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2018年のカウントダウン

2018年のカウントダウンはほんと大変だった。なのでせめて皆さんには笑って頂きたい。「大変〜」とか「可愛そう」と思ったら、どうぞ笑って欲しい。僕たちの奮闘記をどうか読んでほしい。

今年は、渋谷にあるよしもとの劇場”無限大ドーム2”という会場でカウントダウンをしたのだが、これが本当に大変だったのだ。。(来て頂いたお客様には感謝感謝で頭が上がりません。)

もう何年もやっているカウントダウンライブ。大体流れはいつも決まっている。22時ぐらいからライブがスタートして、まずは芸人のネタを見て頂き、”今年あった○○””2019年売れるのは誰だ”みたいなコーナーを挟みながらカウントダウンの準備を始める。そして1分前になったら、モニターに60という数字が出て、そこからみんなでカウントダウン。そしてめでたくハッピーニューイヤーを迎え、お疲れ様でした!が通例である。

しかし今年の無限大ドーム2でのカウントダウンは違った。楽屋に貼ってある縦進行を見てみると、芸人(大先輩のギンナナさん)がネタをやっている最中に、新年を迎えるという前代未聞の縦進行。カウントダウンもなく気付いたら新年を迎えている状況にざわつく楽屋。俺たちに年越しは荷が重すぎると震えるギンナナさん。しかしその縦進行には続きがあり、ネタブロック終わりに二つのコーナーがあって、その後に”カウントダウン”と書いてある。またまたざわつく楽屋。一番カウントダウンしないといけない時にしないで、俺たちはその時間帯に一体何をカウントダウンすればいいんだと騒ぐ楽屋。そのカウントダウンのMC俺たちだぞ!と再び震えるギンナナさん。

ご存知のない方も多いと思うので説明すると、無限大ドーム2というのは日本で5本の指に入るほどお笑いをやるのに環境が悪い小屋である。ドームと言っても東京ドームやらプラネタリウムドームを想像していたら話にならない。円形にもなっていないし、50人も入ればパンパンだし、後ろの方は舞台が良く見えないし、笑い声を吸い込む暗幕があって芸人もあまりウケてない感覚になるし、遠慮のない空調の音で後列のお客さんには芸人の声もしっかり届かない。それが無限大ドーム2なのだ。一度声が小さいでおなじみの先輩脇田さんがライブのMCをしたら、お客さんにパントマイムで笑かそうとしていると勘違いされた事件もあった。本人は汗びっしょりでMCをやっていたのに声が1つも聞こえなかったらしい。これは本当に衝撃だった。なのでドーム2はサッカーで言うならば中東並みのピッチコンディション。そこでカウントダウンをやると言うのがそもそもの間違いなのだ。

とりあえず、その縦進行を見てしっかり計算してみると、一人30秒以内にネタをやり切って舞台を降りてこないとカウントダウンに間に合わない(普通は4分~5分)。みんなやれるか?と確認しあう僕たち。そんな緊張感が漂う中、どうやらこれはスタッフさんのミスだと判明。良く見たら最初のネタブロックが終わる時間から、2ブロック目のネタ開始時間が30分巻き戻っていた(これも意味不明)。これじゃあ無理。時間のループに迷い込んでいる。原因が分かり安堵の空気が流れる楽屋。そうしていたらまた誰かが次の問題に気付いてしまった。「30分巻き戻っていたのを訂正しても普通にカウントダウンに間に合わなくない?」またざわつく楽屋。関係ないけど震えるギンナナさん。

ちゃんと計算したら本当に間に合わなかったので(何でだよ!)、もう仕方なくコーナーの前にカウントダウンを入れる事になった。それでも時間はギリギリ。少しでも誰かがネタを押してしまえば(長くやってしまえば)新年を迎えてしまう。ここで芸人たちの間である約束が交わされた。アドリブは一切なし。テンポは少し早めに。あとあまりウケ過ぎないように。絶対に外部に漏れてはいけない秘密の約束。3つすべて”何でやねん!”な案件ではある。楽屋に帰ってくる芸人さんはみんな「ちゃんとあまりウケなかったよ」と、良く分からない正義感に包まれて後の出番の芸人に伝えていた。みんな唇を噛み締めていた。そんな身を切る思いをして、何とか年越し前にカウントダウンのコーナーに入る事に我々は成功したのであった。あともう少し。カウントダウンさえ達成すればこのライブは成功である。

全員が一安心して舞台に出て、さてカウントダウンの準備をしようとモニターを見ると、そこは真っ暗な画面のまま。「あれ?これどうやってカウントダウンするの?」と誰かが言う。すると袖からスタッフさんがすーっと目覚まし用のデジタル時計を出してきて、「これ使ってください」と指示が出る。片手で収まるほどのデジタル時計を手にしながら「これでカウントダウンやんの?!」とまた一同驚愕する。家でももっと派手な時計を見ながら年越すだろう。なのに何で渋谷まで出てきて、100均でも探せば売ってそうな時計でカウントダウンをしないといけないのだ。しかし時間は刻一刻と過ぎている。そのデジタル時計を見ると「23:56」と表示されていた。「あと4分で2019年ですよ~!」と盛り上げる僕たち。そしてその時計が23:56から23:57に変わった。「57分!!あと3分ー!!」と一生懸命テンションをあげる僕たち。

しかし誰かがまた気付いてしまう。「えっ?ちょっと!これ秒数分かんなくない?!」。その言葉で全員がハッとする。会場も騒然となる。カウントダウン用に渡されたその時計に秒数の数字がついてないのだ。

そうしている間にデジタルの数字が57から58に何の前触れもなく変わった。「やばい!やばい!!まじでこれはやばい!」「一か八か行くしかないやろう!!」「誰か時計持ってる人おらへんの!?」「i-phoneの方がいい!正確だって!」「いや、もう間に合わへん!」「皆さん!適当な所から10秒前行きます!もう行きます!」舞台上で混乱する僕たち。嫌だ。目覚ましぐらいの小さなデジタル時計の数字が0:00になる瞬間をみんなで静かに待って、0:00に変わった瞬間に「ハッピーニューイヤー!!!」なんて絶対に言いたくない。どうする?!

みんなが頭の中で必至にどうするか考えていた時だった、モニターに急に数字が出て60と大きく文字が出てるじゃないか。何も聞かされていなかった僕たちはそれを見て今度こそ安心する。改めて60秒前ですよー!と再度会場を盛り上げる僕たち。さぁ。30秒を切った。そして10秒になる。9。8。7。6。5。4。3。2。1。ハッピーニューイヤー!!!!!!僕たちは全力で2019年の訪れを喜んだ。とにかく色々あったが僕らは無事に新年を迎えられた。その達成感に僕らは感情を爆発させたのだった。

みんなで乗り越えたカウントダウンライブ。ライブが終了し楽屋に戻ると衝撃の事実が待っていた。実は、モニターにうつった時間は少し遅れていて、結局僕たちの新年は周りより8秒遅れてスタートしていたらしいのだった。愕然する僕たち。

それに笑って誤魔化す社員さんの姿が今でも脳裏に焼き付いている。2018年のカウントダウンライブはとにかく大変だったという話である。【終わり】


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田畑勇一(田畑藤本)

田畑藤本というコンビでお笑いをやっている田畑の方です。普段は相方の『東大』という肩書きが光過ぎていて全く輝けておりません。学歴社会の構図を日本一食らってる男としても有名です。ここに来たあなた。よく僕の方を見つけたね。

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東京怖い
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