おっさんずラブin the skyの話をしてもいいですか

ふだんドラマをあまり見ることがない。
よっぽどの推しが出ているか、めちゃくちゃ原作が好きか。
それでも録画を再生できずにそのままになってしまったり、一話は見たもののあっさりフェードアウトしてしまったり、ということばかり。
だから「おっさんずラブin the sky」を見始めたのは偶然と言う名の僥倖だった。

シーズン1が深夜枠の全7回とボリューム小さめだったことが大きい。
信頼するお友達が何人もめちゃくちゃハマっていたので、全話再生するハードルが低かった。
というか、ドラマ終了後に映画をやったのが大きかった。
その劇場版を観に行きたかったので(ドラマより映画という形態のほうが好きだ)、だったら見なきゃとドラマも頑張って全話追いかけた。
ちょっと「ああー……」と思うところはありつつ(けっこう共感性羞恥とか人のいじられたくないところをえぐってくる描写もありませんか)、素直に春田と牧くんの二人が幸せになってよかったねえ……と思って、映画もちゃんと観に行って、あらためてよかったねえ……とホンワカした。

そして始まったシーズン2、in the sky。
見たいなあと思いつつ、1話の録画はしなかったくらいには、またわたしにはハードルが高かった。
でも、やっぱり大好きなお友達が何人も、リアルタイムで盛り上がっていたんだよね。だから「1話だけがんばろう。楽しかったら追いかけよう」と配信サイトで見た。

結果、ハマった。

ドラマってすごいなーと思った。40分にここまで盛りだくさんの展開を押し込んで、俳優さんの魅力的な表情、しぐさ、セリフが「これでもか!」とばかりに詰め込まれて、そしてラスト5分の衝撃。
インスカ(in the sky)全話、最後の5分に衝撃が詰まりすぎていることに定評があるんだけど、1話のそれでまんまと落ちた。
網ドンとかダッシュとか、激突とかデッサンとか。
翌週からはもう、土曜23時15分の定位置はテレビの前でした。

その大好きなドラマが昨日最終回を迎えた。
一つ前の回が終わったくらいから、あと1回で終わってしまうというさみしさでソワソワし通しだったのだけれど、実際終わってみたら……
あまりに!ラストに!
衝撃を受けて!

「え、これで終わり!?」
「まじで!?」
「着陸してない!わたしまだ上空!取り残されてる!!!」

わー、ほんとすごいびっくりした(笑)(ようやく笑える)

主人公の春田、これが今回の春田は本当にいいやつで、もちろんダメなところもあるんだけど、めっちゃ入れ込めるキャラクターでさ。たぶん。
で、この春田が今回、副操縦士の成瀬くんってキャラクターに片思いする設定だったんだけど、春田が思う成瀬の「いいな、好きだな」って思うポイントがたぶんわたしとシンクロしすぎたんだよね。たぶん。
登場人物全員好きだったけど、わたしは春田で、春田になって、成瀬に片思いしていた。この一か月半。……たぶん。

この「登場人物全員好き」っていうのも、また春田もそうだからさ。
みんな好きなんだけど、で、おっさんず「ラブ」だから春田のことを恋愛の意味で好きになってくれる人もたくさんいるんだけど、春田は「そういう意味で好きになれないから」「ほかに好きな人がいるから」って理由でがんがん振って、そしてがんがん傷つけたことに傷ついて泣くんだよね。そういうストーリー。しんどい。

でも最終的に成瀬に振られた春田は、自分が振ったうちの一人の元にラスト行くの。
それで、その人のことを「好きになってもいいですか」って聞くの。
リアルタイムで見てて、え、春田それでいいの、って思った。
もうちょっと失恋抱きしめておかない?って。
わたしまだ成瀬くんに振られてめっちゃつらいよ。
君だけ先にどこか知らないところへ飛んでいかないでおくれよ。

……と思ったんだけど、なんか、時間の問題というか、インスカ時間の流れ方がおかしいからさ、40分のドラマをかみしめて消化して次回を待ち構えるのに毎回一週間平気で要していたからさ、最終回といえど同じというか、いろいろ思い返して、こういうことかな、ああこんなシーンもあんな心情もあったなって思い返したら、春田はあそこでこう動くしかなかったんじゃないかなあって。

