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金沢蓄音器館でSPレコードの音を聞いた後,泉鏡花記念館で企画展「新聞原紙で読む「山海評判記」へ(2024年3月16日)

本日の金沢は春のような暖かさ。NHK朝ドラ「ブギウギ」も終盤なので,笠置シズ子の声をSPレコードで聴けるかなと思い,金沢蓄音器館に行ってみました。その後はお隣の泉鏡花記念館で企画展「新聞原紙で読む「山海評判記」を観てきました。浅野川付近は,穏やかな春色に包まれた感じでのんびりと過ごしてきました。

金沢蓄音器館では毎日,蓄音器の実演を行っています。本日は11:00の回に参加してきました。過去数回参加したことがありますが,館長さんの名調子は相変わらずで,何回聞いても楽しいですね(実演で使うSP盤を毎回変えていることもあります)。

本日流したSP盤では,当時の最高級蓄音器,クレデンザで聞いた,トスカニーニ指揮NBC交響楽団による,ワルトトイフェルのスケーターズ・ワルツが素晴らしいと思いました。実はCDに復刻されたものを持っているのですが,蓄音器自体のサイズが大きいこともあり,何とも言えない存在感のある音だなと思いました。音の輝かしさも感じられました。演奏の方は,いかにもトスカニーニらしく「軽めの曲なのに…真剣すぎるかも」という演奏ですが,そういった特徴もリアルに伝わってくるような蓄音器でした。

そして,予想通り笠置シズ子の歌う「東京ブギウギ」のSP盤も流していただきました。こうやって聞くと,笠置さんの声には何とも言えぬ大らかさがあり,その人柄のようなものも伝わってくるなと思いました。個人的には…戦前期の笠置さんの代表作である「ラッパと娘」のSP盤も聞いてみたかったなと思いました。

金沢蓄音器館の試聴コーナーの目玉といっても良いのが,ソニーの創業者の一人である盛田昭夫さん寄贈のロンドンの電話帳の紙でラッパ部分を作ったという大型の蓄音器ですね(上の写真のクレデンザの右隣の蓄音器)。ヴォーカルは前面に伴奏は後方に聞こえる立体感があるということで,流されたのがハリー・ジェームス楽団の演奏による「モナリザ」(ヴォーカルは不明でしたが,ナット・キング・コールではなかったと思います)。ノイズも非常に少なく,蓄音器の完成形と言えるのかもしれません。

最後はブランズウィック社の蓄音器で,ジャック・ティボーのヴァイオリンで,バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータの中の有名な「ガボット」が流されました(何故かピアノ伴奏も付いていましたが)。ラッパの部分(筐体に内蔵されていました)が木製といことで,弦楽器との相性が特に良いようです。ビクターが作っているウッドコーン・スピーカーの原点といえる蓄音器と言えそうです(上の写真のクレデンザの左隣の蓄音器)。

ニッパー犬は日本だとビクターの「家紋」のような感じですね。

引き続き蓄音器館のすぐ隣にある,泉鏡花記念館に行ってきました。能登半島地震の影響でしばらく休館をしていましたが(建物の外側の「藏」の部分にずっと立入禁止のコーンが建ててあったので気になっていました),少し前から当初1月から始まる予定だった企画展が始まっていたので,見てくることにしました。

少し前まで,この写真の右側の藏が少し崩れた感じになっていました。

展示のタイトルは「新聞原紙で読む「山海評判記」」というもので,鏡花が昭和前期に「時事新報」とい新聞に連載をしていた「山海評判記」という長編がテーマでした。

この小説は,能登半島にある和倉温泉が舞台で,鏡花が盟友の柳田國男を通じて知った石川県に伝わる伝奇的な物語への関心が執筆のきっかけになったようです。初出の新聞の連載の挿絵を担当したのが,小村雪岱ということで,「この3人のコラボ作品と言える,鏡花随一の怪作」といったことがチラシには書かれていました。

展示ではこの小村雪岱のちょっと不思議な味わいのある挿絵の掲載された「時事新報」の原紙がいくつか展示されていました。全く読んだことのない作品ですが,雪岱の挿絵などを眺めていると,「確かに面妖な作品かも」という感じでした。展示室に置かれていたガイドペーパーが,読みどころをまとめた絶好の解説という感じになっていましたので,まずはこのペーパーを読んでみたいと思います。

ちなみに今回の展示のチラシも独創的でした。当時の新聞紙を思わせるようなザラザラのわら半紙のような手触りの紙を使っており,企画した学芸員のこだわりの強さを感じました。

チラシのフォントというか活字にもこだわりがありそう

その後ミュージアムショップに行ってみると,能登をテーマにした「マルシェバッグ」というのを販売していたので,少々迷いましたが(限定セットという言葉に弱いですね)購入してしまいました。2種類あったのですが,「山海評判記」での雪岱の挿絵(「能登の振り売り」といタイトル)をそのまま使った,コットンの風合いをそのまま残した方を選びました。以下のページのとおり,売り上げの一部は能登半島の義援金になるとのことです。

このマルシェバッグですが,広げてみると結構大きなものでした。ちょっとでかすぎるかな?という感じでしたが,「大は小を兼ねる」ということで積極的に買い物用に使っていきたいと思います(米袋を運ぶのに使えるかも)。

たたまれた状態のバッグ
広げてみるとこんな感じ。幅が結構ありますね(写っているのは30cmモノサシ)。
本当に大きいので,風呂敷のように使えるのかもしれません。


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