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うつ病患者さんは、友人が支えてあげる~顔つきの変化に注意して

 「友人がうつ病を発症したら支えてあげたい」

そう思っている人は少なくないはずです。そしてその気持ちはうつ病の治療に役立ちます。なぜならうつ病は病気なのに、本人が医療機関にかからないことが少なくないからです。

うつ病を発症しているのに治療を受けないと症状は悪化の一途です。そのため、友人にうつ病が疑われたら相談を受けるように促してあげることが大切です。

そこでこの記事では、うつ病患者さんに特徴的な顔つきを紹介します。友人がこの特徴に当てはまる表情をしていたら、そっと声をかけてみてください。 


友人の役割


うつ病患者さんの顔つきを解説する前に、まずはうつ病についてみていきましょう。そのうえで、友人としてうつ病が疑われる人に何をしてあげられるかを説明します。


うつ病とはどういう病気か


うつ病は気分障害という精神疾患に属し、気分が落ち込んだり、やる気がなくなったり、ときに「生きていたくない」と思ったりする病気です。

うつ病と単なる気分の落ち込みを区別するのは、病気か否かです。うつ病は病気です。

うつ病には特徴的な症状があって、それは睡眠、悲しい気持ち、食欲の変化、体重の変化、集中力や決断力の低下、自分に対するネガティブな考え方、死に対する考え方の変化として現れます。

このような症状が1日中、毎日、2週間以上起きていて、身体の不調がともない、社会生活や仕事に支障が起きているとき、うつ病と診断されます。


友人が試験に落ちて沈んでいたらそれは単なる気分の落ち込みなので「どうした、頑張れ」と声をかけてあげるだけでよいのですが、友人にうつ病が疑われた場合は医療の力を頼るよう促したいものです。


友人として何ができるか


うつ病の疑いがある友人にしてあげられることは、1)気づいてあげることと、2)医療機関などの専門家に相談するよう促してあげること、の2つです。

うつ病患者さんのなかには、この病気を発症していることに気づけない人がいます。「気持ちが沈むのは自分の精神力が弱いため」と思って仕事や勉強を続けてしまうと症状が悪化してしまうでしょう。また、うつ病の症状を自認できても、そのことを隠しておきたいと考える人もいます。

いずれの場合もこの状態では本人だけでは医療機関にかかることができません。

このとき友人が気づいてあげることができれば、受診の第1歩になります。


そして友人が本人に「うつ病かもしれないよ」と伝えてあげることができれば、受診の第2歩目になるでしょう。うつ病は医療機関でしか治せないからです。

うつ病は治療を受けないと悪化するので、いつかの時点で苦しくなって助けを求めるはずです。友人の指摘によってうつ病の疑いがあることがわかっていれば、その時点で専門家に相談したいと思ってもらうことができます。

 

友人として知っておきたいうつ病の症状と顔つきの変化


友人をうつ病から守りたいと思っている人は、うつ病の症状と顔つきを関連づけで覚えておくとよいでしょう。


気分の落ち込み


うつ病の顕著な症状の一つが気分の落ち込みです。抑うつと呼ぶこともあります。

気分が落ち込むと表情が暗くなったり、顔から活力が失われたりします。失敗やトラブルといった明確な出来事が発生していないのに、暗い表情や活力のない顔をしていて、しかもそれが長く続いているようであれば、友人は「うつ病かもしれない」と気づいてあげることができます。


興味や喜びを感じなくなる


うつ病には「沈む」現象のほかに「上がれない」現象があります。先ほど紹介した気分の落ち込みは「沈む」になります。一方「上がれない」現象は、本来は興味を示すはずなのに、または、本来は喜んでよいはずなのに、そのような気持ちになれない状態のことです。

例えばアウトドアが大好きだった友人をキャンプに誘ったのに、理由も言わずに「行きたくない」と断られたら興味を失っていると判断できます。

楽しい状況のはずなのに楽しい顔をしていないことは、友人だけにしかわからないことがあります。


身体的な症状


うつ病には身体の不調も伴います。例えば、睡眠障害、食欲不振、過食、体重の急激な増加、体重の急激な現象、疲労感などです。

表情が暗く、好きなキャンプにも興味を示さなくなり、なおかつ「最近、眠れないんだよね」と訴えていたら、友人は「危険な状態かもしれない」と警戒することができます。

 

見逃さないためのサイン


うつ病が疑われる顔つきの変化を紹介します。

もちろん、例え友人どうしの間柄であっても軽々に「あなたはうつ病かもしれない、そういう顔つきをしている」とは言えないはずです。しかしここで紹介する顔つきをしていたら、「うつ病の兆候の一つ目」と数えておいてください。


感情の表出が乏しくなる


うつ病患者さんは感情を表出しにくくなります。ある状況になったとき、以前は喜びを爆発させていたのに、今はまったく同じ状況なのに表情に何も表さない、といったことが起きます。

またその逆に、本当は相当つらい状況下にあるはずなのに、それほど苦悶していないこともあります。これは本人が「どうなってもいいや」と思ってしまっているからです。


無表情な顔つき


健康な人は表情をつくっているものです。例えば人前で話すことになったら、緊張している顔をつくろうとか、笑顔で話そうかとか、みんなに厳しいことを言わなければならないので眉間にしわを寄せて話そう、といったように考えます。

しかしうつ病患者さんのなかにはどのようなシチュエーションであっても表情がつくれない人がいます。虚無といってもよいでしょう。周囲のことどころか、自分のことにも興味がないような無表情が続いていたら要注意です。


ボーッとした表情


考えることに疲れてしまうと、ボーっとした表情になります。うつ病患者さんのなかには、そのような表情をずっと続けてしまっている人がいます。

先ほど紹介した無表情な顔つきは冷たい印象がありますが、ボーっとした表情にはそれほどの冷たさはありません。その代わり、周囲の刺激にまったく反応しません。

ただし敵意もないので、友人が声をかけると小さくリアクションを取ることもあります。しかしその場合でも「どうした」と尋ねても「いや、なんでもない」と答えるだけで、またしばらくするとボーっとしてしまいます。


言葉数の減少と声の小ささ


「自分がうつ病のはずがない」と強く思っているうつ病患者さんは、それを隠そうとして頑張って話そうとします。しかしうつ病を発症していると言葉数が少なくなったり、声に張りがなくなったり、音量が小さくなったりしてしまいます。

かつて元気よく喋っていた友人の口数がめっきり減っていたら要警戒です。

 

早期発見のポイント

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