見出し画像

前兆

髪が抜け始めた時、それは突然起きたように感じた。あまりにも急に大量の髪の毛が抜けたから。でもよく思い返してみると、前兆のような症状はいくつもあった。実際にそれらが円形脱毛症とどれだけ関係があるかわからないが、ここに挙げてみる。髪が激しく抜け出す1か月前くらいから体に起きたこと。

・微熱(37度くらいがなぜか続く…)

・大きい口内炎(かなり痛かった)

・口唇ヘルペス(もともと疲れるとすぐできる。皮膚科で処方されたバルトレックスも飲んだ)

・軽い耳鳴り

・軽い動悸

・皮膚の角質が厚くなっている感じ、皮膚が固い

・ふと、爪が汚い?って思った(いつもより線が多くボコボコしている。この後、表面に針先ほどの大きさの点のへこみが不規則に複数の手の爪に現れた)

・全身が急に痒くなり、痒みで夜眠れない(髪が抜け始める1週間前くらい前)

・髪の毛が口の中に入って「アレ?」と何度か思った。また、もしかして薄くなってきた?と、なんとなく思った日もあった(急激に抜け始める前にも、実は髪の毛は着実に抜けていたんだと思う)

だいたいこんな感じ。

皮膚のかゆみと爪は、他の当事者の方のブログなどでもよく見る。特に爪は怖いほどに典型的な点々のへこみができていた。この点々は、抜ける髪がほぼなくなったタイミングで、できなくなったように思う(悲しい)。

皮膚のかゆみは、アトピーのようなしつこい痒みというよりは、突発的にあちこちで痒みが発生する感じ。ここが痒いとおもって掻くと、もう別のところが痒い。この痒みはいったん収まるが、脱毛が本格的にはじまると、痒みレベルは少し下がったものの、また再発した。ピリピリとあちこちが刺激されている感じ。これも、毛が少なくなるにつれて収まっていった(今もたまに起こる)。頭皮自体は特に痒くなかった。

髪が急激に抜け始めたのは今年の4月後半。感染症による外出自粛で、ほとんど家にいた頃だ。体を動かすのはYouTubeでやるエアロビ的な体操(4月はほぼ毎日やった)と、週1回ほど買い物に行く程度。スマホをよくみていたし、頼まれ仕事のパソコン作業をしていたので(これがかなりのストレスだった)、血流は悪かったと思う。感染症のクラスターが地元で複数発生し、理由は不明だが救急車が毎日昼夜激しく何度も行き交っていた。同居の家族が病院でパートをしているのも心配だった。今年の春はいつもとは違うストレスを大きく受けていた。

しかし、私がストレスが強く感じ始めたのはもっと前からだった。
仕事のストレスだ。

とある小さな会社で働いていた私は、職場で大きなストレスを感じていた。夜は眠れないし、健康診断も複数項目で引っかかった。家に帰っても、休日も何もやる気が起きない日々が2年くらい続いた。

「これはよくない」と思い、なんとかそ仕事はやめたのが2019年の6月。旅行でもしてゆっくりすれば元気になるだろうと思っていたが、そう簡単ではなかった。確かに直接のストレスは減ったが、在職中のストレスや悔しさ、悲しさ、怒りがいつまでたっても抜けない。寝る時間だってたっぷりあるのに、いつまでたっても眠れなかった。

そうして仕事を始めることもできずに、ずるずると時間だけが過ぎていた。コロナの流行りだし、髪が抜け始めた。

円形脱毛症の原因は、必ずしもストレスではないが、私の場合に限って言うなら、髪が抜ける前、私はストレスのせいで少なくとも不健康きわまりない状態だったと思う。疲れやすかったし、風邪もひきやすかった。食欲もあまりなく、何より眠れなかった。この不健康は髪が抜けてしまったことと、結構関係があるのではないかと感じずにはいられない。

かと言って、その時には何ができたんだろう、とも思う。

私の不健康は中途半端な不健康だった。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?