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人間ドックを20代で受けるのは「早すぎません。AYAをご存知ですか」

人間ドックは中高年以上の人が受けるもの、というイメージを持っている人は多いと思います。

もしくは、若いうちは健康診断を受けていれば十分で、人間ドックまで受ける必要はない、と感じている人もいるでしょう。


健康診断をしっかり受けているのであれば、このイメージは間違っているとはいえませんが、ただ日本人間ドック学会は、人間ドックの対象を20歳以上としています(*1)。


20代で人間ドックを受けることは、決して、早すぎるわけではありません。

なぜなら、20代でも重大な病気を発症するリスクがあるからです。


*1:https://www.ningen-dock.jp/public/faq


AYA世代のがん、という概念について


がん治療の領域に、AYA世代のがん、という概念があります(*2)。

AYAはAdolescent and Young Adultの頭文字で、思春期や若年成人の意味です。15~39歳の人たちのことをAYA世代と呼びます。


がんの発症リスクは年齢が上がるほど高くなりますが、AYA世代でもがんが発症することがあります。

国立がん研究センターによると、国内では毎年、AYA世代の約2万人ががんを発症すると推定されています。


人間ドックのなかには、健康診断では行わない、がんの検査を行うものがあります。

したがって20代で人間ドックを受けることは、早すぎないわけです。


*2:https://ganjoho.jp/public/knowledge/about_aya.html


若い人も心臓突然死を起こすことがある


日本医科大学の清水渉教授(循環器内科)は、若い人でも心臓突然死を起こす可能性がある、と指摘しています(*3)。

心臓突然死とは、心臓の病気や異常によって起きる突然死です。

突然死とは、急に症状が起きて意識を失い、そのまま死亡してしまうことです。


心臓突然死の主な原因は心筋梗塞と狭心症で、その割合は50~60%。その他、心筋症30~35%、遺伝性不整脈10%となっています。


心筋梗塞や狭心症などに対しても、中高年以上の病気というイメージを持っていると思いますが、静岡市立静岡病院の病院長、小野寺知哉医師(循環器)は、心筋梗塞の危険は20代から芽生えることがある、と指摘しています。次のように述べています。


「亡くなった方の心臓の血管をみると、10代までは割とツルンとしているのですが、20代になると心臓の冠動脈がちょっと分厚くなってきます。

そのあたりから動脈硬化が起こり得るといえます。

海外だと20代で心筋梗塞、動脈硬化になってしまう人も結構いるので、日本でも海外と同じような生活をしていると20代から発症するということはあり得ると思います」


20代でも心臓の病気について油断することはできませんし、20代こそ心臓をケアすべきである、といえます。20代から心臓のケアを始めることで、長く健康でいられます。


人間ドックでは、健康診断よりも詳しく心臓をチェックします。


*3:https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_73.html


がん・心臓の検査を充実させたあるクリニックの人間ドック


あるクリニックの事例をみてみましょう。

このクリニックでは人間ドックでも、20代の方の受診を受け付けています。

当院では、がんに関する検査と心臓に関する検査を充実させています。


4種類の腫瘍マーカーでチェック


精密ドックでは、4種類の腫瘍マーカーを使ったがん検査を行っています。

4種類は男女で異なり、以下のようになっています。


<4種類の腫瘍マーカー>

男性:1)CEA、2)AFP、3)CA19-9、4)PSA

女性:1)CEA、2)AFP、3)CA19-9、4)SCC


<それぞれの腫瘍マーカーがターゲットにするがん>

CEA:大腸がん、肺がん、乳がん

AFP:肝臓がん

CA19-9:膵臓がん、大腸がん、胆道系のがん

PSA:前立腺がん

SCC:肺がん、子宮頸がん、食道がん


胃内視鏡(胃カメラ)検査はスタンダードに含めている


このクリニックでは胃がんの検査として、胃部X線検査と胃内視鏡検査を用意しています。


このクリニックの基礎的な人間ドックであるスタンダード人間ドックでは、胃部X線検査を行いますが、3,300円(税込)の追加料金で胃部X線検査を胃内視鏡検査に切り替えることができます。

胃内視鏡検査では、医師がダイレクトに受診者の胃のなかをみることができるので、より高度な検査ということができます。


心臓ドックの検査メニュー


あるクリニックには、心臓を集中的にチェックする心臓ドックがあり、次の検査を行っています。


<心臓ドックで行う検査>

●心電図検査:安静時心電図・心拍数・負荷心電図

●BNP検査


安静時心電図検査は、いわゆる「普通の心電図」検査です。これで不整脈、狭心症、心筋梗塞、心筋症、心室肥大などのリスクがわかります。


心拍数の心電図検査では、不整脈のリスクがより正確にわかります。


負荷心電図検査は、受診者に運動をしてもらい、心臓に負荷をかけた状態で心電図を取ります。これで激しく動いているときに発症する心臓病のリスクがわかります。


BNP検査は血液検査です。BNPは、心臓に負担がかかると心臓から分泌されるホルモンで、この血中量を調べることで心臓病のリスクが推定できます。


まとめ~健康づくりに「早すぎる」はありません


健康づくりに「早すぎる」ことはありません。

20代でがんを発症することもありますし、20代から心臓病のリスクを高めている可能性もあります。

したがって、20代の人が人間ドックを受けても、早すぎるということはないのです。


この記事はこの資料を参考にしました


日本人間ドック学会 (ningen-dock.jp)

人間ドックQ&A - 日本人間ドック学会 (ningen-dock.jp)

AYA世代のがんについて:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

若い人でも注意 心筋梗塞・狭心症とは?心臓突然死の症状や予防法 | NHK健康チャンネル

SBS静岡健康増進センター座談会|教えて健康! (sbs-smc.or.jp)

安静時心電図|この検査は何のため? - 人間ドックのここカラダ (cocokarada.jp)

心電図から心拍数を算出するには?:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)

運動負荷心電図 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)


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