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語彙力 全20単語でOK。シルク・ドゥ・ソレイユで体験した英会話ハック

みなさんこんにちは。BLACKです。

シルク・ドゥ・ソレイユKURIOS、名古屋公演が始まりましたね。


私が出演していた当時、KURIOSに関わる社員の人数は、アーティストをはじめ舞台監督や音響・照明、衣装など、総勢約110名。

国籍は約20に渡り、まさに国際的なチームでした。


社内での公用語は英語となっていましたが、母国語が英語ではない人の方が多かったので、各人の英語力もまちまち。

「とは言っても、シルク・ドゥ・ソレイユに出演するくらいだから、みんな結構話せるんでしょ?」

と思ったあなた。

実は意外と、そうでもないんです。


今回は、そんな国際交流が日常となった職場で私が体験した、実践的英会話のエピソードpart1です。


超国際コミュニティ「シルク・ドゥ・ソレイユ」

KURIOS出演アーティスト内における母国語の割合は、ロシア語が4割、フランス語が2割、英語が2割、その他2割といった内訳でした。


ロシア語圏出身者が多いのは、ショーの中で多くの演目を占めるアクロバットのアーティストです。

ロシアやウクライナが体操大国であるため、自然とロシア語話者のアーティストが多くなり、楽屋では常にロシア語が飛び交っています。


次いでフランス語話者が多いのは、シルク・ドゥ・ソレイユ本部のある都市、カナダのモントリオールがフランス語圏であるためです。

地元採用のアーティスト達ですね。


「その他」に含まれる言語は様々で、スペイン語やギリシャ語、日本語もここに含まれます(日本人は私一人でしたので、日本語を話す機会はゼロでしたが)。


そんな国際的な職場でのコミュニケーション、思い出に残っているエピソードは沢山あるのですが、今回ご紹介したいのは、コロンビア出身のJames Gonzalez Correa氏です。


コロンビアからやってきたコミュ力魔人James

James(ハメス、と読みます)はコロンビア出身のアーティストで、母国語はスペイン語。

演目は「ローラ・ボーラ」というバランス芸を担当しています。

初めて見た時は、思わず叫びました。

普通に立ってるだけでもビビってしまいそうな空中ブランコ、その上でバランス芸とか正気の沙汰ではない・・・


そんな凄まじい技術の持ち主Jamesですが、普段はフレンドリーな超陽気キャラ。

いつも満面の笑顔で話しかけてくれます。

幼稚園レベルの英語で。


【会話例】

日本語: おはよう!調子はどう?

一般的な英語: Good morning! How’s it going?

James式: BLACK! Good? (握手を求めながら)


James、How are youを知りません。

と言いますか、語彙力が全部で20単語くらいだったと思います。


「え、How are youも知らないで、英語ベースの会社でやっていけるの?」

と思われる方も多いと思いますが、事実として、なんとかなっていました。


英会話って、人と人とのコミュニケーションである以上、会話ごとの背景・状況ってあるじゃないですか。

上記の例で言えば、

・時間帯は朝
・その日、初めて会った時の挨拶

という状況です。


「Good」という単語は「良い」という意味で、語尾を上げて疑問形にすると「良いか?」という意味合いになりますよね。

朝、その日初めての会話で、自分の名前を呼ばれて「良いか?」と聞かれたら、「今日は調子良い?」と聞かれているのかな、となんとなく想像がつく、という流れです。

私としては、これも立派な英会話だと思っています。


もちろん、語彙力が多く、様々な文法を知っていた方が、より細かいニュアンスを表現することが出来ます。

しかし、「完璧な英語を話せるようになるまで、英会話をする資格は無い」などと考えていたら、いつまで経っても実践に移ることが出来ず、国際交流で知見を広げる素敵な機会を棒に振ってしまうのではないでしょうか。


重要なのは、まずは相手への思いやり

そして、自分の限りある語彙力・文法力の中から、その場面で最適な表現方法を選び出し、ボディランゲージや表情などと合わせて、相手に分かりやすく伝えること

この2点が、滑らかな国際コミュニケーションへの第一歩であると、私はJames氏から学びました。


ちなみに私が国際交流についての講演を行う際は、James氏の英会話に着想を得たワークショップを行っているのですが、おかげ様で好評だったりします。

初めは少し抵抗を感じる方もいらっしゃるようですが、一通り終えると、英会話に感じているハードルの高さや壁が融解すると感じていただけているようです。


講演やワークショップ実施に興味を持っていただいた方は、ぜひお問い合わせいただければ幸いです!


今回の国際交流
・国際交流へ踏み出すのに、語彙力や文法は重要ではない
・大事なのは、相手への思いやりと、状況に合わせた表現

ちなみにJames氏、先日会ったら、ついに「How are you?」や「so-so」といった表現を習得していました。

語彙力が少なくても国際交流は成立しますが、「もっと皆と分かりあいたい」という姿勢を持つことも大事なのだなと、改めて教えてもらった気がします。


次回予告
サイゼリヤで開催されたTEDリハーサル。静寂の果てに見えたものは。

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