シェルブールの雨傘

 あまりにも有名な映画なので、とっくの昔に観たと思い込んでいた。でも違った。テレビでの放映もなかったのか、見逃していたのかな?

 仕事の合間に、サブスクの配信で観た 1964 年のフランス映画。例の通り、古い映画なので、1 時間半ほどと短めだった。

 ミュージカルというと、普通にしゃべっていると思ったら突然歌に変わるものだと思っていた。でもこの映画は違う。最初から最後までセリフがずっと歌だった。自分が知らなかっただけかも知らないが、珍しい形式のミュージカルなのかもしれない。

 最初は違和感があった。だが、ストーリーが進んでいくにつれてその世界に引き込まれていった。話は飛ぶが、先日「ドライブ・マイ・カー」を観たときも初めは戸惑った。プロの俳優とは思えないような棒読みのセリフにかなり違和感があった。しかし、すぐにその独特の世界観にすっかり引き込まれた。その時とちょっと似た感覚かもしれない。

 歌にセリフを乗せているため、フランス語が分かりやすかったのはよかった。フランス語では、ごく親しい人の間では “tu”、それ以外では “vous” で二人称を使い分けるが、その部分も聞き取れた。例えば、男女二人が互いに “vous” で話していたが、次の場面では “tu” に変わっているのも聞き取れた。ただ、字幕ではどちらも「あなた」になっていたが。

 ストーリー自体は、いわゆる男女の “すれ違い” を描いたもので、劇的な展開があるわけではない。

 カトリーヌ・ドヌーヴがどう見ても 17 歳には見えないとか、口の動きと歌が微妙に合っていないとかいった細かい突っ込みどころはあるが、印象に残るいい映画だった。さすがに 50 年以上経っても色あせない名作だと思う。

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