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【イベントレポート】関西若手起業家ピッチコンテスト~トークセッション編~

前回の記事からレポートしている「U-25 kansai pitch contest vol.0 関西若手起業家ピッチコンテスト」

U-25 kansai pitch contest:https://u25.billage.space/

プレゼン編:https://note.mu/billageosaka/n/n7da0ecee790a
結果発表編:https://note.mu/billageosaka/n/nd92206e411ab

関西在住の25歳以下の若手起業家を対象とした本イベントは観覧者数130人という大盛況で進行しております。


8名の多種多様な若手起業家のピッチプレゼンが終了したあとは、審査員数名によるトークセッションです。

今回の登壇者はこちら!


市村 昭宏 さん(合同会社DMM.com 経営企画室 室長)
慶応義塾大学経済学部、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を卒業。2011年5月にLive Styles株式会社を創業。2015年にDMMグループに参画。


高原 瑞紀 さん(株式会社ジャフコ 関西支社 支社長)
大阪府出身/同志社大学卒業、2010年、当社入社。中部支社で8年間、東海・北陸エリアのスタートアップを対象とした投資育成業務に従事する他、ファンドレイズにも関与。株式上場・M&A双方のEXITの経験を有する。2018年3月から現職。


荻谷 聡 さん(KLab Venture Partners ベンチャーキャピタリスト)
東北大学大学院理学研究科修了。在学中は自身でwebサービスを立ち上げ、運営。2013年KLab株式会社に入社後はゲーム事業部にてモバイルゲームの運用、新規ネイティブゲームの立ち上げに企画として従事。2015年4月よりKLab Venturesに参画し、複数の投資先ベンチャーの支援を実施。2015年10月にKVPに参画。


冨田 阿里 さん(株式会社セールスフォース・ドットコム スタートアップ戦略部)
神戸大学卒業後、インテリジェンス入社。スタートアップの採用支援と新規事業開発に従事。2016年セールスフォース・ドットコムにインサイドセールスとして入社。2017年にスタートアップ戦略部を立ち上げ、B2B SaaSのメンタリングやカンファレンスなどスタートアップ向けの企画を行う。同時にNPO法人でEdtech事業を立上げ、2018年に経産省グローバル起業家等育成プログラムにも採択され、プロダクト開発中。

今回は冨田さんはファシリテートも務めていただきました。




以上4名の方々が「若手起業家」と「資金調達」をテーマにトークセッションを行いました。


トークセッション開始!

今回登壇した若手起業家を中心に、イベント参加者からの質問を中心に展開されていったトークセッションまずはこんなテーマからスタートしました。


投資にあたって投資先の見るポイントって何ですか?

どういう観点でVCや投資家は投資判断をしているのでしょうか。

高原さん
「社長の経験談は聞きますね。PDCAをどうやって回してきたのか、など。その延長として事業計画を聞く感じです。」

萩谷さん
「マーケットと、経営心と、あとはチームの3つですかね。あとは経営者がどんな人なのか、なぜその事業をするのか、周りを巻き込む推進力があるのか、などは見ます。」

市村さん
「市場とやりきる力があるか。この2点を見ます。自分も資金調達をした経験があって、当時は右往左往しましたが、マーケットに関してニーズはあると思ってました。それでも大人の力を借りないと伸びないという意識がありました。そんな時にバックアップがたくさんあったので、今に至る、という感じです。」


ジャフコの高原さんに質問です。ジャフコはスタートアップやシードのステージに投資しない印象がありますが、今回本当に投資しようと思ってますか?

この質問には会場中が大爆笑でした。

冨田さん
「いい質問ですね(笑)」

高原さん
「質問ありがとうございます(笑)大いなる誤解があります(笑)。実は今ジャフコが投資している9割はスタートアップやアーリーです。加えて投資の社数も絞り込んでいます。加えて年間で投資している社数は全国で20社、東京以外だと数社というのが現状ですね。なので、もちろん、今回は真剣です!(笑)」



起業家が投資家を選ぶ時代になっていると思うが、何をもって投資家を選べばいいでしょうか?

萩谷さん
「起業家が投資家を選ぶ時代、というのは確かにそうですね。どういう点で選べばいいか、ということに関しましては、例えば課題点をつついてくるだけの人はあまりよくないかもしれません。一緒に戦略を練ったり、将来についての絵を一緒に描ける。あとはキャッチボールの相性とかでしょうか。」

市村さん
「投資家やVCに何を求めるかによって違ってはきますけどね…。各社違うと思いますよ。私にお付き合いがある20代の経営者なんかは完全に相性で決めてるそうです。コミュニケーションの密度が大切だと思います。」

高原さん
「どんどんお金の価値が下がってきてる中、投資家も選ばれる努力をしないといけないと思っています。究極を言うと、第一印象でほぼ分かるのではないかとも思います。担当者が個人として信用できるか。会話をしながらでOK・NGラインを見つけていくことが大切になってくるかと思います。」

ここで加えて質問がありました。

「VCの担当者とVC会社そのものとの相性にギャップはありますか?」

この質問に対して高原さんが答えます。

高原さん
「属人性が高い側面があるので、会社とそこで働く個人でのギャップは多少あることもあるのではないでしょうか…。」

冨田さん
「私も若い起業家さん両方から相談を受けることはあります。どのVCがいいですかーなんて。でも、『この会社だから駄目だ』というのはないと思います。投資担当との相性も大きいため、悪いうわさがあったとしても、自分の目で確かめることが大切です。」


投資までどのくらい時間がかかりますか?

