見出し画像

また一つ日本の医療の宝が消えた~福島孝徳先生、死去

私は病院で広報を担当していたとき、医療記事を書くためにさまざまな資料にあたった。
名医を紹介した報道はとても参考になるので、その方面の情報を集めていたら、福島孝徳さんを紹介する記事や動画に数多く接することになった。
私は医療情報を集め始めたばかりのころに福島さんのことを知ったので、「日本の医者ってすごいな」と思ったが、しばらくして福島さんが特別であることを知った。

「ゴッドハンド」と呼ばれる医師は数多かれど、「」が要らない本物のゴッドハンドを持った医師は少ない。
そして威張らないゴッドハンドになると、なお少ない。
福島さんは確実にその一人だ。

福島さんを追ったドキュメント番組を何本かみたが、驚くのはその軽さだ。
よくしゃべる人で、インタビュアーの質問になんでも軽快に回答し、その道の権威のような重みがない。
日本とアメリカを往復するフットワークも軽い。
手術前に患者さんと軽く話して、手術後も患者さんと軽く話す。
そして肝心要の手術も、チョチョイノチョイといった軽い感じで終えてしまう。

超難関の脳腫瘍手術をここまで軽くやり遂げることのすごさよ。

仕事ってこうやってやらないといけなんだ、と思った。
スキルアップって、ここまで軽くやれるようになるまで極めなければならないんだ、と思った。
自分の業績って、ここまで軽く扱うべきなんだ、と思った。

私は「ご冥福をお祈りします」という言葉が嫌いだ。
このフォーマットのような文に気持ちを感じないからだ。
しかし私は福島さんには、心から冥福をお祈りする。

以下の文章で始まる産経新聞の記事は秀逸である。
一読されることを強くすすめる。

「ゴッドハンド(神の手)と呼ばれた脳神経外科医の福島孝徳さんが死去したことが、福島さんの公式サイトで発表された。81歳。福島さんは脳腫瘍などを開頭せずに数センチの穴から摘出する「鍵穴手術」を開発し、驚異的なペースで手術を行う一方、明治神宮宮司の二男として、白足袋を履いて手術に臨んだことで知られる。多くの患者の命を救いながら、日本人の精神を最後まで大切に守り続けた。」

https://www.sankei.com/article/20240323-GOPY2OZEIFIPXHGPNWSMGE6IBU/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?