結婚74年の夫婦のひとりごと

私たち夫婦は、正式に結婚してから今年で74年になります。その当時のことだから、熱烈な恋愛の末に結婚したというわけではありません。未熟な二人だったから、何もかもすべてわかったうえで結婚を決めたわけでもありません。それまで住んでいた家の内外で、いろいろなきしみが目立ち始め、そこにいるのが息苦しく感じ始めていた頃だったので、新しい家庭を作るちょうど良い機会だと思ったのが大きかったです。だから、周りの人たちが結婚までのお膳立てしてくれて、私たちも、「まあ、こんなものか」という程度の気持ちで結婚を受け入れたというのが正直なところです。

それにしても74年は長かった。いろいろなことがありました。危機も何度も経験しました。迷いもありました。でも結局別れなかった。私たちは結婚に至った経緯を忘れたわけではありませんが、その後の長い年月が積み上げた時間の重みも感じています。

だから、「そもそもこの結婚は人から押し付けられたものなのだから、結婚するべきではなかった。別れなさい」と言われても私たちは戸惑うばかりなのです。実家に帰れと言われても、またあの実家で過ごす日々を考えると憂鬱になります。

逆に、「このご時世、ずっと変わらずに夫婦でいること自体に価値があるのだから、そのままでいなさい」と言われても、褒められてうれしい気持ちはあまりわきません。そもそも変わらなかかったことが、本当によかったのか自分たちでもよくわからないからです。

74年の重み。それを乗り越えてもおつりがくるほどのいい家庭がこれから作れるなら一番いいのですが。

みなさんは、自分の中にある思い、場合によっては、"思い込み" を私たちの関係に投影して自分が見たいものを見ているだけなのではないかとときどき思います。

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