市村さん
「担当者によって違ったりします。15分プレゼンして、その場で決めるときもあるので、結構早いですね。」

冨田さん
「自社で資金を持っているCVC何かは早い傾向にあるんでしょうか?」

萩谷さん
「うちも早いですよ。その日に決まっちゃうこともありますし。事業のバリエーションにもよりますしね。例えばBtoBの業態ならニーズが読みづらくてヒアリングの期間を設けたり、逆にBtoCなら自分事化して想像出来たら決まるのは早いですね。」

高原さん
「弊社も急げばひと月切るくらいではできますね。ただ、投資額が億を超えてくることが多いと、それなりにいろいろと質問させていただいたりしますが…。」

この質問の本質は、「資金調達できる可能性がどのくらい早い段階で分かるのか、ということですよね?」と高原さんは言います。

高原さん
「理想としては、その場でご出資しますといってもらえることですよね。しかし、その場で意思決定することはかなり難しいです。ただ、起業家のお気持ちはわかるので、私はお会いする時には極力自分のポジションを明確にするように心がけています。例えば、『論点はこれですよね』だったり、逆に『ここが懸念点なので議論させてください』だったり。」


フードテックをやっているが、日本でのファンドやVCがなかなか見つからないのは何ででしょうか?

こちらはピッチプレゼンをした登壇者の関係者から寄せられた質問です。

高原さん
「ユニークな事業でしたよね。ファンドを運用している場合、多くはは10年満期で運用している以上、期間内にリターン獲得しないといけません。20年後に花が咲く事業は出資が難しいのは事実です。逆にいうと、そこがクリアだとVCの担当者が確信を持てれば資金調達ができるのではと思います。」

萩谷さん
「これは日本の課題かと思います。その領域において、投資できるか否かという見極めができる人材がVCに流れていないとかありますね。今では大学発VCや研究開発型ベンチャーに投資するVCもあるので、そこに聞きに行ってみるといいかもしれませんね。」

市村さん
「うちは何でもいいので、よかったらぜひ(笑)いつでもどうぞ。マーケットや商売に関して、商売好きな人が多いので、その点についてきちんとディスカッションはしますが、業種や業態に関してこだわりはありません。」


投資をするか決めるとき、ほかの投資家の影響はあるんですか?

あの人が投資しているから投資しよう、となるような伝説の投資家はいるんでしょうか。

市村さん
「全くないですね。」

高原さん
「うちもないですね。ジャフコが資金調達のラウンドを牽引して他社にお声掛けするケースはありますね。」

冨田さん
「ジャフコさんから投資受けたって一種の自慢みたいなところありますよね(笑)」

萩谷さん
「私も他が投資するからうちも投資しようみたいなことはないですね。日本はVCの歴史がまだ浅いので、伝説の投資家みたいな事例があまりないのかもしれません。」

高原さん
「弊社は古くからやっているので、社内にすごい投資をされている人はたくさんいて、その人の話を聞くのは勉強になりますね。」


そもそも資金調達ってした方がいいんでしょうか?

自己資本でできるなら資金調達はしない方がいいんでしょうか…という質問。

高原さん
「資本コスト以上の収益が出るのであればやった方がいいし、そうでないのなら自己資本でやった方がいいし、といった感じでしょうか。」

萩谷さん
「全くその通りで、会社としてどうしたいかが大事ですね。デッドの調達だと時間がかかって競合にマーケットを取られるので、エクイティで一気に調達することが必要になってくることもあります。自分が解決したい問題が解決できれば、事業をあえて大きくする必要もないと思います。資本政策は慎重に考えた方がいいと思います。」

市村さん
「私も調達コスト、時間軸、競合については考えてから資金調達するか決めた方がいいと思います。」


東京と関西でスタートアップエコシスの違いは何ですか?

やはり地方だとスタートアップに障壁があるんでしょうか…。

萩谷さん
「大阪は今活発で、いいスタートアップが生まれてると思います。エクイティファイナンスも浸透もしてきていますし。次に必要なのはグロースのノウハウだと思います。東京だとグロースに関するイベントがたくさんあります。大阪でも事業スケールする上でのプロダクトグロースや組織戦略などのイベントが増えれば良いと思います。」

市村さん
「個人的には地方の方が面白いスタートアップがあるかな、と思います。その場所でないとだめだ、という業態でなければ場所は特に気にしなくてもいいと思います。」


ここで時間となり、トークセッションは終了。登壇者の皆さんから最後に一言いただきました。

萩谷さん
「VC、投資家は起業家がいてこその仕事ですので、大変尊敬しています。うまく利用して下さい!私たちもできる限りやって、自分も成長します。」

高原さん
「今年は恐らくベンチャーマーケットに2000億円を超えるお金が入る年になりそうです。資金調達調達しやすい環境になっています。まさに起業家が投資家を選ぶ時代。自分たちも選ばれるように、自分自身も成長しないと、と思っています。その中で、お互いが選び選ばれ、ご一緒できれば素敵だと思います!」

市村さん
「弊社の会長も『若い人に投資するのが俺の終活』と言っているくらいなので、ふらっと来てくれれば。面白そうなら『やってみれば?』というスタンスで、うちは緩くやっていきます(笑)」


以上、トークセッションの模様でした。

次回はいよいよ、ピッチコンテストの結果発表です!お楽しみに!



billage OSAKAはこれからもこのようなイベントを随時開催していきます!


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