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のど自慢の予選会に参加したよ〜(③完結編)

いつもありがとうございます。オデコサンシャインと申します。


前回記事に引き続き、今回はのど自慢の予選会のレポートを記したいと思います。

↓前回の記事です




①予選会に向かう

4/22予選会当日を迎えました。予選会の開始時間は正午でしたが、出場番号順に入場時間が定められていて、私は13:30入場予定でした。

予定時刻に予選会場(名取市文化会館)に入り、
受付の人に予選会の案内ハガキを渡しつつ、ホールの中へと案内されます。ホールの席は出場番号順に指定されていました。

歌唱順はあ行から順々となっており、私がホールに入った時は「さ」行の頭の方の歌唱が行われていました。


話はかわりますが、私は予選会の案内を受け取ってから以下の事について考えていました。「もし自分が選ばれるとしたらどんな役だろう?」

のど自慢の本戦出演者は、のど自慢という1時間ドラマの演者です。もしそこに自分が出演するとしたら…

―抜群の歌唱力を持つ男→違う
―生きざまにドラマがある男→違う
―賑やかし、盛り上げ役の男→なれるかも?
―ひたすら明るくはしゃいでアニソン(特撮ソング)を歌い、鐘が1つなったら案の定ズッコケるような、いかにもなおちゃらけた男
→なれる!

こうして私は、「とりあえず場を盛り上げそうなおちゃらけた男」という仮面を被り会場へと向かっていました。


②予選会の流れ

席に座ってからしばらくすると、司会者から会の説明がありました。
合格した場合今日は20時頃まで明日は朝7時から14時頃まで拘束されるが大丈夫か、とのスケジュールの確認
・舞台上で歌う場合の流れ
等など
最後に司会者は、「皆さん!何故緊張するか知っていますか?それは観客が知らない人だからです。なのでせめて周りの人だけは親戚と思い込みましょう!さぁ!皆さんご挨拶を!」と会場の皆の緊張を解すべく声をかけてくれました。

私も右隣の女性、左隣のお婆さんに挨拶をします。
しかし左隣のお婆さんは「無理ィ〜親戚とは思えねぇ〜」と、身も蓋もないことを言い放ちました。強者のオーラでした。


司会者の説明が終わったあとは出演者がひたすら、歌を披露していきます。出演者は出場番号と曲名を宣言したらカラオケ音源に合わせて歌います。歌唱して45秒程すると、「ありがとうございました!」という録音音声が流れ、演奏がストップします。

演者はそのまま舞台から降り、次の出演者がまた舞台中央に向かい番号と曲名を宣言します。また、出演者は舞台から降りた後は、NHKの二宮アナウンサーとプロデューサーから簡単な面接が行われます。

上記が基本的な流れでした。

③舞台上へ

周りの出場者は続々と歌を披露していき、私の出場番号127番が近づいてきました。「な行」の終わり頃にNHKのスタッフから、「120番の列の方、前にどうぞ」と声をかけられ、私はとうとう舞台へと歩みを進めました。

私を含めて10人程が舞台袖に集まり、自分の番を待ちます。舞台上までくると流石に緊張が増してきます。私も周りの人に「緊張しますね~でも頑張りましょうね!」なんて声を掛けます。舞台上でも私は演者の曲に合わせて拍手を続けました。

「おちゃらけた男」の仮面を被った私は場を盛り上げる為に必死です。席にいる時から両手を叩きつづけているので、もう手の平はサルのケツのように真っ赤でした。また、舞台に向かう人に向けては原監督ばりの両手グーで袖からエールを送りました。

でも、これらの行動は意識した行動でありつつも本心でもありました。「みんな頑張って欲しい」と。そして何より、今思えば私自身に向けていたエールだったのかもしれません。「大丈夫!緊張するな!頑張れ!」と。

私の前の番号の126番の方が歌唱に入り、私もスタンバイに入ります。私が観客席を向くと横にいる司会者と目が合ったので、こちらから話しかけます。

「さすがに緊張しますね~」
『ファイトですよ〜!普段通りの力をだして!
    そういや、アバレンジャー歌ってる遠藤正明って女川町の出身でしたよね?』
「確かそうでしたかね〜」(※実際は石巻らしいです)
『遠藤正明が元々バンド組んでたの知ってます?』
「え!?マジすか!?何それ!!?え!?」

『ハイ!順番ですよ〜頑張って!
 舞台真ん中行ったら、番号と曲名!』

舞台の真ん中へ向かい、客席を見回します。「(埋まりは半分…それでもこの眺め、凄い…)」少しブルりながら私は叫びました。

「百!二十!七番!!!爆竜戦隊!!
アバレンジャー!!!!!!」

④アバレた数だけ

カラオケボックスで何度も練習した通りのイントロが舞台上で鳴り響く間、私は自分の声のデカさを反省していました。反省しつつも、私はマイクを持つ右手を空に掲げてポーズを取ります。スタジオで練習はできませんでしたが、ステージでの所作は何度もイメージしていました。「(イントロの音もいつものカラオケと同じ!俺はやれる)」

ドラムの音に合わせて GLAY TERU両手を広げ し、左の拳を振り上げ、口を喉を腹を開きます。

「アバレ!」

歌い始めで頭の中に絶望が満ちます。
「(これは…誰の声だ)」
自分の耳に届く声からは響きが感じられませんでした。イヤモニをしてないからなのか、緊張なのか、箱が広すぎたからなのか、理由は解りませんでしたが、まるでいつものカラオケルームから天井がなくなり、そこからすべて音が抜けていくような感覚でした。