どうしても成瀬くんが好きすぎて彼を中心に考えがちだ、と断ったうえで、彼が春田に振り向かなかったということが全てだったなって気がする。
振りむいてたら、「ダメじゃないです」って答えてたら、春田と成瀬の恋が始まってた。でもそうならなかった。
そうさせなかったのも、また春田なんだけどさ。
人との信頼関係がうまく築けなくて、人間不信だった成瀬くん。
彼が、キャプテンに言葉で言われただけじゃよくわからなかった「人とちゃんと向き合う」こと。それを体を張って、心まで張って成瀬に教えてあげたのは春田だから。
だから、成瀬も、春田からの「好き」にほんとにちゃんと向き合わなきゃって思った。きっとたくさん考えて、答えを出したんだと思う。
成瀬くんのこと、この一か月半「人間一年生」とか「赤ちゃん」とか言ってたけど、君は思ってたよりずっとずっと大人な一面もあったんだなあ。
誰かとキスをしても、夜を共にしても、それが誠実な関係だったことはなくて。
「恋愛」をおざなりにしてきた自分だから、大切で、尊敬している春田さんに軽々しくそれは返せない、というのが最終回で彼が出した答え。
そんなこと言ったらシノさんのことは大切じゃないのか、というとそれは違って。
「本気で人を好きになってみたい」とみんなのことをずっとうらやましく思っていた彼が、初めて自分の中に気づいたたしかな萌芽がそれだったんだろう。それはとても尊いものだ。

春田が武蔵のことを大好きなのは知ってたよ。
だって、そんなの随所に現れてたもん。
恋愛として結実するとは思ってなかったし、今回もそういう終わり方じゃなかったけど、本当に素晴らしいラストシーンだったよ。
でも、わたしは、わたしは……

春田の瞳に映った成瀬くんに恋をしてた。
ほんとにかわいくなくて、クソ生意気で、グラタンばっかり食べてる彼に恋をしてた。
目が離せなくて、ほかの誰にも渡したくなくて、めちゃくちゃ、めちゃくちゃかわいい彼に恋をしてた。
そのかわいいところ、君の大好きな人も気づいてくれたね。
でも、そのかわいさを引き出したのは、見せられる世界に連れ出してくれたのは……ぜんぶ春田だよ。

春田のおかげで、春田のせいだよ。

めっちゃキモイこと言うけど、別に「春田と成瀬が一緒にならないと無理!」とかそういう気持ちなわけじゃなくて、ただただ「春田であるところのわたし」がめっちゃ失恋してる(笑)
「わたしの中の春田」とかでもなく、「春田であるところのわたし」。
なかなかこの没入感っていろんな創作物ふれてても出会えないから、そういうことも含めて、このドラマはわたしにとって特別なものになってしまったんだろうなあ。

成瀬役の千葉雄大くんがブログをやっているんだけど、最終回前の更新で、
「見終わった後のみなさんの気持ちを大切にしてください」
「それは誰にも奪えないものだよ」
って書いてた。それがとても嬉しかったの。
わたしの中の「誰にも奪えない気持ち」はなんだろうなあって考えてたら、あふれるくらいに出てきたよ。ついでに涙も。

インスカ本当にたのしかったな。
出会えてうれしかったな。
ありがとう。

……あ、スペシャルはすっごい楽しみにしてます(笑)
成瀬とシノさんが、え、まじですか……???
それわたしが2話のときにさんざん妄想したやつじゃないの……???現実なの……???
……春田であるところのわたしはめっちゃ失恋して泣いてるけど、わたしであるところのわたしは、控えめにいって超テンション上がってるよ???

はやくスペシャル見たいし、8話もちゃんと見返したいし、結末わかったうえで1話からまた見たいし、見終わったあとには色んなことを書きたい。
あと展覧会も行きたいし円盤もめちゃくちゃ楽しみ。

この世界がまだまだ続いていきますように。
ありがとうございました。

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