100年とも言われています。

すでに出所し、現在は元極悪人、元囚人ボクサーとして伝説となり、「コントゥアラーイ」はボクシング・ムエタイファンだけでなく、一般のタイ人にも広く名前を知られるようになりました。

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収監中のエピソードですが、相当な”ワル”だったコントゥアラーイ選手は、刑務所内でも罪を犯して、刑期がさらに長くなってしまったそうです。

そのうちに刑務所内の囚人を取りまとめる牢名主のような存在になり、1000人の囚人を従えていた大ボスだった、と聞くと、漫画「あしたのジョー」のマンモス西や力石を想像させます。

「刑務所も長くなると、やたらと外のことが恋しくなる。出所する囚人を見るのが羨ましくてたまらなかった。お母さんに会いたくてたまらなかった」と長かった刑務所生活の思い出を語りました。

ボクシング(ムエタイ)を頑張れば、囚人の大会に出場して、少しでも外の空気が吸え、応援に来るお母さんにも会えるので、ボクシング(ムエタイ)の練習に集中したとも言います。

幼いころから親しんでいたムエタイ、ボクシングを刑務所内で再開して間もなく、囚人の大会に出場するようになります。

タイの国中の刑務所の囚人代表者を集めてのムエタイの全国大会が行われているそうですが、その大会へも毎年出場の権利を得て、順番に出場していった4階級でそれぞれ王座に着きました。

ムエタイで王座に着いた階級は70キロ、72キロ、75キロ、79キロだそうです。囚人のアマチュアボクシング大会では69キロで優勝したそうです。

刑務所内のムエタイ、ボクシング大会、というのもあしたのジョーの世界です。(あしたのジョーでは少年院のボクシング大会)

囚人代表者の全国大会は、1週間に渡って行われるそうで、特別なバスで収容されている刑務所から会場へ向かいます。そして良い成績を収めると減刑の対象にもなります。

ムエタイ、ボクシングでの成績による減刑、また恩赦などもあり、刑務所は13年で仮釈放となったそうです。

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そしてボクシングの大物プロモーター、ナリス・シンワンチャー氏が身元引受人となり、2013年にプロボクサー「チャランポン・シンワンチャー」としてのキャリアをスタートします。

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当時のボクシング雑誌、カラーページで試合結果を伝えている

バンコク近郊のランシットの大型ショッピングセンター・フューチャーパークの近くで、出所後初めての試合に出場したそうですが、「とにかく、フューチャーパークが巨大で驚いた。13年の間に街が大きくなり、発展しているのが分かった」と失った長い日々を実感したことを語ってくれました。

プロボクサーとしては、デビュー後連戦連勝で、6戦目でABF(アジアボクシング連盟)ウェルター級チャンピオンに輝きます。

ベタ足で前に出てパンチを振り回す攻撃的なボクシングで、7度の防衛を果たしました。

ウェルター級がベストだったと言いますが、太りやすいのか、そのうち試合の度に12キロの減量を強いられることになります。

~後編へ続く

後編はこちら ↓

ウェルター級時代の試合映像



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