出だしで面食らった私は、あんなに練習したはずの、「GET UP!」の音程もグチャグチャになりました。そこからは早回しで世界が駆け抜けていき、1番のサビの冒頭を歌ったあたりで、遠くからは「ありがとうございました」との声だけが聞こえてきました。

舞台を降りてからは観客席にて、二宮アナとプロデューサーの面接がありました。出演者のプロフィールが書かれた紙には、私の曲名にマーカーが引いてあり、?のマークが記されていました。

『お疲れさまでした!オデコさん出身はこちら?』
「いえ、埼玉出身なんですが転勤を機に宮城に移り住んで、結婚を機に名取市に引っ越してきました。」
『宮城に来てからは10年?(プロフィールを見ながら)』
「その通りです。」
『なんで爆竜戦隊アバレンジャーなんですか?』
「大学時代所属していたサークルでこの曲が流行していて友人達とカラオケでいつも歌っていた思い出の曲なんです」
『なんで流行ってたんですかね?』
「私の大学にこの曲を歌っている遠藤正明さんという方がライブに来られて、それを見てファンになったのがきっかけで、他にもこのライブを見ていた友人達と一緒にサークルでよく歌ってたのが理由ですかね」
『サークルは何サークル?』
「野球サークルです」
『オデコさんはアバレてますか?』
「(食い気味に)アバレまくってます」

『(アナの隣にいたプロデューサーが)確かにステージでアバレてましたねぇ〜笑  伝わりました』
「もし明日歌えるのであれば!地元の友人達に元気でアバレている姿を届けたいです」
『一緒に番組に出てもらうことになったら、是非ともステージ上でアバレて下さい!ありがとうございました』

面接が終わったあとはホール外のモニターで、舞台上の映像が7分遅れで放送されていました。舞台上で叩きつけるようにアバレンジャーを歌っている私の姿がモニターで流れます。

しかし映像見ている時に、周りの人達から「うまかったねぇ~」「すごい迫力だったね!」「あんた合格でしょ?」みたいに結構褒めてもらったもらったのは、少し自己肯定力が回復しました。ここちょっとだけ自慢です。

映像を確認した後は席に戻り、歌う前と同じように他の人の歌唱を聞いたり、舞台上に上がって写真撮影をしたりで時間を過ごしました。結果発表は17:30との事で入場してからは既に4時間が経っていました。

⑤そして…

定刻になると、NHK仙台放送局の局長が舞台に現れ、合格者の番号を降順に読み上げていきました。

―○○番 スマイル!
○○番 ダイナマイト!
百○番 とうほくであったまろう!

私の番号127番が近づいてきました。

百二十…

一瞬、私の息が止まりました。

…四番 にじいろ!

右手の方から歓声が上がります。私も思わず「おお!!」と声を出していました。そして心から大きな拍手を。

そのまま私は呼ばれることなく18名の出演者が選ばれ、私の予選会が幕を閉じました。


その後、ホールの外で妻と落ち合い自宅まで帰りました。
「お疲れ様!」
ちあきなおみの喝采を歌い、私と同じく落ちた妻からはねぎらいの言葉をもらいました。(にしてもこの夫婦カラオケ狂いが過ぎないか)

番号の関係上、私は妻の歌は聞けなかったのですが、妻は私の歌を聴いていましたので、「どうだった?」と聞くと、『音外れてたね~あと悪目立ちしまくってた笑』との事でした。

悪目立ち…
「とりあえず場を盛り上げそうなおちゃらけた男」
という仮面なんていらなかったのか、私はそこで初めて気づきました。審査するNHKも百戦錬磨の猛者です。素人の被る仮面なんてたかが知れていました。それよりも自分を偽らず、心の底から楽しんでいたほうが、のど自慢という1時間ドラマの演者としてふさわしかったのかもしれません。

盛り上げのパフォーマンスで「女々しくて」を歌っていた方がいましたが、その方は観客席にいる人も自然と一緒に踊ってしまうようなオーラがありましたが、付け焼刃で盛り上げようとした私にそのオーラが備わっていたとは思えません。私の歌、パフォーマンスは内向きな自己満足でした。

『邪念ゼロじゃないとね』
帰り道、妻の言葉が身に沁みました。

でも、この予選会を総括するなら、「のど自慢楽しかったなぁ」これにつきます。

プロが出場するような舞台の上で歌う機会は何者にも耐え難い体験でしたし、200人もの膨大な数の歌を聞く機会なんて中々なく、フェスに参加したような満足感がありました。

出場ゲストの五木ひろしの曲が何連発もした時の会場の盛り上がりには笑いましたし、フラカンの深夜高速が流れた時は激アツチョイス過ぎて私も右手をあげてしまいました。しかもみんな単純に歌がうまいんだよなぁ、本当皆歌う事が好きなんだろうなぁと思いました。刺激になりました。

私自身は残念な結果に終わりましたが、自分の今できる事はほぼすべて出し尽くしました。完全燃焼でした、悔いはありません。




なんて事があるかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あの時舞台から見た半分埋まった客席を思い出すだけでも、未だにゾクゾクします。半分でもこれなのだから、本戦で満員の観客の前で歌えたら…。知らなければ、この歓びを解らなかったのに。やはり予選会当選のはがきは、地獄への片道切符でした。こりゃ来年以降も申し込んじゃうだろうなぁ。


⑥まとめ(予選会)

・予選会はひたすら楽しむ事が大事
・自分を偽らず、一生懸命パフォーマンスをする事が大事
 ・邪念はポイーする事
・そもそもイベントとしてマジで楽しい
・歌が好きならまず申し込んでみよう

ここまで長きに渡り、ご覧頂きありがとうございました。この記事が、将来のど自慢に挑戦する事を志した方の力になる事を祈って…。


では、また。

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