006イタリアサムネ

ライフラインは紙切れ1枚?命の危機を本気で感じた、イタリアでのガチ迷子 part3

こんにちは!BLACKです。

こうしていろいろ書いていますが、イタリアは大好きな国の一つで、是非また行ってみたいと思っています。

今回は、海外珍体験エピソード「絶体絶命イタリア編」全3回のうち、締めとなるpart3になります。

part2では、

・4:30amにヴェネツィアのどこかでガチ迷子(スマホも無い時代)
・「イタリアと言えばマフィア」と妄想に取りつかれ勝手におびえる
・安全な場所を求め、コーヒーショップへ駆け込む
・1,2時間つぶそうとするも、出てきたのはおちょこサイズのエスプレッソ
・時刻は6:10am。招待主とコンタクトはとれるのか!?

というところまでお話ししました。


ライフラインは紙切れ一枚

時刻は6:00amをまわり、周囲には出勤中の人影もちらほら。

ようやく、「早朝でほぼ無人の時間帯、旅行客丸出しの自分がイタリアンマフィアに襲われる」という可能性は低くなったと感じ一安心です。


しかし、この非常事態の根本的な解決には至っていません。

「ヴェネツィアのどこか、自分がどこにいるのか分からない」という状況は、全く変わっていませんでした。


とりあえず私は、電話をかけることにしました。

私をヴェネツィアへ招待してくれた、イタリアのヨーヨー全国大会の主催者、Carlo Alberto Menon氏に、です。


もし何かあった時のために連絡先は控えておこうと思い、Carlo氏の携帯電話の番号をメモの切れ端に書いていました。

ちょっと風が吹けば飛ばされてしまうような紙切れ。これが、当時の私にとっては唯一の生命線でした。


運命の公衆電話

当時は2003年、スマートフォンも海外で通じるガラケーも持ち合わせていなかった私がCarlo氏に連絡を取るには、公衆電話を使うしかありません。

イタリア語の読めない私にとって、普通に発信するだけでも一苦労でしたが、3度目のトライで何とかコール音が聞こえてきました。

とりあえず、発信には成功した模様です。


ただしこの時点で、時刻は6:30am。

電話をかけるには早すぎる非常識な時間帯だったかもしれません。

しかし数回のコール音の後、幸運にも電話に出てもらうことが出来ました。


Carlo: 「…Pronto?(もしもし?)」

BLACK: 「Ah…Carlo…?(あの、Carloさんでしょうか…?)」

Carlo: 「Si.(そうですけど)」

BLACK: 「This is BLACK from Japan!(日本から来たBLACKです!)」

Carlo: 「Oh!」

まずは、この電話は私BLACKがかけていると理解してもらうことが出来ました。


いよいよ本題

Carlo: 「Hey BLACK, where are you?(今どこですか?)」

BLACK: 「Ah… I don’t know…(それが、分からないんです…)」

Carlo: 「You don’t know?(え、分からない?)」

BLACK: 「I think I’m in Venezia. I can see Santa Chiara Hotel and next to the boat station. (たぶん、ヴェネツィアにはいると思います。『サンタ・キアラ・ホテル』というホテルが見えて、ボート乗り場の隣です。)」

Carlo: 「Ah, alright. I think you are at Piazzale Roma. (あー、たぶんそれは、ピアツァーレ・ローマのところだね)」

BLACK: 「No! I’m not in Roma! I’m in Venezia! (あ、ローマじゃないです!ヴェネツィアではあると思います!)」

Carlo: 「I know. I know. You are at “Piazzale Roma Ferry station”. (あ、大丈夫。それは分かってるよ。『ピアツァーレ・ローマ フェリー乗り場』というところなんじゃないかな)」

BLACK: 「Ah, ok… please wait! (あ、そういう意味ですね…ちょっと待ってください!)」

(フェリー乗り場の看板を確認しに、受話器を保留にしたままダッシュで往復)

BLACK: 「Yes! I’m at Piazzale Roma! (ピアツァーレ・ローマで合ってました!)」

Carlo: 「Ok. I’ll drive to there in 1 hour. (良かった。じゃあ今から車を出すので、1時間くらいで迎えに行きますね。)」


なんと奇跡的に、自分のいる場所を特定してもらい(たぶん)、迎えに来てもらえる事に!!!

九死に一生を得たとは、こういう事を言うのでしょうか。


思わぬリスク

さて、あとはCarloが来てくれるのを待つだけですが、ここで一つ心配事が浮かんできました。


実は、Carlo氏と私が直接会うのは、この時が初めて。

私の正確な居所を把握していない状態で探しているCarlo氏が、私の目の前を通るも気づかずに通り過ぎてしまう可能性もあるのでは?


Carlo氏が知っている私の姿は、ステージ上で演技している本気モードのBLACK。

それに対してこの時の私は、トラブル続きの長旅で疲労がピークに達しており、精気のかけらも無いボロ雑巾のような顔をしていました。


これは、気づいてもらえない可能性も大だな・・・

そう考えた私は、熟慮の末、妙案を思いつきました。


やっぱり救ってくれたのは、ヨーヨーだった

そう。ヨーヨーです。

たとえ疲労困憊の顔をしていても、ヨーヨーをやっていれば、さすがに気づいてもらえるはず。

そう思い至った私は、早朝6:30、ヴェネツィアのフェリー乗り場の前で、ヨーヨーをプレイし始めたのです。


さぞ違和感のある光景だった事でしょう。

大道芸のつもりならばチップ用の帽子を置いたり、見てくれる方へアピールをしたりするのでしょうが、私の目的はただの待ち合わせです。

むしろ、通行人の方が立ち止まって見ていると、Carloが来てくれた時に私が見えづらくなってしまう可能性があったので、あえて一旦手を止めて、人垣が消えてからヨーヨーを再開する始末。

寒空の下でプレイを続けるうちに指の感覚も薄れていき、自分は何をやっているんだろうと5分おきに自問自答していました。


そして、徐々に通勤客も増え始め、奇異の目にさらされることにも慣れ始めた、7:20頃。

どこか見覚えのある顔の、高身長のイケメンが一直線に私を目指して近づいてきました。


「(息を切らせながら)...BLACK!?」

「…!!!」


男性と出会って5秒で全力で抱き合ったのは、この時が初めてでした。

自宅を出てから、およそ30時間。

ついに私は、招待主であるCarlo氏と合流することができたのでした。



焦りや不安でヘロヘロになったイタリア珍道中。

真っただ中にいるときは本当に大変でしたが、今となってはいい笑い話です。

海外では、言葉の意味や”常識の概念”が異なる場合があるということや、もちろん、不測の事態に備えた準備や連絡手段の確保の重要性も学習することが出来ました。

(今では、simフリーのスマートフォンを常用し、海外へ行く際は必ず渡航前に現地simの手配方法を確認しています)


ちなみに、なんとか迷子からは脱する事の出来た私でしたが、この後もちょっと恥ずかしい失敗をしてしまったりしたので、そのあたりは次回の記事で書きたいと思います。

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