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歯並びのマウスピース矯正は良いけど悪いところも少なくない

歯並びを良くする方法の一つにマウスピース矯正があります。歯に密着させて装着するマウスピースを長期間使うことで、少しずつ歯を移動させます。

「歯の矯正」と聞くと「金属のワイヤーを歯に張り巡らせるのか」とイメージする方がいると思いますが、マウスピース矯正はワイヤーもブラケットも使いません。使うのはプラスチック製のマウスピースだけです。

しかも矯正で使うマウスピースは透明なので、じろじろ見られない限り周囲の人に気づかれることはありません。マウスピース矯正の治療方法をそのメリットとデメリットを、Q&A形式で紹介します。 

歯並びを矯正するマウスピース矯正

まずはマウスピース矯正がどのようなものなのかみていきましょう。


Q:マウスピース矯正とはどんな治療方法ですか?

A:マウスピース矯正では、上の歯の全体と下の歯の全体を覆うような形状をしたマウスピースを患者さんに装着してもらいます。マウスピース矯正ではマウスピースのことをアライナーと呼んでいます。アライナーの素材は医療用プラスチックで、透明です。

アライナーを装着しただけでは歯が動きません。そこでマウスピース矯正では複数個のアライナーを使います。複数のアライナーはそれぞれ0.3ミリほど形が違っていて、新しいアライナーに付け替えることで歯が0.3ミリずつ動いていきます。つまり最後に使うアライナーが理想の歯の位置になっていて、その装着期間が終了するとキレイな歯並びになっているわけです。

 

Q:マウスピース矯正はどんな人におすすめですか?

A:マウスピース矯正は、矯正していることを周囲に知られたくない人におすすめできます。アライナーは透明なので目立たず、そのため口を大きく開けない限りは周囲の人に気づかれることはないでしょう。ただし近距離で会話をしていると、相手に気づかれるかもしれません。しかしその場合でも目立つわけではないので、それほど大きな違和感を与えずに済むはずです。

このような特長があるので、ワイヤーを使った一般的な矯正方法を苦手にする人にもマウスピース矯正をおすすめすることができます。ワイヤー方式は目立つだけでなく自身の口のなかの違和感も小さくありませんが、アライナーはしばらくするとなじんできて違和感は消えるはずです。

さらにマウスピース矯正は金属を使わないので、金属アレルギーがあって通常の矯正を受けることができなかった人におすすめできます。 

歯並びを矯正するマウスピース矯正のメリット・デメリット

マウスピース矯正にはメリットとデメリットがありますので紹介します。


Q:マウスピース矯正のメリットを教えてください。

A:マウスピース矯正の最大のメリットは目立たないことです。ワイヤー方式の矯正は金属ワイヤーを歯に張りつけている形状になっているのでとても目立ちます。実際は周囲の人に見られていなくても「見られているのではないか」と感じてしまう人もいます。しかしアライナーはその心配はありません。そのためマウスピース矯正なら矯正したい、という方もいます。

自分で着け外しができるというメリットもあります。目立たないとはいえアライナーはマウスピースの形状をしていて歯にしっかりくっついているので、じっくり見られると気がつかれてしまいます。しかし取り外すことができるので、どうしても気づかれたくないときは外すことができます。取り外すことができるので、歯磨きのときは通常の歯ブラシを使うことができます。ワイヤー方式の矯正の場合はワイヤーを外すことができないので専用の歯ブラシを使います。

金属を使っていないので、口のなかが傷つく心配もありません。マウスピースは元々歯を守る道具なので、アライナーも歯を保護します。

そしてこれも大きなメリットといえますが、治療中の痛みや違和感はとても小さいでしょう。新しいアライナーをつけた瞬間は歯が窮屈に感じますが、歯がアライナーにしたがって動き出せばその窮屈さも消えます。

通院回数が少なくて済むのもマウスピース矯正の長所です。患者さんは歯科医からアライナーを複数個渡され、最初の1個目を装着したら、一定期間後に次のアライナーを装着し、また一定期間が過ぎたら次のアライナーを着ける、ということを繰り返すだけです。そのため自宅で治療を継続することができます。ただし状態を確認する必要があるので、アライナーを装着している間は少なくとも数カ月に1回は通院する必要があります。

 

Q:マウスピース矯正のデメリットを教えてください。

A:マウスピース矯正にもデメリットがあります。最も大きなデメリットは、矯正対象にならない患者さんがいることです。極端な歯列のズレや嚙み合わせに大きな問題があるような重度の歯列不正の場合、アライナーでは動かしきれないことがあり、その場合はワイヤー方式矯正の一択になることがあります。ただマウスピース矯正の対象外になることはまれであり、ほとんどの歯並びは矯正できます。そのため「自分の歯並びでは無理だろう」とあきらめず、歯科医に相談することをおすすめします。

そしてアライナーは1日20時間以上装着することで効果を発揮するので、取り外すことはできるのですがそれは例外として、原則は睡眠時も装着することが求められます。アライナーの装着時間を守っていただかないと計画とおり歯を動かすことができないことがあります。

 

マウスピースで歯並びを矯正する流れ

マウスピース矯正の流れを解説します。


Q:マウスピースで歯並びを矯正する流れを教えてください。

A:マウスピース矯正ではまず、歯科医が患者さんの歯列を評価します。歯列を3Dスキャンしたり、レントゲン撮影をしたりして形状を詳細に確認します。これでマウスピース矯正の対象になるかどうか歯科医が判断します。

マウスピース矯正の対象になると判断できれば、次に歯型を取ります。この歯型を元にアライナーをつくるわけですが、アライナーは複数個つくり、それぞれ0.3ミリほどズラしてつくらないとならないため、それには高い技術力が必要になります。

歯型を取ってから約3週間後にアライナーが完成しますので、患者さんに来院してもらってアライナーを渡します。このとき装着時の注意事項や脱着時の注意点、アライナーの保管方法などを説明します。

患者さんがアライナーを受け取った時点から治療が始まります。最初のアライナーを歯に装着すると2、3日は歯が締めつけられる感じがしたり、人によっては痛みを感じることがあります。しかし徐々に慣れてきて痛みも違和感も消えるはずです。

アライナーは最低1日20時間は装着することになるので、歯磨きや食事のとき以外は睡眠時も装着することになります。

1個のアライナーは1、2週間で使い終わります。つまり1、2週間で歯が0.3ミリほど動くので、次のアライナーに取り換えて、また1、2週間かけて0.3ミリほど動かしていきます。

これを続けることで理想の場所に歯を動かしていきます。ただし、最後のアライナーの使用期間が終了しても、これで矯正を終えてしまうと歯が元に戻ってしまうことがあります。そのため理想の場所に歯が収まったあとに、リテーナー(保定装置)というマウスピースを装着することが推奨されます。リテーナーは最後のアライナーと同じ形状をしているので、移動した歯を固定する役割を果たします。

歯が固定したらリテーナーの使用を終了して、矯正が完了します。

 

Q:マウスピースで歯並びを矯正する期間はどれくらいですか?

A:マウスピースを使った矯正の期間は短くて6カ月ほどです。矯正する歯の本数が6本以下の場合、6カ月で済むことがあります。

ただし矯正対象の歯が多くなると1年かかることも珍しくありません。またすべての歯を矯正する場合は2年半ほどかかることもあります。

さらにアライナーを使った矯正が終わったあとに歯の場所を固定するリテーナー(保定装置)を使う場合、さらに1年ほどそれを装着します。したがってトータルでは最長で3年半ほどかかることになります。

 まとめ

マウスピース矯正は、ワイヤー方式の矯正を苦手にする方や、金属アレルギーがある方に安心して受けていただくことができる矯正法です。

さらに、目立たないことにメリットを感じる患者さんもいるでしょう。

ただし治療期間が年単位に及ぶことから、じっくり取り組むことが求められます。

  

【参考文献】

https://www.kyousei-jiyugaoka.com/mouthpiece.html

https://www.sbc-dental.com/way/kyousei/mouthpiece_index.html

https://www.ogikubo-dc.com/inv/

https://dhc.or.jp/media/mouthpiece-straightening/mouthpiece-merit-demerit/

https://www.hanaravi.jp/blog/archives/2534

https://www.hanaravi.jp/blog/archives/37

https://toseido.com/flow/mouthpiece/

https://tower-side.net/blog/invisahowmany/#i-2

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